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30年前につくった神戸市の基本構想 はたしてうまくいったの?

バブル崩壊後の1990年代初頭から現在までを「失われた30年」と呼ばれています。今から30年前というと1993年。 

いったい、どんな時代だったのでしょうか?

まだその頃、私は8歳でした。なので、その年を振り返るのに、ウェブで調べたり、人に聞いたりしました。

バブル崩壊と金融危機のはざまで

1993年は日本の政治に大きな転機が訪れた年です。総選挙で日本新党と新党さきがけ、新進党が躍進し、細川連立内閣が誕生。戦後続いてきた自民党と社会党の対立構造からなる「55年体制」が崩壊しました。

この年、記録的な冷夏で米不足が起こりました。どこの店頭でも国産のお米は売り切れてしまい、日本のお米とタイ米が抱き合わせ販売され、タイ米だけが捨てられるのが問題になりました。炊飯器に備長炭を入れるとタイ米がおいしく炊けるという口コミが広がったらしいです。

音楽では、THE BOOMの「島唄」、CHAGE&ASKAの「YAH YAH YAH/夢の番人」が大ヒットしました。

何より驚いたのが、国内でのCDプレーヤーの家庭での普及率が54.3%に達したという調査結果です。いまやYouTubeに押されて、CD自体が化石になりつつあります。この頃は、レコードやカセットテープが現役だったようですね。

経済でいうと、1989年から90年にかけて史上最高値をつけた株式と土地の価格の下落が一段落した頃。「バブル崩壊」の直後ですね。

ところが、山一証券が破綻する1997年まではまだ少し時間がありました。バブル期の象徴ともいわれるディスコ「ジュリアナ東京」は、1993年になってもまだ賑わっていたそうです。

その年に大学3回生だったという職員に話を聞いてみました。

「大学の先輩たちの就職が、去年より今年、今年より来年と、着実に悪化していくのを目の当たりにした。でも、長い経済低迷のはじまりだったとは全く思わなかった。バブルというお祭りが終わっただけで、日本が世界2位の経済大国であることは揺るがない。ただ、何か不気味でナマ暖かい風が世の中に吹きわたっているのを感じた」

1993年に開園したフルーツ・フラワーパーク(神戸市北区)

30年後を見据えた計画が・・・

そんな1993年9月、「新・神戸市基本構想」という、そのあと30年間の神戸市政の道しるべとなる考え方が作成されます。

ちょうどその年、「アーバンリゾートフェア神戸 93」という大規模イベントが開催。開幕式典のチラシには、「神戸ハーバーランドで4月1日の深夜0時、真夜中の太陽が昇ります」という文字が踊ります。隔世を感じざるを得ない、凄まじい華々しさですね。

布引ハーブ園も1993年の開業

なので、「新・神戸市基本構想」では、神戸市の「都市容量=人口180万人」と設定し、まだ人口が増えると見込みながら、「アーバンリゾート都市」という華やかな方向性を唱えたのでした。

ですが今から振り返ると、時代が変わり過ぎたとはいえ、ちょっと無理があったように感じます。

その2年後、1995年1月に阪神・淡路大震災が発生。

そのあと、日本経済の成長が鈍化し、やがて人口増が止まるので、「失われた30年」と呼ばれるようになります。

新しい基本構想はまちの「土台」?

あれから、30年。神戸市の人口は154万人をピークに減少に転じました。「新・神戸市基本構想」の計画期間が2025年で終わります。次の計画を策定するタイミングなのです。

ただ、そもそもそんな長期にわたる計画をつくらないとダメなの?と思いますよね。かつては地方自治法の規定で基本構想の作成が義務付けられていました。ところが、2011年にその規定が廃止され、義務ではなくなったのです。

でもいま、「基本構想」の策定を進めています。というのは今回の基本構想は、かつて法律で義務付けられていた、30年後にこんな街になるといいなを示すものではありません。

むしろ、どんな時代であっても変わらない神戸の海、山そして街が愛される理由、そこに暮らす人たちは、どんな思いで生きているのかを、今の段階でいったん整理しようとしているのです。

なので、今回の基本構想は、有効期限を定めません。ということは、使える限りずっと使っていくことになります。これから神戸市の事業やプロジェクトを検討するときの「土台」になっていくものです。

いろんな人の意見を聴く理由

そんな「土台」をつくるのなら、良いモノにしたい、時間がたっても古くならないモノにしたいと思いました。

しかも、神戸の魅力や人の考えをまとめるのなら、神戸市役所で働いている私をはじめ、職員たちだけで考えると、何か偏ったモノになるように思えます。

先輩職員から1993年には「不気味な風が吹いていた」と聞きましたが、私には今のほうが不気味に思えます。新型コロナもそうでしたが、まず物価が上がっています。毎日のランチや飲み会の値段どころか、住宅や土地までいろんな価格が上がっていくので、これからどうなるのだろうと思います。

そんな将来が見通しにくい時代だからこそ、いろんな人の意見を聴きたいと思いました。ハーバーランドにあるモニュメントで知られる「BE KOBE」、この言葉を決めるときに、インタビューやアンケートでたくさんの人の意見を聞きました。それと同じです。

アンケート実施中(9月30日まで)

そこで、いまWEBアンケートをやっています。

「神戸といえば、やっぱ〇〇やんなぁ」
「神戸の人って△△なとこ、ある」

鉄道駅のデジタル広告などで、「神戸のこれからをみんなで話そう」をコピーに黄色い吹き出しのイラストで呼びかけています。ひとり一人が考える神戸の魅力をストレートにお聞かせください。

須磨で開かれた意見交換会

このアンケートは9月30日まで。このあとは、アンケートで寄せられた意見をもとに、どうして「やっぱ〇〇やんなぁ」と思ったのかを教えてもらう段階に進めていく予定です。

<この記事を書いた人>
コーヒー好き /企画調整局政策課
民間企業での勤務を経て2014年に神戸市役所へ入庁。今年4月に現在の職場に異動となったが、その前が区役所勤務だったので、あまりの環境の変化に今も奮闘中の毎日。
某関西のプロ野球チーム×2を、家族で応援しているので、日本シリーズでの関西ダービー実現を夢見ている模様。

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