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温かい中学校給食へ大きな一歩! 神戸市の給食センターが完成

「おかずの冷たい中学校給食」から脱却すべく、数年前から取り組んでいる神戸市。今日は、その取り組みが大きく前進する日となりました。

そう、神戸市第一学校給食センターが完成したのです!

これで、温かい給食を食べられる中学校が年始からグンと増えますよ~。

完成した給食センターと、ここに至るまでの経緯について、広報戦略部ライターのゴウがお伝えします。


中学校給食、これまでの経緯をざっくり

神戸市の中学校は長年、自宅からお弁当を持参する方式でした。

しかし時代の流れに合わせ、2014年から中学校給食を始めることに。かといって小学校のように、各学校に給食室を新設するのは現実的ではありません。

そこで取りかかりやすい方法として、民間の調理施設で作った給食を各学校に配送してもらう「デリバリー・ランチボックス方式」を採用してきました。

現在使っているランチボックス

ところが現在の方式には、越えられない大きな壁があります。

それは、おかずが冷たいこと。

ランチボックス給食の場合、食中毒防止のために国の衛生管理基準で「ご飯は65℃以上、おかずは10℃以下」で温度管理することが決められているからなんです。

ルールだから仕方ないとはいえ、生徒や保護者のアンケートでも「温かい給食を食べたい」という意見が多数。

そこで教育委員会は2021年9月、すべての中学生が温かい給食を食べることを目指した基本方針を決定しました。

その方針による取り組みの目玉が、市内に新しく学校給食センターを2か所整備すること。そのうち1か所めが、きょう完成を迎えたというわけです。

給食センターで調理した給食は、ランチボックスではなく上の写真のような保温食缶で配送されるので、温かいおかずを食べることができます。

▼これまでの取り組みについて、詳しくはこちら

新しい給食センターってどんなん?

さて、新しい給食センターはどんな施設なんでしょう?

場所は垂水区狩口台。舞子駅からバスで10分ほどの距離です。西舞子小学校のすぐ隣の敷地に建てられました。

右側のクリーム色の建物が西舞子小学校

素材ごとに搬入口がはっきり分かれているのが、衛生的ですね。

調理施設として「だけ」ではなく、子どもたちの食育の場にもなるよう整備。こんなふうに大釜がたくさん並ぶ調理室は

2階通路から見学できるようになっています。

直接ここを訪れる課外授業の他にも、ICTを活用して学校にいながら調理のライブ中継・調理員とのオンライン交流を予定しています。

見学通路の壁には季節の行事ごとの食べ物や給食の歴史など、学べる展示が盛りだくさんです。

ここで久元喜造市長や福本靖教育長、来賓のみなさんは給食でランチタイム。

近隣の舞子中学校、西舞子小学校の児童・生徒のみなさんが配膳を手伝ってくれて、一緒にいただきます。

生徒さん、市長や教育長の前に座るとあって最初は緊張していましたが、大人サイドがざっくばらんに話しかけたこともあり、打ち解けて楽しく食事をしていましたよ。

久元市長は、カリフラワーのカレーマリネが気に入ったようでした。

うちの子の学校はいつから?

中学生のお子さんをお持ちの方にとって最大の関心事は「で、うちの子の学校はいつから給食が温かくなるの?」ですよね。

まず前提として、今回新たに整備する2か所の給食センターだけでは、市内82校すべての中学校で必要な給食(約3万7000食)をまかなうことはできません。

そこで、民間事業者が調理した給食を食缶で届ける「民間調理施設方式」と、近隣の小学校の給食室で中学校の分も調理してもらう「親子調理方式」も合わせて、3つの方式でカバーします。現時点では

  • 中央区6校(民間調理施設方式)

  • 中央区1校、須磨区3校(親子調理方式)

の10校で、先に温かい食缶給食が実施されています。

今回完成した第一学校給食センターは年明けの2025年1月(3学期)から、須磨区8校、垂水区11校の19校に給食を供給します。

その後は

  • 2025年4月 長田区6校、西区13校(民間調理施設方式)

  • 2026年1月 東灘区7校(民間調理施設方式)

  • 2026年1月 灘区5校、兵庫区5校、北区16校(給食センター方式)

の順で導入を予定しています。つまり来年度末には、すべての学校で温かい給食が食べられるようになるんですね!

詳しくは【中学校給食のページ】をご覧くださいね。

30年ぶりの給食に感涙!

私も取材後、この日の給食を試食させてもらえることに。アラフォーの私にとっては小学校以来、約30年ぶりの給食です。

この日の献立は

  • ご飯

  • 鶏のから揚げ

  • カリフラワーのカレーマリネ

  • 沢煮椀(野菜を細かく切った具沢山スープ)

  • みかんゼリー

現在は給食の移行期間ですので、学校の採用方式によって献立が異なります

みかんゼリーは「とくれん」じゃないですか!神戸っ子のソウルフードとくれん!

(製造は徳島ですけどね。「徳島県加工農業協同組合連合会」が作っていたから「とくれん」。今は組合は解散し、浅井缶詰という会社が製造しています)

心の中では狂喜乱舞。神戸在住のイラストレーター・有村綾さんのLINEスタンプそのまんま。

あ、ごめんなさい。とくれんは「温かい給食」に関係なかった……うれしくて取り乱してしまいました(笑)。

サラダ的なカリフラワーはともかく、メインの唐揚げが冷たいか温かいかで印象は全然違うんじゃないでしょうか。

そして、温かいスープ! 温かい給食が導入されると、スープや煮込み系の献立が多くなるのがうれしいですね。

味も美味しかったです。塩分計算も厳密におこなっていると聞いていたので薄味かと思いましたが、物足りなさは一切ありませんでした。

これらの中学校給食、1食にどれくらい費用がかかるかというと、現在は372円です。2年前に取材したときは340円でしたが、あの後も物価高騰がすごいですもんね……。

でも、保護者の負担額は170円です!

え、良心的すぎません?? 2年前の取材時から「半額は市が助成して170円」と言っていたのですが、物価高騰しても頑張って頑張って保護者の負担額は据え置いているんです。

きっとそこには、各種調整している職員や献立を考える栄養教諭、食材や調理関係者のみなさんそれぞれの、飽くなき尽力があるんですよね……!

今が寒い季節だということもありますが、私は今日の給食をいただいて、とくにスープを飲んだときに体がほっこり喜んで「人心地ついた~」と感じたんですね。

中学生って、心身ともに成長期で何かと「ゆらぎ」の大きい時期じゃないですか。学校に行っても楽しい場面ばかりじゃないと思うんです。

そんななか、朝登校してから下校するまでの間に、温かいものを口にする機会が1日1回あれば。物理的に体を温めることで、ちょっとだけ心もゆるまるんじゃないかな。

温かい給食が、生徒たちの学校生活にほんの1ミリでもプラスになればいいな。

朝ドラ『おむすび』で震災時の炊き出しのエピソードを見て、また1.17が近づいてきた今だからこそ、よりいっそう「温かい食事」の大切さが染みたゴウでした。

温かい中学校給食の完全実施まで、あと1年ちょっとです!!

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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