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「こどもの居場所」を考える前に。まず自分の居場所はどこ?

「こどもの居場所づくり」。

この言葉、ここ数年でよく聞くようになったと思いませんか?
実は神戸市も、2021年度からこどもの居場所づくり展開を推進しています。

でも「こども」も「居場所」も広い範囲の言葉なので、どこかポワンとしています。っていうか、そもそも「居場所」って何だろう?

1月12日、三宮で「こどもの居場所づくりフォーラム」が開催されると聞いたので行ってきました。広報戦略部ライターのゴウがお届けします。

「こどもの居場所」の定義とは

広い範囲の言葉ではありますが、事業として「こどもの居場所」を語るときには、①こども食堂、②宿題の見守りや自習などの学習支援が2本柱となります。

他にお絵かきや好きな遊びをしたりと、地域の大人が見守る中で、小学生を中心とした子どもがやってくるスペースを「こどもの居場所」と呼んでいます。

もしかしたら、「家庭でしんどい事情を抱えた子が行く場所」というイメージもあるかもしれません。でも実際には、そうした事情に関係なく、その場所に「来たい」と思う地域の子どもがやってきているとのこと。

こうした「居場所」が増えている背景には、

  • 共働き・ひとり親家庭が増えて、子どもが家に1人でいる機会が増えたこと

  • 地域のつながりが昔に比べて薄くなってきた

  • そのため、今まで自然にできていた地域コミュニケーションを「意識的に」作る必要性を感じる人が増えてきた

などが挙げられます。

お正月に能登半島で大きな地震が起きましたし、まもなく阪神・淡路大震災から29年の日を迎えます。いざというときに地域に顔見知りがいると心強いよね、という意味もあります。

現在、神戸市内には約300か所の「こどもの居場所」があります。
開催頻度や内容はさまざまですが、きっとみなさんの近くにもあるはずです。

「こどもの居場所」ポータルサイトがあるので、こちらからご確認くださいね。

湯浅 誠さんからの問いかけ

フォーラムでは、こども食堂を支援する社会活動家、湯浅 誠さんが講演。

湯浅さんはまず、「ここにいるのは全員、大人ですよね。みなさん自身には居場所ってありますか?」と問いかけました。

湯浅 誠さん

うーん。改まって聞かれると答えに詰まるかも。
私の場合は、家庭とコワーキングスペースと、市役所の職場もそうかな? あとはバー。それくらいでしょうか? 意外に少ないですね(笑)。

ある調査では、1人あたりの居場所の平均は2.64か所なのだそうです。
つまり、2か所以上3か所未満。
よく「サードプレイス」の重要性がメディアで取り上げられるのもうなずけますね。

湯浅さんいわく、居場所とは
「誰かにちゃんと見てもらえている、受け止められている、尊重されていると感じられる場」のことで、その場が本当に「居場所」であるかどうかは、本人しか決められないとのこと。

言ってみれば「こどもの居場所づくり」は、本人の主観でしかない居場所を「意識的に」作ろうという活動。

だからこそ構えるのではなく「自分の居場所って何だろう?」と自問することで肩の力が抜け、「自分ごと」として考えられるのだそうです。なるほど~。

学生ボランティアをポイント制に?

後半のパネルディスカッションでは、市内でこどもの居場所を運営する3団体のみなさんと、湯浅さん、久元喜造市長、こども家庭局の中山局長がパネルディスカッション。

久元市長は、湯浅さんの講演を引用して
「居場所かどうかは本人(子ども)が決める中で、居場所たらしめるためにどうしていますか」と各団体に問いかけ。

  • 宿題をしたら駄菓子チケットをあげて、帰りに(居場所の中で)駄菓子屋さんをオープンする

  • 学習支援以外にもいろんなイベントをする

といった工夫や、

  • 「今日は学校にはあまり行きたくなかったけど」と言いながらここに来てくれたときに、この子の居場所になっているんだな、と感じる

といった意見もありました。

また、学生ボランティアの交通費を(運営費で)全額まかなえずに足が出るので補助してほしい、など神戸市に対する要望も出ていました。

これを聞いた湯浅さん、

「今のテクノロジーで、ボランティアをするとデジタルのポイントが貯まって大学生協で学食を食べられるようにするとか、そのポイント履歴を可視化すれば就職活動でプラスになるのでは?」

という斬新なアイデアを出してくれました。

こうした意見に、久元市長や中山局長は大きなヒントをもらったようでした。

協力したい!と思ったら…

平日の日中にもかかわらず、会場は満席。それだけ関心を持っている人が多いんだなと心強さを感じました。

もし「私もボランティアをしてみたいな」「まずは話を聞いてみたいな」と思ったら、各区の社会福祉協議会に活動の支援窓口があるので、覗いてみてくださいね。

活動に参加することはできないけれど、応援したい!という場合は「寄付」という方法があります。

食材など物資を直接寄付する方法や、

ふるさと納税で使い道に指定することもできます。

先ほど、大人の居場所についても考えましたよね。
私にとっては、バーが大切な居場所の一つ。

バーに1回行くくらいの金額を年に一度、子ども関係の事業に寄付するようにしようかな、と思いました。

それぞれが、無理のない範囲で地域の子どもを応援したいですね。

〈この記事を書いた人〉
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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