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わたしとこうべ 阪神・淡路大震災からつながるこれからのストーリー

1995年1月17日。中学生でした。

経験したことのない大きな揺れときしむ音。
冬の羽毛布団の上には、さらに覆いかぶさるように大きなタンスが倒れていました。

階下ではガラスや物が散乱。
家の中を靴で歩き、ゆがんだ玄関は開かず、リビングの窓から脱出。
外はまだ暗く、雪がちらつく寒い日。
パジャマの上に薄い上着を羽織っただけでした。

近所では火の手。マンホールを開け、なんとかバケツリレー。
顔見知りかどうかなんて気にする余裕もなく、声を掛け合い、ただこの瞬間を乗り切るのに必死でした。

やっと落ち着いた時、ふと頭によぎったのが、長田区に住む祖父母の安否。
自転車で10分。
無事を確認するため、ひとりでいつもの道を向かいました。

途中、母校の小学校付近では赤黒い景色が広がっていました。
慣れた曲がり角では、消防隊員に止められました。
目の前には火の手。
昨日までの光景との差に頭も心も追いつかず、消防隊員と言い争いになりました。寒いはずなのに、熱かったことをよく覚えています。

あの時、消防車には、水が足りませんでした。

なんとか遠回りをして祖父母宅に到着。
2階建ての家が1階を失い、縦に崩れた姿には息が詰まる思いでした。
祖父母と同居で2階に寝ていた叔母は自力で脱出。その場に立ちすくんでいました。

1階の奥で寝ていた祖父母は、まだ埋まったまま。
満足な機械や工具もなく、近所の方々の人力だけ。
何時間経ったでしょうか。幸いにも、掘り起こされました。

体力を奪われ歩くことができず、台車に乗せられて避難所まで。
戦争も経験し、80歳を超えても商売を続けていた厳格なふたりの、小さく丸まった背中を見て、安心と悲しさで涙が出ました。

自宅への帰り道、来るときに見た赤い景色は、がれきが散らばる黒い土地だけになっていました。

少しずつ分かる、同級生の安否。
前日も習い事で会っていた、いつも笑顔の明るい子。
別れ際は「またね」が口癖でした。
彼女の名前はモニュメントの銘板に刻まれています。

どんなに周りに大人たちがいても、避難所での夜は不安でした。
ひと晩中鳴り響くサイレンと飛び回るヘリコプターの音。
昼間に見た光景が頭から離れません。十分な寒さ対策もできないまま、何とか手に入れた毛布に数人でくるまっていました。

廊下に独りでいた高齢女性は凍死されたと聞きました。
助け出されても、安全が確保されたわけではありませんでした。

市内に設置された仮設住宅

避難所のグラウンドに、自衛隊のテントや簡易トイレが張られた時は不思議な安心感がありました。
今とは情報の伝わり方も速度も違います。世間の誰かに知られて、手を差し伸べられていることを感じたのでしょう。

通っていた中学校は、休校が続きました。再開後も教室では避難者が生活し、生徒はプレハブの仮設教室で授業を受けていました。グラウンドからは洗濯物を干しているのが見えたものです。

神戸でつくるストーリー

こうして当時を直面できるようになったのは、ほんの最近のことです。
まだまだ色々な思いや事情を抱えている方もあると思います。

これは、神戸で暮らしてきた、わたしのストーリーです。

あなたは、今までどんなストーリーを送ってきましたか?
その時、神戸はどんな景色でしたか?

復興を経て、再整備。
神戸の街はどんどん変わってきました。

住む人、働く人、支える人、訪れる人。たくさんの人の手を伝って、今の神戸があります。

1995年当時にあった「新・神戸市基本構想」も震災から30年の2025年で区切り。

こうべのまちは、これからも続いていきます。

30年前とは情報が伝わる速さも、人々の生活も、まったく様子が違います。

あなたがつくる神戸

神戸にはいろんな顔があります。国際都市、観光、山、海、食。
神戸にはいろんな人がいます。住む人。働く人。遊びに来る人。会いに来る人。

あなたは、これからの人生、どんなストーリーをイメージしていますか?
そこに見える神戸の姿、色、形、景色、香り、人。

見える映像、聞こえる音、そこにある想いを聞かせてください。
その映像を一緒に作っていきませんか。


神戸は、関わるみんなの都市(まち)です。
あなたにとっての神戸はどんな場所ですか?

今、未来の神戸を語るプロジェクトがはじまっています。
アンケートや市内でのワークショップも実施しています。
神戸のこれからをここから一緒に始めてみませんか。

  • アンケートは2023年12月19日まで

  • ワークショップは、11月に垂水区、長田区、兵庫区で実施予定です。事前申し込みが必要です。

<この記事を書いた人>
うみのこ/市長室広報戦略部
神戸生まれ、神戸育ち。受験も就職試験も市内のみ合格。
2023年4月から広報戦略部へ異動。7つ目の部署になる。
山よりは海の方に足が向きがち。

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