姫路~神戸の渋滞を何とかしたい!道路ができるまでの、長い長~い道のり
「姫路~神戸西部までの海沿いに、新しい道路を作ろうよ!」という決起大会が高砂市で開催されると聞き、取材に行ってきました!
取材前には、高砂名物の「にくてん」で腹ごしらえ。「にくてん」をご存じですか? 甘く味つけしたジャガイモと、牛すじ肉こんにゃく(ぼっかけ)の入ったお好み焼きのようなものです。ジャガイモのおかげで普通のお好み焼きよりおなかいっぱい!
さて、道路を新しく作るとは……?
この話を聞いた当初は、高度経済成長期でもあるまいし、これ以上新しい道路が必要なのかな? と疑問に思いました。
でも実は、この地域に道路が切望されるほどの深刻な課題があるんです。
その理由を、7月22日に開催された「播磨臨海地域道路 整備促進大会」とともに広報戦略部のゴウがお伝えします。
なぜ、新しい道路が必要なのか
新しい道路の建設が求められるのは、現在の国道2号バイパス(姫路、加古川バイパス)の慢性的な渋滞が深刻だからです。
姫路や高砂、加古川などの「播磨臨海地域」は工場などの多い「ものづくり地域」です。今回初めて知ったのですが、製造品の出荷額は愛知県の豊田市に次いで全国2位とのこと!
工場からの出荷はもちろんですが、ここ10~15年で、私たちもインターネットで買い物をする機会が増えましたよね。それだけ「品物を運ぶ車」が行きかっているということです。
国道2号バイパスが整備された頃に比べ、運ばれる物流の出荷額は20倍以上になっているとのこと。それだけ増えているのに高速で走れる自動車専用道路が1本しかない現状では、渋滞が起こるのは必至です。
ドライバーの貴重な時間の損失になるだけでなく、渋滞が原因と思われる追突など、交通事故も他の道路より発生率が高いのだそう。
だから臨海部にもう1本、自動車専用道路を作りたい!というのは地元の大きな願いなんです。
「新しい道路を作る」と聞いた私は、道路が増えることで走行する車が増え、排気CO2が増えるのでは?と心配になりました。
でもむしろ逆で、渋滞で停車している際のアイドリングが減るから、脱炭素にもつながるとのこと。なるほど~!
自治体と国会議員がタッグを組んで
道路がもう1本ほしいよね、という話は平成の初めごろから地元で出ていましたが、具体的に国が動き出したのは2013年から。現在は、道路建設による環境の影響を調べたり、都市計画案を考えたりしている段階です。
姫路市や加古川市を中心とした「道路を作ろう!」という動き(播磨臨海地域道路網協議会)に、神戸市も2019年から参画しました。
新しい道路は神戸市の西部も含まれますし、その道路を経由して神戸港から出荷される製品も多く、神戸市にとっても大きく関係するからです。
そのために今回、道路建設の機運を盛り上げ、地域の大きな期待や熱い想いを国に直接届けるための促進大会がおこなわれたのです。
開始時間になり、ホールの緞帳(どんちょう)が開いてびっくり!
関係者がずらりと並ぶ、こういう風景って珍しいですよね。
右側には道路整備を促進する国会議員連盟として、衆議院議員の渡海紀三朗さん、松本剛明総務大臣、参議院議員の清水貴之さん、伊藤孝江さん、末松信介さんら。
左側は地元自治体側で兵庫県の斎藤知事、姫路市の清元市長、加古川市の岡田市長、高砂市の都倉市長など。
政治にさほど詳しくない私でも知っている人ばかりで「播磨の政治家オールスターやん!」と思ってしまいました。
渡海さんは「高砂の自宅から上京するときは姫路駅に出ますが、空いていれば車で15分で行ける距離なのに、混んでいるときは1時間もかかる」と自身も渋滞に悩まされていることを吐露しました。
久元喜造市長は、地元自治体として「播磨臨海地域道路は、第二神明道路や工事中の神戸西バイパス、神戸港、神戸空港とつながり、神戸市にとってもきわめて重要です。また関西全体の発展につながる道路だと考えています」とあいさつしました。
長いスパンで未来を考える事業
大会では、作家の玉岡かおるさんの講演会も。
播磨や兵庫の歴史小説を書く玉岡さんは、歴史的な観点から播磨の交通の重要性を説明しました。
「道がつながらないと点のまま。播磨で作ったいいものがあふれてしまう。これを喜んでくれる人の元に届けて初めて、産業が成り立ちます」と道路の必要性を訴えました。
玉岡さんが最後に「私が生きている間に見たい」と言っていたのが印象的でした。
これだけ地元が結束しても今はまだ、道路の影も形もありません。道路を作るって、すごく長いスパンで未来を考える事業なんだなと改めて感じました。
取材を依頼されたときは正直、地味なテーマだなと思いましたが、知ってみると「プロジェクトX」的な感じがして、なかなか胸熱でした!!
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