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三宮・磯上スタバを飾る障害者アート、新長田で特別展を開催!

スターバックスといえば、店内がとても落ち着いていて、リラックスできます。それが好きな私はしばしば通っています。

この雰囲気を生むのは、店内の壁に飾られた絵画や写真、壁自体に描かれた壁画では?

こちらは、スターバックス三宮磯上通店の店内をいろどっているアート作品。

実は、新長田駅から北東に10分ほど歩いたところにある「片山工房」という福祉施設で、障害者の人たちが制作したものです。なぜ障害者の作品がスタバに?

片山工房代表の新川修平さんにお話を聞いてみました。


障害者×アート「片山工房」とは?

片山工房で制作された作品が、2018年からスターバックス三宮磯上通店の壁面を飾っています。

きっかけは、スターバックス側から働きかけがありました。一般社団法人Get in touchからスタバ店内に障害者アートを装飾できないかと検討していて、片山工房に白羽の矢が立ったそうです。

そして、障害者たちが片山工房で制作した10点の絵画が、この店舗の壁面を飾ることになりました。

片山工房の代表である新川さんは、2003年から前身であった作業所を引き継いで、障害者への福祉サービスをアートを通じてやりはじめましたとのことです。

ただ障害者がアートを制作して、社会へのつながりを保とうとする事業は、そんなに珍しくはありせん。

ところが、そのあと彼が語ったド直球な彼の考え方は、とても珍しいモノでした。

「障害者を助けているつもりはない。何かをしてあげてるという気持ちも一切ない。スタッフ全員が、ここで作業をする障害者たちを一人の「人」として対等に接する。同じ目線に立つことを大切にしている」

障害者の作業所だと、毎日障害を持った人たちが通って、何か作業をするものと思っていましたが、ここは違っていました。

ここに来ても、絵を描かなくても良いそうです。お茶を飲むだけ、スタッフと話すだけ、昼寝しても構わないという話なのです。

たしかにそんなふうに、個人の意思や想いを尊重したほうが、自由でのびのびとした創作活動につながるのではと感じました。

実際にある美術館の学芸員が、彼ら彼女たちの作品を見て、「すごくおもしろい」と評価され、美術館での特別展に至ったこともあります。

さらに昨年、片山工房はなんと米国ロサンゼルスでの単独展を開催。作品自体の力がどうやら太平洋を越えたようです。

新川さんは「5年ほど前から、絵を見た人たちが笑顔になると感じた。そこで、福祉の世界では前例のない、エンターテインメントを重視して、もっと華やかな場所で絵を見てもらおうと考えた」と企画した理由を話していました。

スターバックス三宮磯上通店にて

今度はスターバックス三宮磯上通店のストアマネージャーの塚原優希さんに話を聞いてみました。片山工房の絵はどんな力を持っているのでしょうか。

―― スターバックスでは店内の装飾は店ごとに違うのですか?

はい。どのようなエリアに立地していて、どのようなお客さんが来るのかに合わせて、店ごとに写真、絵画、壁画は違っています。同じ三宮エリアでも、片山工房のアートが飾られているのは、ここだけです。

障害者のアートというと、わざわざ展覧会に足を運んで鑑賞するものだと思っていました。それが店内にさりげなく飾られているというのは、不思議な感覚です。

―― 店内の印象は変わりますか?

店内を飾るのが写真だと堅い感じになりがちですが、絵だと柔らかい雰囲気になります。特に、片山工房さんの絵はなにかぬくもりを感じませます。冬でも空気を温めるような。

新長田合同庁舎で展示会開催【終了】

そんな片山工房は、11月5日から13日まで、新長田合同庁舎1階で展覧会を開いています(入場無料)。地元で絵を展示するのは初めて。昨日10日までに880人が来場するほど盛況です!

私自身、片山工房を知るようになるまでは、アート鑑賞といえば、なんとなく敷居が高いと思っていました。

ですが、片山工房で自由に活動している人たちを知って、つくる方も見る方も、自由に楽しんだらいいんだと思うと、何か自分のなかのアートへの考え方が変わったような気がします。

最近はすっかり過ごしやすい気候になりましたね。

スタバで障害者アートを楽しんだり、時間があれば新長田合同庁舎での展示会に行ったりするのは、いかがでしょうか。

<この記事を書いた人>
K.T /長田区地域協働課
社会人経験者枠で採用され、1年目の職員である。行政の仕事は初めてで、まだまだ慣れない日々を送る。5歳と3歳の息子の影響で、電車や新幹線にはずいぶん詳しくなったようだが、実は飛行機が好き。「ていねいな暮らし」に憧れながら、バタバタした日々を送っている。

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