甲南大生が挑む! 放置竹林の活用大作戦:BambooにThankyouプロジェクト
里山に広がる竹林。皆さんも頭の中にイメージがありますよね。
昔の暮らしの中では、「竹」はカゴや箸など日用品や家具の材料として使われていました。なので、竹林に人が入り、手入れされていたので、竹林は荒れることなくきちんと維持・管理されてきました。
放置竹林が抱える問題
ところが今、プラスチック資源が出回るようになると、竹が材料として使われないので、竹林は維持しようとする担い手がいなくなり、全国各地で放置されがちです。
放置された竹林では、竹が太陽の光を遮ってしまって、背が低い植物が生育しないなど、生物多様性の面からも大きな問題となっています。
そんな問題に、真っ向から立ち向かっている甲南大学の学生の皆さんが3月15日、久元市長を訪問し、活動の報告をしました。
BambooにThankyou Project
プロジェクト名は「BambooにThankyou Project」といいます。竹を邪魔者扱いして、単に伐採して捨てるのではなく、昔から日本人の生活を支えてくれていた竹に感謝し、生活の中で活用していこうという思いが込められています。
久元市長はこのネーミングに触れ、「前向きなネーミングで非常に良いですね。市役所が考えると、『放置竹林撲滅対策』という感じになるんですよね(笑)」と。
広報戦略部の職員として、耳の痛い一言。そっと心にとめおき、ペンを走らせます。
この事業は、甲南大学の学生10名、神戸地域おこし隊、地元企業が一緒になって、2021年度から取り組んでいます。
それでは、学生の皆さんが説明のあった具体的な活動をご紹介していきます。
竹の伐採
学生の皆さんは、北区大沢(おおぞう)町で竹の伐採を月1、2回しています。竹林は田んぼだった場所も多く、伐採すれば休耕田の再生にも繋がります。ここで伐採した竹は、この後ご紹介するいろいろな活動に利用されています。
竹を炭として活用
自分たちで伐採した竹を炭に加工しています。特別な窯にぎっしりと竹を敷き詰めて火を入れると、置き炭ができるそう。炭づくりをされた学生さんからは「最初はしっかりと敷き詰められなくて、綺麗な置き炭にはならなかったりしました。」とありましたが、継続は力なり。今では、大学内のトイレの消臭剤として設置されているとのこと。
竹炭は、土壌改良剤としての活用も進めています。どうして土壌改良?と思いましたが、久元市長からも質問がとびました。「竹炭で水はけがよくなったり、土にミネラル分を与えたりできるんです。地域の市民花壇で利用していただくことになりました。」と学生さん。私も勉強になりました。
竹を使用して商品化
学生のお一人からは「商品化を実現したい」と力強く訴えました。民間事業者、神戸地域おこし隊と協力して、伐採した竹を竹ペレットに加工し、お箸やスプーン、タンブラーなどの竹製品にできないか、大学の授業の一環で開発に取り組まれています。自分たちで伐採した竹が日常のひとつになる、そんな日が待ち遠しいですね。
みんなで一緒にSDGsを
「多くの人にこの問題を知ってもらい、アクションを取ってもらい、継続的な活動としていきたい。魅力的なイベントを企画して、放置竹林問題の解決につなげていければ。」
「この活動は気持ちが大事です。できるか、できないかではなくて、思いのある方と一緒に活動していきたい。」
熱い思いをお話ししてくれた学生さんの言葉です。
最後に久元市長は「放置竹林の活動からいろんなものが生み出されています。皆さんの活動がSDGs、循環型社会の実現につながっています。市役所でも一緒にどんなことができるか考えていきたいです」と話しました。
放置竹林の問題は、耳にすることはあっても、実際に活動されている内容をお聞きする機会はありませんでした。
4回生は卒業されますが、今年度は新たに1回生の仲間も加入されたとのこと。甲南大学の学生の皆さんのこうした活動が広がっていくよう、市役所も協力できればと思います。
今回、ご紹介した以外にも、「竹灯籠」、「門松」、「竹のクリスマスツリー」などなど、地元企業や商店街、大学と連携しながら、興味深い活動をたくさん紹介してくれました。いろんなメディアでも取り上げられていますので、ぜひ「BambooにThankyou Project」にご注目ください。