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どろんこバレー@北区大沢 なぜ夢中になる人がいるのか?徹底解剖

神戸・三宮から車で、新神戸トンネルと阪神高速・北神戸線を経由して、35分ほど走らせると、「大沢」と書いて「おおぞう」と呼ばれている地域にたどり着きます。

神戸市内と思えないほど緑豊かで、のどかな所なのですが、人口はわずか約900人。ところが、たった一日で1000人を超える参加者が集まるイベントが、毎年開催されているのです。

それは、田んぼのなかで泥にまみれてバレーボールを楽しむ「どろんこバレー」です。

昨年、私もはじめて参加しました。ボールを追って泥に飛び込むという、何とも言えない体験がとても新鮮でした。
 
そんな、どろんこバレーのイベントを主催している実行委員会事務局の大家喜八郎さんに、お話を伺いながら、なぜ人々を魅了しているのかを解明しようと思いました。


どろんこバレーのはじまりは

風に揺れる稲穂、田んぼで暮らすカエル、そしてイチゴやスイートコーンといった旬の食材。そんな農村風景のなかに大沢の魅力が詰まっています。

それを都市部で住んでいる人たちにも伝えたい。実際に大沢に来てもらって、五感で楽しんでもらいたい。そんな思いがはじまりだったようです。

第1回どろんこバレーは、26年前の1999年にさかのぼります。その頃は日本全体でお米が余っていたので、国の減反政策で休耕地となっている田んぼが多く、その活用を考えていたそうです。

そんななか、長野県で休耕田を使ったバレーボール大会が行われているという話が。大家さんらはすぐに現地に向かいました。そしてバレーボール大会にリアルに参加してみると、とても楽しかったらしいのです。

これなら大沢でもできると大家さんたちは考え、その年に初めての「どろんこバレー大会」を開催。親戚や知り合いに声をかけて、43のチームが集まりました。

大盛り上がりで、翌年もやろうとなりました!そしていつの間にか、どろんこバレーは、100チーム以上が競うようになり、この地の夏の風物詩となっていったのです。

心を鷲掴みにされた人たち 

コロナ禍での休止をのぞいて、毎年開催された「どろんこバレー大会」は、昨年で22回目を数えました。この大会の特徴は、毎年参加する、どろんこバレーに取り憑かれたような人たちがたくさんいることです。

名古屋、東京、北海道と転勤したはずなのに必ずこの時期には神戸に来る人や、高校生のときに参加して、お母さんになって娘さんと一緒に参加したり、どろんこバレーのチームが中学生時代の同窓会のようになっている人たちもいます。

どろんこバレーの魅力は二つ

そんなどろんこバレーの魅力は、どこにあるのでしょうか?

一つ目は、バレーボールの経験や男女の差が、普通のバレーボールやビーチバレーと違って、ほとんどなくなるところじゃないかと、私は思っています。

というのは、コート、というか田んぼに一歩足を踏み入れれば、すぐにわかります。泥が足にまとわりつくので、一歩動くのも大変です。バレーボールをするときのジャンプなんてもはや不可能。足かせをされて歩きにくい状態、いわば全員が運動音痴になってしまうので、経験や男女の差が少なくなるというわけなのです。

そして、もう一つ魅力があります。

はじめて参加した人は泥で服が汚れるのに抵抗を感じます。それはきっと、子どものときに外で遊んで泥で服を汚したときに、何か後ろめたく感じたあの経験からくるのだと思います。

ところが、どろんこバレーはその記憶を破壊します!

試合がはじまるとほぼ全身が泥だらけ。気づけば童心に戻って、ボールを夢中でつないでいます。かたい体育館の床でないので、ボールを追って、思いっきりダイブできるのも魅力だと思いました。

で、どうやって家に帰るの? 

試合が終わると、泥だらけになった服や身体をどうするのか、謎ですよね。まさか、そのままバスや車に乗れません。が、ご安心してください。会場には屋外シャワーが用意されています。

服を着たままシャワーを浴びて、泥を落とせます。しかも真夏なので、あっという間に乾くのです。

ただ、服にしみ込んだ泥はそのあと家で洗濯してもなかなかきれいに落ちません…。なので、汚れてもよい服を着るのがたぶん正しいです。

秘伝!どろんこ洗濯法 

ただ、やっぱりその服をまた使いたいときもありますよね。そんなときのちょっとしたコツをお伝えしましょう。

いきなり水でジャブジャブと洗うのはダメです。水につける前にいったん服を完全に乾かして、表面についた泥=小さな砂を叩き落とすのが正解です。というのは、水洗いをすると、泥が水と一緒に繊維のなかに細かく入り込んでしまうので、かえって落としにくくなります。

ある程度泥を落としたら、洗剤を入れた水やお湯に服を漬けて手でもみ洗い。そして最後は洗濯機で洗います。
 
当たり前ですが、泥を落とさずに洗濯機に入れると、他の衣類に汚れが移って大変。大家さんに聞くと、農家では、普段着用と作業着用で別々の洗濯機を使っているところがあるんだとか。

第23回大会のお知らせ! 

さて、今年もどろんこバレーの季節が近づいてきました。第23回大会は、7月28日(日曜)の開催が決まっています。

ここまで読んでくださった皆さん、どろんこバレーの魅力をわかって頂いたのではないでしょうか。そして、今年の夏は大沢で泥だらけになる、そんな思い出をつくってみるというのは、いかがでしょうか?

<この記事を書いた人>
米田智樹 /北神区役所地域協働課
神戸市役所に採用されて3年目。働き始めたときに体型維持のためロードバイクを購入した。週末は六甲山や淡路島でサイクリングをしており、今年は大沢や淡河など北神地域の農村部をめぐりたいと思っている。ただ最近、エスプレッソマシンを購入したことでおうち時間が快適になりすぎ、自宅に引きこもって自転車にはあまり乗れていないらしい。

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