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神戸の大動脈、水道の送水トンネルをお見せします!

ふだんは当たり前すぎて気にも留めないけれど、なかったら生きていけない「水」。蛇口をひねると水が出てくるのは、水道がきちんと機能しているからです。

でもそんな水道について、詳しく知る人は多くないかもしれません。

神戸市は今、水を運ぶ「送水トンネル」の大改修事業に取りかかろうとしており、ふだんは浄水場で処理された後の水が流れている送水トンネルの水を、2022年9月から止めています
2月14日、そのトンネルの内部を久元喜造市長が視察しました。

本当は市民の皆さんに見ていただけるといいのですが、稼働中の施設の奥にあって安全面などから難しいため、せめて写真をお届けしたい!と、広報戦略部ライターのゴウがお伝えします。

これが送水トンネルなんですね!後ろ姿ですが、青いジャンパーが久元市長
足元を見ると、水が流れていた名残りが

まず、水道の仕組みをざっくり理解

水道の水は、どうやって家まで届くのでしょうか。
ざっくりお伝えすると、貯水池(ダム)→浄水場→(ポンプ)→配水池→家庭の順に届けられます。

神戸市水道局ホームページより

①貯水池(ダム)
スタート地点は貯水池(ダム)です。神戸市には千苅(せんがり:北区)、布引(ぬのびき:中央区)、烏原(からすはら:兵庫区)と3か所の貯水池があります。貯水池以外では、河川を流れる水などもあります。

②浄水場
貯水池から送られてきた水の汚れやにごりを、浄水場で取り除いて消毒し、飲める水にします。千苅(北区)、上ヶ原(うえがはら:西宮市)、奥平野(おくひらの:兵庫区)、本山(東灘区)と、4か所の浄水場を有しています。

③配水池
浄水された水は浄水場から直接家庭に届けられるのではなく、配水池に貯められます(*配水池が高い場所にある場合、ポンプを使って水を配水池へ送ります)。

④家庭
こうして配水池から、各家庭や事業所に水が届けられます。

水を送る水道管は、どことどこをつなぐかによって呼び名が変わるんですって!

・導水管(どうすいかん)・・・①貯水池から②浄水場まで
・送水管(そうすいかん)・・・②浄水場から③配水池まで
・配水管(はいすいかん)・・・③配水池から④家庭まで

配水管から分岐して、家庭まで引き込まれている水道管を「給水管」といいます。給水管は、各家庭の財産です。

おもしろいですね! 中学校の理科の授業で、植物の茎を通る管を「根から吸い上げた水や養分が通るのは導管、葉で作られた栄養が通るのは師管」と区別して覚えたことを思い出しました。

〈水道水は家までどうやって届く?〉

今回の大改修は何のため?

神戸市は人口150万人を超える大都市であるため、市内の水源だけで必要な水をすべてまかなうことはできません。そこで、4分の1を市内の水源でまかない、4分の3の水を琵琶湖・淀川水系を水源とする阪神水道企業団などから購入しています。

このたび大改修をしているのは、買った水や浄水した水を市内へ供給する「4拡送水トンネル」。地図の赤い部分で、いわば神戸の大動脈です。

「4拡(よんかく)」とは、神戸市の水道事業が始まって4回目の拡張工事という意味で、1964(昭和39)年に運用を開始。昭和39年って、たしか1回目の東京オリンピックの年ですよね。歴史を感じます。

それから約60年、さすがに施設が老朽化してきたため、今まで一度も水を止めることのなかった送水トンネルの水を初めて止めて、改修することになりました。

その本格的な工事を前にして視察に訪れた久元市長は、日常生活を支える大動脈の中に入り「これは歴史を感じる。伝えなければ」と感慨を抱いていました。

ちなみにこの送水トンネルは、市街地の地下ではなくて山の中を貫いているんですよ。山陽新幹線とほぼ並行に走っているんですって! 次に新幹線に乗ったら、「この近くを送水トンネルが走ってるんだ」と思い浮かべてみてください。

2024年度までに調査・設計を終え、2030年度に工事が完成する予定です。

送水トンネルより高い場所にある配水池に水を上げるためのポンプ場

大動脈の水を止めて、日常生活は大丈夫?

でも、そんな神戸の大動脈の送水トンネルを7年も止めて、私たちの日常生活は大丈夫なんでしょうか?

ご安心ください。大丈夫です。

4拡トンネルを含めた2本の大きな送水トンネルに加え、神戸市は2016年に「大容量送水管」を完成させました。こちらは山中ではなく、市街地の地下を走っています。

既存のトンネルを代替することができるので、今回のような改修工事や、災害時の送水ルートとして活躍するんです。

しかも単なる送水管ではなく、送水管内の水を災害時などの応急給水に利用できるスポットが一定の距離ごとに設けられています。もし送水が止まっても、市民全員に1日3リットル×12日分の水を配ることができる量を確保しています。

送水管は直径2.4メートルの「鋼管」という鉄のパイプですが、地震で地盤が大きく動くところには、曲がるストローのような蛇腹(じゃばら)の管が使われており、地震が来ても折れにくい工夫がされています。

〈大容量送水管についてはこちら〉

古い送水トンネルの改修時の代替は、大容量送水管を作った大きな理由の一つです。今回の4拡トンネルは調査から工事完了まで約10年かかりますが、そのもっと前から神戸市水道事業の大プロジェクトが続いているんですね。

この話を聞いて、私はとてもワクワクしました。昔テレビでやっていた『プロジェクトX』みたいで、水道っておもしろそう!

地上にある配水池と、地下にある4拡送水トンネルをつなぐ通路「斜坑」

この記事を読んで同じように感じた方がいらしたら、まず神戸市の水道局のホームページを見てみてください。

中でも「水道を知る」は、水道の仕組みが一般にもわかるように解説されています。お子さんの学習にも、きっと役に立つと思います!

〈水道局の公式ホームページはこちら〉

画像をクリックすると公式ホームページに飛びます

また現在、神戸市の上下水道事業について学ぶ「こうべアクアサポーター」を募集しています。ワークショップや施設見学などがありますよ!
応募締め切りは3月31日です。詳しくは以下をご覧くださいね。

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。