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【神戸市立博物館】インドの国宝級絵画が来日!

1月も半ば、ようやく街の雰囲気が日常モードに戻ってきました。日常を彩るものは色々ありますが、その一つにはアートがあります。

きょうはアート情報として、神戸市立博物館で1月14日から開催される「インド独立75周年・日印国交樹立70周年 インド近代絵画の精華――ナンダラル・ボースとウペンドラ・マハラティ」をお届けします。

レポーターは、広報戦略部ライターのゴウです。

神戸市立博物館

まず、カタカナ問題を解決しましょう

展示名のサブタイトルにある「ナンダラル・ボースとウペンドラ・マハラティ」。私だけかもしれませんが、聞き慣れないカタカナが出てくると頭がフリーズして、それ以上考えられなくなるんです(笑)。

「ナンダラル・ボース」と「ウペンドラ・マハラティ」は、人の名前です。2人とも、インドの近代美術を代表する画家です。

まずはざっくり、ボース(1882~1966年)が先、マハラティ(1908~1981年)はその次の世代の画家だと理解すればOKです!

国宝級の作品がずらり

今回は、ふだんインドに所蔵されている2人の作品が、合わせて25点展示されます。

日本の研究者によると、とくにボースの作品は「国宝級」で、「これらがそろって国外に貸し出されるなんて、もう二度とないだろう」と言われるほどだそうです。

そんな貴重な作品が日本にやってきたのは、2022年がインド独立75周年&日本とインドの国交樹立70周年だからです(この展示は、2022年の福岡アジア美術館からの巡回)。

1月13日におこなわれた開会式で、インドの在大阪・神戸総領事館のニキレーシュ・ギリ総領事は、「神戸は横浜と並んで、20世紀初めに多くのインド人貿易商を受け入れた街です。この美しい街で展覧会を開催できることをうれしく思います」とあいさつ。

久元喜造神戸市長は「高校生以下は市民かどうかにかかわらず、企画展の観覧を無料にしています。若いころからすぐれた芸術に親しんでください」と呼びかけました。

で、どんな作品なの?

インドの近代絵画といわれても、実際に見るまでイメージが湧きませんでした。

展覧会パンフレットにもなっているこちらは、ボースの「舟遊び」。

「舟遊び」ナンダラル・ボース/1909年・ニューデリー国立近代美術館

う、美しい……。真ん中に描かれているのは「クリシュナ」というインドの神様です。他にもインドの神様を描いた作品が多く、インド神話を少し知っているとより楽しめそうです。

ボースが美術を学んだ時期は、インドはまだイギリスの植民地。生活も美術も、西洋化の波が押し寄せる中、ボースはインド固有の表現や技法を大切にしようとしました。

なんと、インドに行った岡倉天心と深い交流があり(あの時代で直接会ったのはすごい!)、日本画の影響も受けたようです。

ボースの次の世代の画家であるマハラティは、やはりインド固有の表現を大切にしながらも西洋の技法も学び、1950年代には日本に2年間滞在しました。

いろんな文化のエッセンスを取り入れているからか、今回展示されている作品だけでも、いろんな画風のものがありました。

「ブッダの涅槃を悲しむ自然」ウペンドラ・マハラティ/制作年不詳・ニューデリー国立近代美術館

私が気に入ったのは、こちらの作品。ブッダの涅槃図ですが、自然の神が寄り添い、沙羅双樹の花がアクセントになっているのがすてきだなと思いました。

異文化を感じながら春を待つ

日本の絵画とも、西洋の絵画とも違う。伝統的なインドの細密画や石窟美術そのままでもない。いろんな要素が融合したインド近代絵画を見ると、どこか異世界に来たような、ふんわりとした感覚を抱きました。

まだ少し先だけれど、心に浅い春が来たような。

インド系住民の方が多い神戸で、このような作品を見られるのも縁を感じます。展覧会は3月21日まで。会期中に、梅が咲き、菜の花が咲き、桜のつぼみがふくらんで……と春が近づいてきますね。

もうすぐ南京町(中華街)では春節がありますし、異文化を感じながら春を迎えるなんて、とっても神戸らしくありませんか?

「インド独立75周年・日印国交樹立70周年 インド近代絵画の精華――ナンダラル・ボースとウペンドラ・マハラティ」
神戸市立博物館にて、1月14日(土)~3月21日(火祝)まで

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。

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