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神戸と横浜は何が違う? 横浜には「須磨海岸」みたいな場所がなかった!

「神戸は横浜とよく似ているね」

とよく言われます。実際に較べてみると、神戸と横浜は本当にそっくりなのです。

神戸と横浜の比較

横浜港と神戸港

幕末の1859年に横浜が開港、その9年後の1868年に神戸が続きます。神戸港はヨーロッパ航路が中心、横浜は主にアメリカ航路で栄えました。いずれも港近くに外国人の治外法権が認められた「外国人居留地」がありました。

いまから100年ほど前、日本の最も大事な輸出品は生糸。これを世界に向けて輸出するために、最後の検品と銘柄のラベル貼りをする「生糸検査場」が横浜と神戸につくられました。

神戸は西日本一円から、横浜は東日本から生糸を集めました。その建物は現在、横浜では横浜第2合同庁舎として、神戸ではデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)として使われています。

横浜第2合同庁舎
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

そして、港のランドマークも形は違いますが、「横浜マリンタワー」は1961年に開業し高さが106メートル、「神戸ポートタワー」は2年後の1963年の開業で高さが2メートル高い108メートルです。

名前からもライバルのバチバチ感ありと言わざるを得ないですね。

左が神戸ポートタワー、右が横浜マリンタワー

また、横浜中華街、神戸南京町とどちらも港の近くに中華街があるのもかぶっています。

「○○県▲▲市○○区」の謎

両者に「兵庫県神戸市兵庫区」「神奈川県横浜市神奈川区」と市名を挟む、県と同じ名前の区があります。

じつは幕末、日米修好通商条約などで欧米各国に開港を約束したのは「兵庫」の港でした。いまの兵庫突堤の付け根あたりです。

ところが、そこは山陽道の宿場町としてにぎわっていました。当時の幕府は地元住民らと外国人たちのもめ事を避けようと、そこから北に3.5キロほど離れた「神戸村」の南に港をつくって、外国に開いたのです。いまのメリケンパーク北部になります。

条約を守るために、各国には「神戸」を含めた広い範囲が「兵庫」だと言わざるを得なくなったとする説があります。やがて、明治政府は神戸を含めた県を「兵庫県」と名付けたのでした。

じつは、横浜も全く同じです。開港を約束したのは「神奈川」で、大きな宿場町があり、港がすでに栄えてきたので、その北側にあった人があまり住んでいない「横浜村」を開港の地としたのです。

横浜になく神戸にある天然の砂浜

埋立事業で造られた砂浜「海の公園」

国際貿易港があって海に面していれば、共通点が多いのは当たり前かもしれません。ところが、神戸と横浜のどちらにもありながら、似て非なるモノが一つあります。

それは、「砂浜」です。

横浜には金沢区の八景島の隣にある「海の公園」というところに、市内でたった一つの砂浜があります。海岸の埋立事業の一環として1987(昭和62)年に整備された人工の海水浴場で、夏になるとたくさんの人が訪れて、マリンスポーツを楽しんでいます。

横浜市にある「海の公園」

千年前と同じ白砂青松の浜辺!

神戸には「須磨海岸」があります。神戸の繁華街である三宮から電車で西へ15分でたどり着く白砂青松の海岸。
温暖な気候と風光明媚で知られるこのあたりは、平安時代から京の貴族の隠居先として人気を集め、源氏物語の舞台にもなりました。阪神間で残された最後の自然海岸です。

強力な須磨ブランド

人工のビーチとは一線を画した須磨海岸のブランドは、全国で通用します。

宮城県東松島市にある野蒜(のびる)海岸の最寄り駅、JR仙石線「野蒜駅」は「東北須磨駅」だった時代がありました。

広島県呉市仁方町には、「安芸の小須磨」と呼ばれる海岸があり、「呉八景」の一つに数えられています。

地元でもこのブランドは健在です。神戸にある高校は、とりわけ私立高校で「神戸」を校名につける事例が多いのですが、須磨区に10校ある高校の6校で校名には、神戸ではなく「須磨」を冠しています。ちなみに、隣の垂水区は5つの高校がありますが、「垂水」がついた校名はありません。

横浜の「須磨」はどこにある?

横浜近郊で探してみると、須磨のような場所はあります。それは、人気バスケ漫画「SLAMDUNK」に描かれた踏切のある江ノ電「鎌倉高校前駅」あたりです。

ただ、もはや横浜市内ではなく、横浜駅から藤沢で乗り換えると鎌倉高校前駅まで最速で51分。運賃も678円になります。

三宮駅から須磨駅は、最速13分で運賃は190円。

明石海峡大橋と瀬戸内海が見える移住先

海の見えるところに住みたい、海の近くに住みたいという思いは、人の自然な気持ちだと思います。

神戸に移住を希望しながら、そう考える人はたくさんいます。すると、須磨から垂水の西側あたりまでが人気エリアです。

須磨だけでなく、塩屋、垂水、舞子からは、淡路島・明石海峡大橋が間近に迫り、すばらしい海の景色が広がるからです。須磨海岸の近くに住めば、自分の庭のように、朝夕には浜辺を散歩をして、四季を楽しめます。

いうまでもなく、神戸には山や田園もある、自然に包まれた街です。

港町として栄え、歴史と文化を育んできた神戸。豊かな自然を大切にしながら、人にやさしく、住みやすい街へ発展していく姿を、ささやかながらも伝えていきたいと思います。

<この記事を書いた人>
田中 /地域協働局 こうべぐらしコンシェルジュ
長年勤務した旅行業にて仕事柄全国を見て回り、東京や福岡での暮らしを経て、大阪転勤を機に神戸に移住。「住むなら神戸」と実感しながら、移住を希望される方に向けて、神戸のさまざまな魅力を日々発信している。
『これから移住されたい方の神戸での“理想の暮らし”や“やりたいこと”を叶えるお手伝い』をしながら、「神戸に移住して良かった!」と言われることをモットーに奮闘中である。

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