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【再開発の完了間近】新長田南のこれからを考える

お彼岸の3連休、いかがお過ごしだったでしょうか? 後半はお天気に恵まれましたね。

9月25日(日)、長田区の「Dance Box(アスタくにづか4番館内)」にて、新長田南活性化フォーラムが開催されました。

会場は、ダンス公演などをおこなう「ArtTheater dB KOBE」

1995年の阪神・淡路大震災で、被害の大きかった新長田南エリア。震災後の再開発で計画したビル44棟のうち42棟(住宅含む)は完成し、2024年6月にすべての再開発工事が完了します。

ハード整備は終了しても、本当のまちづくりはここからです。そこで、これからの新長田南エリアを考えようと、地域で活動する皆さんとともにフォーラムを開催。

久元市長も訪れ、聴衆として耳を傾けました。

*「新長田南」とは、JR新長田駅より南側の、再開発エリア及びその周辺エリアのことを言います。

午後からの取材、もちろん早めに行ってランチはそばめし!ぼっかけとタコ入りです

実は、人口が増えている新長田

震災直後は人通りが少なくさみしい時期があった新長田の再開発エリアですが、人口は少しずつ回復し、震災前の1.4倍にまで増えました。

新長田といえば、漫画家・横山光輝さん(長田出身)の『鉄人28号』『三国志』、粉もん、下町など、オールドファンに愛されるイメージがあるかもしれません。

それに加えここ数年は、新長田をフィールドに活動する若い人が増えています。全国からプロのダンサーを目指して若者が集まってきたり、アーティストが移住してきたり、シェアハウスができたり……。

新長田をつくる多様な顔ぶれ

フォーラムに登場したのは、そんな皆さんです。

角野史和(かどの・ふみかず)さん/合同会社こと・デザイン
建築士として、空き店舗(空き家)再生や、防災、歩いて楽しむまちづくりなどに取り組んでいます。


廣田恭佑(ひろた・きょうすけ)さん
/株式会社PLAST
理学療法士として、リハビリに特化したデイサービスを運営。お年寄りだけでなく、ふらっと親子連れが入ってこられる空間づくりで「マチ支え」をしています。


松本誠(まつもと・まこと)さん
/市民まちづくり研究所
元神戸新聞記者。震災当時から新長田を取材し、現在はまちづくりコーディネイターやアドバイザーとして活動。


文(あや)さん/NPO法人 DANCE BOX
プロのダンサーを育成する「国内ダンス留学」を主宰。ダンサーを目指す若者が新長田に集います。他にも、障害のある人や地域の子どもたちがダンスに親しむ取り組みをおこなっています。


玉井美里(たまい・みさと)さん
/株式会社マチアケ
新長田を中心に神戸市内で複数のシェアハウスとコワーキングスペースを運営。シングルマザーが入居できるハウスは、金銭面でも子育て面でも助かると入居者から好評だそう。

お気づきでしょうか、長田発祥のビーチサンダルで登壇していることを!「だんだん寒くなってきた」とのことで、体を張った愛を感じました

パネルディスカッションでは、

  • 新長田が人を呼べるとしたら鍵は「下町コミュニティ」ではないか。そのキーワードは「ローコスト」と「郷愁」

  • コミュニティを作るには、それを目的にするとうまくいかない

  • 郷愁ある風景が、防災面の理由で消えていくのがさみしい

  • ダンス、アート、多文化が身近にある環境はそうそうない。これを生かしていくべき

  • 再開発ビルにも空き店舗が多い。にぎわいを生むには路面店が埋まっていることが大事。地下や2階ではなく、店舗を路面に再配置する設計をしては?

などの意見が飛び出し、会場・オンライン視聴の皆さんからも多くの質問や意見が寄せられました。

会場・オンラインから寄せられた意見・質問

聴衆として参加した久元市長は、フォーラムの最後にあいさつ。活発な議論が交わされたことに感謝し、「個人的な意見ですが」と前置きしたうえで

「京都や金沢など賑わっている商店街は道幅が狭いが、新長田の商店街は広い。再開発でできたものは変えられないが、今の道幅を前提にどんなことができるか工夫していただき、行政も一緒に膝詰めで考えていきたい」

と話しました。

「活性化」って、何がどうなること?

ところで、このフォーラムのタイトルは「新長田南活性化フォーラム」です。

「活性化」とはよく聞く言葉ですが、何がどうなれば「活性化した」ことになるのでしょう? フォーラム後、5人の登壇者の皆さんに聞いてみました。

角野さん・・・「何か活動しなければ」という観念にとらわれなくても、暮らしの中で身近なところがちょっと良くなって、半径1km以内に楽しみがある状態

廣田さん・・・三宮みたいに、人がふらっと「あ、新長田に遊びに行こう」という状態になれば「活性化した」と言えるのではないか

松本さん・・・活性化より、再生という言葉がふさわしいと思います。まず、活性化できる土壌づくりが大事だと思うので

文さん・・・私も今日、それをずっと考えていました。やっぱり、一人ひとりが豊かに暮らせること、「この町は自分の町」と思えることが大事

玉井さん・・・私たち事業者は、事業がうまくいかなければ出ていくこともできます。でも活性化のために頑張りたいと思うのは、新長田が好きだから

皆さん、それぞれですね。個人的には、廣田さんの「ふらっと訪れたくなる」がしっくりきます。今日の取材で久しぶりに新長田を訪れましたが、以前よりも活気を感じ、気になるお店もたくさんありました。

私と同じようにしばらく新長田から遠ざかっている方は、ぜひ「ぶらり歩き」をしてみてください。何か新しい発見があるかもしれません。


ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。