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ビール片手に「路上」でライブ鑑賞! 奇妙な半地下の空間が三宮にある理由

三宮駅から500メートルほど南に「三宮プラッツ」と呼ばれる半地下の広場があります。コンビニの店内よりやや広め。真っ白のコンクリートに囲まれ、地下におりていく階段の隣はベンチが備わっています。

見上げると、白い外観と鏡を組み合わせた大きな天井(ルーフ)に覆われています。

昨年からここで、音楽ライブ、ビアガーデン、アートイベント、さらに物販の催しが、日替わりで行われています。これを開催するのは、企業や団体、個人など。幅広いジャンルで使われています。

でも、この場所をよく見ると歩道と車道に囲まれています。じつはここ、法律上の「道路」にあたります。路上でのライブや物販は許されていません。

この記事では、そのからくりに秘めた神戸市の考え方と、三宮プラッツの魅力をお伝えしようと思います。

三宮プラッツの歴史

どのような意図でこの空間がつくられたのでしょうか? 

調べたのですが、よく分りませんでした...

三宮プラッツの北側にある三宮中央通りという道路の地下には、地下鉄海岸線が東西に走っています。2001年に開業した海岸線の建設工事にあわせて、地下鉄トンネルの上に地下駐車場、さらにその上にさんちかと大丸をつなぐ地下通路が整備されました。

三宮中央通り(神戸国際会館前の交差点から)

そのときに、地上と駐車場や地下通路を行き来するためにつくられた場所が、三宮プラッツの原型です。

駐車場などに行く歩行者が通るだけなので、長年の間、とても寂しかったのです。

ですが、こうなるのはある意味では当たり前なのです。というのは、この場所は道路に当たります。車が通らないので、歩道の一種のような存在です。

道路である歩道で、許可を得ずに、大道芸やライブをやるとどうなると思いますか?

おそらく誰かが警察に通報して、取り締まるために警察官が現れます。道路上でそのような行為を勝手にするのは、違法行為になります。

歩道は人が自由に通行できなければいけないので、ライブなどでたくさんの人が滞留するのは、あってはならないことなのです。

道路から脱却しにぎわいの場へ

けれどこの空間、イベントをしても人が問題なく通行できる広さがあります。このままだともったいない。街のにぎわい創出に活用できるのではと、2013年頃から検討がはじまりました。

じつは道路管理者である神戸市と、交通管理者である警察署が許可を出せば、企業や個人が道路上で催しなどができるという規定があります。それを思い切って使おうと考えました。

とはいえ、いきなりハードの整備をして、誰も使ってくれなければ目も当てられません。そこでまず、2014年から実験的な利用をはじめました。すると、音楽ライブ、飲食の臨時店舗、ダンスイベントなどで使われます。

手ごたえありと判断した神戸市は、ここを「三宮プラッツ(ドイツ語で広場という意味)」と呼ぶことにして、大改造工事を施す決断をしました。

工事では、新しいランドマークをと、天井(ルーフ)が整備されました。ここでライブやイベントをすると、鏡面仕上げのルーフが万華鏡の役割を果たして、プラッツでの盛り上がりがまわりの街に伝播していくというコンセプトがあります。

新型コロナパンデミックという壁

ところが、いよいよ完成という2020年3月。新型コロナのパンデミックに直面します。

4月1日に予定されていた記念式典は中止。せっかく工事をしたのですが、しばらくは使うことはできません。コロナの終息を待つしかありませんでした。

新しい三宮のにぎわいスポットへ

ようやくコロナ禍は終わりました。ただ、コロナのせいで三宮プラッツの知名度はイマイチなのは否定できません。そこで、たくさんの人にまず使ってもらおうと、2022年8月から使用料を無料にしました(音響など設備の貸出は有料)。

申込は、6カ月前からウェブサイトで行えます。街ににぎわいをもたらすイベントであれば開催可能です。

先週の8月22日は、神戸のライブハウス、BLUEPORTがプラッツに登場。毎月行われている弾き語りイベント「the reason」の特別編で、たくさんのアーティストが出演していました。

仕事帰りに立ち寄った男性。ハートランドビールを一杯だけ楽しんだという彼は、こう言っていました。

「静かにたそがれに向かうとき。ギターの音色に誘われました。ここが使われていなかった公共空間であるとは、ちょっと信じられないですね」

毎週、水曜と金曜にはストリートライブ「Busk in KOBE」が開催されています。ライブハウスでのオーディションを勝ち抜いた、実力派ミュージシャンの演奏が楽しめます。

三宮プラッツで、どんなイベントをやっているのかは、以下のウェブサイトからご覧ください。三宮にお越しの際は、いちど足を運んでみては、いかがでしょうか。

<この記事を書いた人>
きのすけ /都市局未来都市推進課
神戸市生まれの神戸市育ち。妻、長女、長男の4人家族。神戸市職員でありながら、野外音楽イベントを主催する「神戸周遊フェス実行委員会」の副委員長や北区山田町のキャンプ場「KOBE川の音ベース」のディレクターなどを務めている。
屋外で過ごすのが好きらしく、まちなかの空きスペースを見つけると、テンションMAX になるらしい。

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