4年ぶりのルミナリエ これまでと何が違う?
コロナで初めて中断された神戸ルミナリエ
今年、冬の神戸を彩る「神戸ルミナリエ」が、4年ぶりに開催されます。
「神戸ルミナリエ」は、1995年1月17日に兵庫県南部地方を襲った阪神・淡路大震災の記憶を次の世代に語り継ぐ、神戸のまちの希望を象徴する行事です。
2020年から3年間、コロナのために中断されていました。
4年ぶりの開催…これまでと何が違うのでしょうか?
2024年は場所、時期、楽しみ方が違う
①場所:メリケンパークを含め分散型会場
さっそくですが、今年の会場。
最初に見た時、かなりびっくりしました。
あれ??道路を一方通行で歩いて東遊園地へ向かう…いつものルミナリエとは違う?
そうです。違います。
今回は、会場が分散されます。
例年のように、順路を指定せず、自由に歩き回って作品を楽しめます。
会場は、旧居留地や東遊園地のほか、新たにメリケンパークも会場になります。
なぜこのようにかわったのでしょうか??
上の図は、前回までの動線です。
来場する人は大変でした。
ルミナリエ会場にたどり着くために、大きく迂回します。
光のアーチ(ガレリア)は元町側から始まるのに、行列の最後尾は、三宮駅付近まで…という時間帯も多かったです。
三宮→元町→旧居留地→ガレリア(ルミナリエ会場)入口→ガレリア通り抜け→東遊園地会場…
寒い中で歩くのはけっこう疲れます…。
そして、行列に横入りできないように、柵(バリケード)が設置されます。
そのため、道路沿いの店舗にはお客さんが入れず、会場周辺のお店も困っていました。
そこで、来場者や会場周辺のお店の負担をなくすため、会場を分散させて回遊性を向上しようというわけです。
こうすれば、まちの回遊性が高まり、ルミナリエの灯りに照らされる美しい神戸の街並みを、ゆったりと楽しめそうです。
そして、散策とともに会場周辺の飲食店を利用することで、地域経済にも貢献できるのではないでしょうか。
また、バリケード設置費用もかからず、主催者側も低コストで運営できるメリットがありますね。
②開催時期:初めて1月に
そして、もう一つ大きく違うのは開催時期。
例年は12月の開催でした。クリスマスのデートにルミナリエへ行った方も多いのではないでしょうか?
じつは私も20代のころに行った覚えがあります。
ですが、今年のルミナリエは1月19~28日の開催です。
なぜ、今年は1月に開催なのでしょうか。
ルミナリエの始まりを知ると、納得できる答えがあります。
第1回のルミナリエは、1995年の12月に開催されました。
1995年1月17日、神戸を襲った阪神・淡路大震災。犠牲者への慰霊と鎮魂の意を込めた「送り火」として。そして、間もなく新しい年を迎える神戸の復興・再生への夢と希望を託したのが、「神戸ルミナリエ」だったのです。
11日間で254万人を超す観客が来場し、神戸の夜に灯った光は、震災で打ちひしがれた神戸の街と市民に大きな勇気と希望をもたらします。
それと同時に、経済的にも予想をはるかに上回る効果がありました。
そうして、観光産業をはじめとする経済界からも、継続開催を求める強い声が寄せられ、冬の観光の柱として定着していきます。
こうしてルミナリエは、「慰霊と鎮魂の意」と「神戸の復興・再生(経済効果)」の2つの目的を持って始まり、続いてきたわけです。
しかし、ルミナリエの知名度が上がり、震災から年数が経つほど、さきほど述べたような周辺のお店や来場者の負担が大きくなってきました。
そこで、「慰霊と鎮魂の意」をより尊重し、震災のあった1月に開催することになったのです。
③楽しみ方:有料エリアも追加→前売券がお得!!
神戸ルミナリエはこれまで、観覧は無料。
現地で100円募金を募る形で運営してきました。
今回、新たに追加されたメリケンパーク会場には、テクノロジーを活用したAR体験や、ゆっくり鑑賞できるように、観覧人数を制限した有料エリアがあるそうです。
人混みが苦手な方には嬉しいですね。
<有料エリアの各券種>
・当日券1000円
・前売券500円
※小学生以下無料(お子様だけの入場は不可)
その他の会場では、これまでどおり入場料を払う必要がありません。
地元企業からの協賛金や、「一人100円」募金、ルミナリエ宝くじの収益などで開催費用が賄われます。
点灯時間は薄暮〜21:30まで
点灯時間は変わっていませんね。薄暮の17:00ごろから点灯されます!
ルミナリエの費用ってじっさいどぉなん?
ところで、ルミナリエってどれくらいのお金がかかっているのでしょうか。
ルミナリエは、兵庫県・神戸市・神戸商工会議所などで構成する神戸ルミナリエ組織委員会が主催しています。
開催経費は、約5億円です。
残念ながら、企業協賛金や来場者の寄付は毎年減っています。
そういった中で、警備費用の削減や経済活性にもつながる分散型の開催は、持続的なイベント運営の面でも期待できるのではないでしょうか。
新しいルミナリエが気になるけど、遠方で行けないという方へ。
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みなさんの思いを形にしていただければ、うれしいです。
イチオシの行き方・ルート
今年はバリケードを設けた順路がなく、自由に作品を観覧できます。
設置予定の作品を見比べると、前回同様に光のアーチを楽しみたい方は、有料エリアのメリケンパークへ。
ゆっくり歩きながら、それぞれの作品を鑑賞したい方は、前回と同じように仲町通を通って、東遊園地方向へ居留地周辺を回るのがよいのではないでしょうか。
まとめ
慰霊と鎮魂の祈りのために訪れる方、また、芸術の鑑賞やデートで訪れる方。神戸ルミナリエは、人によって色々な位置づけがあっていいと思っています。
この時期になると、毎年のように、震災の記憶が月日とともに風化しているというニュースを目にします。
次世代に伝えていくために、経済効果ももたらす「神戸ルミナリエ」という形で、震災の記憶が後世に伝わることを願います。
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