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県立兵庫高校に久元市長 まさかの「子ども医療費」をめぐる白熱議論!

もうすぐクリスマス!神戸市内で有数の進学校である県立兵庫高校に12月21日、久元喜造市長があらわれました。

冬休みに向けてだいぶテンションが上がりがちな季節ですね。はたして何をしに? 潜入レポートをしてみました!


県立兵庫高校ってどんな学校?

兵庫高校といえば、旧制中学であった「第二神戸中学(神戸二中)」が前身で、創立が1908年という伝統校。神戸で公立高校を受験するときの学区が3つに分かれていた頃は、第2学区(兵庫区、北区、長田区)でのトップ校でした。私服で通学する人もたくさんいて、自由な校風で知られています。

また、1945年1月に旧沖縄県の最後の知事として赴任した島田 叡(しまだ あきら)さんの母校です。校内の一角にある島田知事を想って建てられた「合掌の碑」に久元市長はそっと手を合わせました。

そんな兵庫高校で、きょう久元市長と向き合ったのは「創造科学科」1年生の37人。創造科学科・・ちょっと見慣れない言葉です。
従来からあった普通科とは別に2016年につくられました。数学や理科の勉強に重点を置きながら、クリエイティブ力や科学的思考力を身につけていこうとする新しい学科。

おどろくのは、各学年で1クラス40人だけなので、高校の3年間クラス替えがありません!!ちなみに、私は学年517人で11クラスの高校だったので、3年間同じ学級の人は一人もいなかったです。すごい差を感じます。

SDGsがテーマのはずが、あれれっ!

きょうのテーマは「環境問題から考える民主主義 - SDGs貢献都市 神戸 -」です。

CO2を排出しない水素エネルギーの活用、プラスチックごみの回収、肥料原料の下水からの抽出、里山の再生といった、神戸市が進めてきた事業を久元市長が説明しました。

そのあと、7つのグループに分かれて話したいことをまとめました。すると、3つのグループから提案されたのはさっきの説明で触れられていなかった「子育て支援」だったのです。

そうなると、久元市長は「じゃあ今日は子育ての話をしましょう。どんどん提案してください」と、すかさずギアを切り替えます。

子ども医療費をタダにできないのか?

明石市では子どもの医療費が無料なのに、どうして神戸市はできないかとストレートに聞いてきます。ある女子生徒はこないだ骨折したら、レントゲンを撮って5000円も支払うことになったと、切実に訴えます。

これに久元市長は、「人口が100万人以上の自治体で高校生までの医療費を無料にしている例はほとんどない。というのは、大都市には規模が大きく高度な医療ができる病院が集まっている。無料にすると、子どもがそういった病院に殺到して、パンクするおそれがある。兵庫県全体の医療を担っている神戸市で、一律無料というのはすべきではないと私は考えている」ときっぱりと言いました。

これには男子生徒が「であれば、そういう大きな病院では料金を高くして、これくらいの症状なら別の病院に行ってくださいとすればいいのでは」と勇気をもって意見しました。

「国の診療報酬の制度があるので、神戸市の判断でそれはできない。そして、患者が来れば病院は拒否できないもの。まずはかかりつけ医に見てもらうように言っても、大きな病院に行きたがる人がいるのが現実だ」と返した久元市長。

2023年10月からこれまで中学生までを対象としていた外来の医療費助成を高校生にまで拡大します。これまで高校生は外来での医療費は通常どおりの負担でしたが、1医療機関・薬局ごとに1日最大400円になる予定です。
参考URL「高校生の外来医療費助成(2023年10月〜)」:
https://www.city.kobe.lg.jp/a52670/20230309.html

魅力的な学校があるのが神戸

そんななか、逆の意見をいう生徒もいました。「医療費ゼロには反対です。むしろ、子どもが生まれて小さいときの支援は明石市に任せて手薄にして、逆に高校に行く段階での支援を充実させては」というモノです。

この学科には、淡路や西宮からも通っている生徒がいます。それどころか神戸には私立を含めてとても魅力的な学校が多い。それにひかれて神戸に引っ越す人もいるはずだということです。

これには、久元市長は「兵庫県が学区を見直したことで、遠くの高校に通う生徒が増えたので、通学定期券の購入助成をはじめた。ただ、子育てをほかに任せるという選択肢はない。医療費と第2子までの保育料を除くと、神戸市は充実している。例えば、学童保育だと子ども一人当たりの児童館の数では明石市よりずっと多い。産後ケアや教育格差をなくすための学習支援も同様だ」と答えました。

生徒たちの質問は、荒削りなものが多かったのですが、切れ味があって、しかも勢いを感じました。そういったピュアな疑問に真正面から答えた市長。
もしかすると、生徒たちにとって忘れられないクリスマスのイベントになったのではないでしょうか。

<この記事を書いた人>
多名部 重則/広報戦略部長兼広報官、Forbes JAPAN Official Columnist
1997年神戸市採用。米国シリコンバレーの投資ファンド「500 Startups」との起業家育成を軸にしたイノベーション施策を2015年に立ち上げた。同じころアフリカ・ルワンダ共和国との交流事業を推進。2020年からデザイナー・映像クリエイター・ライターなど副業人材を登用して市の広報業務の変革に挑んでいる。博士(情報学)。

多名部 重則 Forbes JAPAN 執筆記事

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