テクノロジー時代は「両手不自由でも大丈夫!」ドローン操縦で挑む高校生
神戸に高校生ドローンパイロットがいる……。
訓練の場所は北区しあわせの村。「プロジェクトみゆう」が進行中……。
そんなウワサを耳にしました。
ドローンといえば、最近ではフードデリバリーや災害救助、海外のニュースでは悲しいことに戦争利用まで目にします。
それにしても、なぜ高校生がドローンパイロットに!?
最近、YouTubeやリールでドローンが撮影した風景動画に癒しを求めている、広報戦略部のオクダが取材してきました。
「プロジェクトみゆう」とは!?
「プロジェクトみゆう」の「みゆう」とは、現役高校生でドローンパイロットである宮崎美侑(みゆう)さんから来ています。
みゆうさんは生まれつき両手が不自由なので、両足を使って器用にドローンを操作します。中学生の頃からドローン操縦を学んできました。
チャレンジドってなに?
「プロジェクトみゆう」は、チャレンジド・ドローンという講習会から生まれました。
社会福祉法人プロップ・ステーションの理事長として、30年間、コンピュータなど、ICTを活かした障害者(チャレンジド)の就労支援に取り組んで来た竹中ナミさんが、2020年6月に、ユニバーサル・ドローン協会を設立し、神戸しあわせの村を会場に、ドローンによる職域の開拓のための講習会をスタートさせたものです。
竹中さんは、障害者を「チャレンジド(挑戦する人)」と呼びます。
障害をマイナスと捉えず、障がいを持つゆえに体験するさまざまな事象を、自分自身や社会のためポジティブに生かしていこうという想いを込めて、アメリカで提唱された呼称だそうです。
ドローンは身体機能の拡張!?
ドローン最大の利点は、自身が動かなくてもさまざまなことができること。それはチャレンジドの仕事の幅を広げる可能性があると、竹中さんは語ります。
みゆうさんは、このチャレンジド・ドローンの受講生の1人というわけです。現役高校生です。中学生の頃からこの講習会でドローンの知識や飛行技術を学んでいます。
みゆうさんのドローンパイロットの技量は年々高まっています。高校生でありながら、すでに神戸港の6K空撮や、他県では花火大会の空撮を成功させています。
神戸港6K撮影▼ [PR TIMES]
毎日5時起きの忙しい高校生活を送りながら、ドローンで「できること」をどんどん増やす。その姿を見てもらうことで、チャレンジドの人たちの可能性や選択肢を広げたい。
それが、「プロジェクトみゆう」です。
うまくドローンを操作するには?
ゲーマーはドローン操縦が上手い!?
私はドローン映像は好きですが、ドローンを操作したことはありません。
いったいどのような能力や感覚が求められるのでしょうか??
竹中さんともにプロジェクトを支える、みゆうさんの指導者の榎本幸太郎さん((一社)国際ドローン協会)が、わかりやすく説明してくれました。
ドローンを操縦するコントローラーは、ゲームのコントローラーに近いんだそうです。
では、ゲームに親しんできた人はみんな覚えが早いのか?
答えはノーです。
ドローンのコントローラーに近いのは、PlayStation、Nintendo Switchなどの最新ゲーム機です。みゆうさんも含めた若い世代はそうしたゲーム機になじみがあるので、圧倒的に覚えるのが早いのだそう。
スーパーファミコン世代の私オクダは、苦労しそうですね……。
一番難しいことは何か?
ドローン操縦で難しいのは、どんなところでしょうか。
今のドローンは、GPSで飛行制御されているものもあり、操作自体はそれほど難しいわけではありません。
では、何がいちばん難しいのか?
それは、ドローンをブレずに真っすぐ、そして、ゆっくり動かすこと。
いかにカメラを固定して撮影するかが大事で、ドローンレースのようにスピードを出す必要はないのです。
榎本さんは「ドローンの機体の上に水の入った紙コップを乗せ、こぼさずに操縦できて一人前になる」と説明してくれました。
この日のみゆうさんも、コントローラーの主に2本のスティックを職人のように操縦します。
操縦訓練の様子
風を読み、スティックを固定しながら、ゆっくりゆっくりドローンを進める訓練がつづきます。 それはまるで、カメが歩くようなスピードです。(例えが下手ですみません)
スティックの加減を変えると進路や速度が変わり、カクッとなって使いものにならない映像になってしまいます。だからこそ、派手な操作ではなく、集中力や忍耐力が大事になるのです。
神戸市もドローンを積極的に活用!
実は神戸市でも、幅広い分野でドローンの活用を進めています。
昨年9月、ドローンの実用化を目指す「第1回ドローンサミット」が神戸国際展示場で開催されました。68の企業・団体が出展し、「空飛ぶクルマ」の実験機が注目を集めるなど大盛況でした。
火災現場から神戸マラソンの応援まで!?
火災現場や災害現場を中心に、ドローンを積極的に活用する神戸市もブースを出展。
消防局は、火災現場や山間の遭難者探索でドローンを活用しています。
建設局では、災害跡地調査のほか、道路上空をドローンで撮影して車両混雑度をデータ化することで、渋滞の解消案を検討する取り組みも行っています。
さらに、昨年11月の神戸マラソンでは、スピーカーを搭載したドローンから応援メッセージを届けてランナーを後押しすることで、大会の盛り上げに貢献しています。
若きドローンパイロットの夢は…
みゆうさんの夢は、王子動物園を空撮することだそうです。理由は、動物園に行きたくても行けない人がたくさんいる。その人たちにも動物たちを見せてあげたいからだといいます。
海と山に囲まれた神戸。
そんな神戸で特別な思いをもってドローンを操縦するみゆうさん。彼女が撮影する映像は、きっと多くの人に喜びや感動を与えられるものではないでしょうか。