競馬のG1レース「有馬記念」と「有馬温泉」の深いふかーいつながり!
12月24日にJRA(日本中央競馬会)のG1レース「有馬記念」が開催されます。今年はクリスマスイブの日になりますね!
G1に出走する馬たちは、戦歴や獲得賞金で決められます。ですが、この「有馬記念」と夏に開かれる「宝塚記念」だけは、競馬ファンの投票で出走する馬が決定。なので、最高の賞を意味する「グランプリ」と呼ばれています。
そして「有馬記念」は、長らくその年の中央競馬、最終の開催日に行われていたので、暮れの風物詩としてすっかり定着。このレースを伝えるニュースが流れると、今年が終わるなと感じます。
話は変わりますが、神戸にある1400年の歴史を誇る名湯が「有馬温泉」です。同じ『有馬』という名前がついています。
もし有馬記念を兵庫県宝塚市にある阪神競馬場でやるのなら、なにか関係がありそう。ですが、実際に開催されるのは千葉県船橋市の中山競馬場。有馬温泉からは550キロメートルも離れています。
ところが、この「有馬記念」と「有馬温泉」は遠いところでしっかりとつながりがあったのです!
有馬記念の名前の意味と由来
戦前から日本にあった競馬は、1948年に農林省のもとで国営競馬として行われる現在の形になりました。
農林大臣をしたあと中央競馬会の理事長に就いた有馬頼寧(よりやす)が、大改修中の中山競馬場で「ファンが出走馬を決めるレースをやってみたい」と提案をします。
当時は、4歳馬(現在でいう3歳馬)の頂点を決める「東京優駿(日本ダービー)」が開かれる東京競馬場(東京都府中市)に較べて、地味だった中山競馬場にテコ入れをしようと考えたようです。
皐月賞、日本ダービー、菊花賞など4歳馬だけが出走できるクラシック競争を戦った若い馬たちが、それより上の世代の5歳以上の馬に、はじめてぶつかる日本一決定戦、それを年末にやる。そんなロマンのある発想が多くの人の賛同を得て、現実のものとなります。
1956年12月23日に「中山グランプリ」というレースが開催。ふだんの観客は1万人を超えない中山競馬場が、なんと2万7801人という大観衆で埋め尽くされました!
ところがレースから17日後となる翌年1月9日、発案者であった有馬頼寧が肺炎で急逝。
今から振り返っても、競馬界に大きな功績を残した彼の名をこのレースにつけることが決まり、その翌年の「中山グランプリ」は「有馬記念」という名前に変更され、現在まで続いています。
関西の奥座敷・有馬温泉
一方で、有馬温泉の歴史は古く、日本書紀や枕草子にも描かれていて、かの太閤秀吉も愛した、関西の奥座敷でもあります。
褐色の名物湯「金泉」と無色透明な「銀泉」の異なる性質を持つ二つの湯が楽しめます。数々の文豪や著名人に愛され、今でも昔ながらの情緒あふれる温泉街が広がっています。
有馬記念と有馬温泉のつながり
じつは「有馬」という地名で両者はつながっています。といっても、いま地名で残っているのは「神戸市北区有馬町」だけで、有馬温泉のあたりの狭いエリアを指します。
ところが、「有馬」という名がつく小学校、中学校、高校がそれぞれ存在します。小学校は有馬町にあるのですが、中学校は隣の北区有野台、高校はなんと神戸市ではなく三田市にあるのです。
タネ明かしをすると、いまの神戸市北区、三田市、西宮市の一部という広いエリアを、古代から摂津の国の「有馬郡」と呼ばれていたのでした。
じつは有馬記念の由来となった有馬頼寧、彼の先祖が戦国時代にこの有馬郡を領地にしたときに有馬の性を名乗るようになりました。
その後、有馬家は有馬と福知山の8万石を治めていたところ、大阪の陣の功績で久留米21万石に大幅に加増され九州に移ります。久留米藩の15代目の当主に当たるのが有馬頼寧だったのです。
言うまでもなく、有馬郡の語源は歴史ある有馬温泉。
有馬記念と有馬温泉は、同じ「有馬」という地名に由来する、つながったものだったのです。
住宅と田園が織りなす北神エリア
摂津の「有馬郡」と呼ばれた地域は、今は緑豊かな山並みに囲まれ、のどかな田園風景とニュータウンが織り交ざった、たいへん暮らしやすいところに姿を変えました。神戸市北区でも北神エリアと呼ばれています。
道場(どうじょう)、長尾、大沢(おうぞう)、淡河(おうご)、八多、有野、そして有馬の7つの町からなっています。
このエリアの中心地が岡場です。自然豊かな中に新しく整備された住宅街があり、神戸電鉄岡場駅の駅前には区役所・病院・図書館・ショッピング施設も充実しています。ちなみに、岡場から有馬温泉までは電車でたったの15分。三宮までも29分です。
さらに北部には、西日本最大級の規模を誇る「神戸三田プレミアム・アウトレット」があり、いつも賑わっています。
歴史ある茅葺民家や田園風景、そして豊かな里山が広がり移住者からも人気があるのが淡河と大沢です。あと、長尾と道場からはJR三田駅を経由して大阪への通勤も便利です。三田駅から大阪駅には直通39分で行けるのが魅力です。
都会の喧噪から離れ、いで湯が沸く有馬温泉、そこから北へ広がる山と川に囲まれた北神エリア。ゆったりと流れる時間を感じながら、自然豊かでのびのびと暮らせる場所でもあります。現役や子育て世代だけでなく、仕事をリタイアした人でも移住すると、暮らしやすいところではないでしょうか。
宿泊するとちょっぴりお高い有馬温泉。その名湯を楽しみながら、移住の下見的な小旅行をいちど計画されてみてはいかがでしょうか?