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神戸市内に29の銭湯、全て巡った市職員が二つの「推し銭湯」を解説!

9月なのに暑い日が続いています。そんな暑さを切り抜ける、私のオススメが「銭湯」なのです!

大きな浴槽、サウナ、水風呂、電気風呂、日替わりの薬湯、風呂上がりの飲み物…まさに銭湯は、手ごろな価格で非日常を楽しめるエンタメ空間ではないでしょうか。

私が銭湯にハマった理由

神戸市内には、29カ所の銭湯が稼働しています。

私が銭湯を愛するようになったのは、実は昨年から。格安で入浴ができ、いくつかの銭湯を回ると記念品がもらえるスタンプラリーイベントがきっかけでした。

記念品目当てだったのに、あれよあれよと銭湯に心が奪われ、気が付くと4週間足らずで、対象の全施設を制覇していました。

今では旅行や出張に行ったときも、現地にある銭湯を探すようになってしまったのです。

この記事では私が訪れた銭湯から厳選した、二つの「推し銭湯」をお伝えします。

番台をやめた「湊河湯」(兵庫区)

まずは、「神戸の台所」として名高い兵庫区の東山商店街のすぐそばにある、「湊河湯(みなとがわゆ)」です。

1949年創業の老舗。ですが、2022年冬に休業することに。そんなとき、全国の銭湯の再建を手掛けている「ゆとなみ社」が、ここの事業を譲り受けて、2023年夏に営業を再開。

この銭湯の切り盛りを任されているのは、かつての常連客であった松田悠さん(33)。昔から映画館のようなノスタルジーを感じる場所が好きで、東山商店街で買い物をしているうちに、湊河湯のことを知ったそうです。

―― 昨年の再開にあたり、どのような改修をされたのでしょうか。

一番大きな改修は、昔ながらの番台をなくして、ロビーの受付カウンターで支払いなどをする方式に変えたことです。番台は今の時代だと銭湯に行くハードルになっていると考えたからです。

―― 銭湯としてめずらしく、浴室に無料のシャンプーなどが置いてあります。バーカウンターがあったり、浴室を使って音楽ライブもしていると聞きました。

ゆとなみ社の方針で、銭湯の「入門」にしたいのです。「銭湯は気になるけど、どう使うのかがよく分からないから怖い…」という方でも来やすいように。だからシャンプーなどを置いています。

イベント開催も同じですね。入浴ではない面から興味を持ってもらい、そこから「この感じなら、お風呂にも入れそうだな」と思ってもらいたいです。

―― もともと、松田さんは湊河湯のお客さんだったんですよね。

そうです。先代店長がご高齢でたびたび休業していたのを心配していました。ゆとなみ社には「将来は神戸の銭湯、特に湊河湯を引き継ぎたい」と伝えて入社したんです。

その後、この銭湯が長期休業するとわかり、ゆとなみ社が営業を引き継ぎ、私が担当することになりました。

―― 実際に銭湯を経営して、大変な面や良かった面を教えてください。

一番大変なのは裏側にあってお客さんが見ることがない設備です。先代店長しか使い方が分らない機械もあり、よく分からない目印を頼りにバルブを動かしてみるなど、試行錯誤の繰り返しでした。

ただ、ここを引き継いで良かったことは、お客さんに「復活してくれたおかげで、めっちゃ便利」と喜んでもらえることです。東山商店街のすぐそばというのもいいですね。商店街には銭湯がお似合いですから。

週14時間営業の「高丸湯」(垂水区)

二つ目は、垂水区にある「高丸湯」です。CMや映画の撮影でときどき使われる山陽電車・滝の茶屋駅のすぐ近くにあります。

創業は1957年。ここはなんと月・水・金が休みという週休3日、さらに営業時間が15時半から19時までのわずか3時間半。すると、入浴がしにくいことで、銭湯ファンたちからは「神戸の最難関」といわれています。店長の植岡節子さん(81)にお話を伺いました。

―― 高丸湯といえば、夏季限定の水風呂が人気ですよね。

やっぱり地下水ですからね。水も柔らかいですし、冷たすぎなくて。夏はとくに、この水風呂目当てで遠方から来られる方もいます。お風呂と水風呂を20回以上往復された方もいました。シャワーも地下水を混ぜて沸かしているので、冬もすごく温まりますよ。

―― 営業時間の短さが、逆にウェブ上で話題になっています。

主人がいたころは夜中12時ごろまでやっていました。

ですが、ほとんどの家にお風呂がある時代です。営業後に自分一人で掃除までやると考えると、19時で閉めることにしました。

それでも、幼いころから来ている常連の方や、京都や東京から「ここのお湯がいい」と来られる方もいるので、ありがたいことですね。

―― 長い間銭湯を経営されていて、印象深いエピソードはありますか。

阪神・淡路大震災のときは、地下水をくみ上げているので、周辺の一般家庭より早く再開でき、整理券を配布するほど長蛇の列ができました。疲れた顔をした人たちが、お風呂に入ると元気になって出てきたりしてね。

災害があったときに、銭湯が残っていると、地域の方も助かると思います。

―― 銭湯を経営していて、大変な面や良かった面を教えてください。

なにより経営していくのが大変です。ただ、日ごろ来られているお客さんの相談に乗ったり、近所の人たちがここに集まって「ここはアミューズメントパークや!」と言って賑やかにしているのを見ていると、とても幸せですね。

あなたの「推し銭湯」はどこ?

今回ご紹介した2か所以外にも、神戸には魅力的な銭湯が数多くあります。脱衣所が畳、住宅街なのに天然温泉、軟水のお湯…千差万別です。

そんな銭湯をたくさんの人に使ってもらおうと、神戸市では銭湯の入浴料が大人450円になるよう支援しています。ちなみに、神戸市の周辺では、県が決めた上限、490円の入浴料がほとんどです。

それだけでなく、子どもと一緒に銭湯に行くとお得になる割引もあります。さらに、私がハマったきっかけのスタンプラリーは今年は10月1日から始まります。

これまで銭湯に行ったことがなくても、銭湯に行こうとする人たちが増えています。お得なイベントなどを使って、あなただけの「推し銭湯」を探してみませんか!

<この記事を書いた人>
たわー /人事委員会事務局任用課
普段は神戸市職員の採用試験を担当しているが、昨年の「パブリックアート」のnote記事に続いて、「庁内副業制度」を使って採用試験とほぼ関係のない記事の執筆を続けている。
この1年間で70か所ほどの銭湯を巡るほど、かなりの銭湯マニアになりつつあるので、家族からは「市職員を辞めて銭湯を継ぐ」と言い出さないか心配されている模様。

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