阪神・淡路大震災から28年 神戸の防災って進んだの?
阪神・淡路大震災から28年になります。日本では高層ビルや高速道路がある近代都市を襲ったはじめての直下型地震でした。この震災での経験と教訓を次の世代に引き継いでいこうと、神戸市では1月17日を「市民防災の日」としています。
阪神大震災からの復興の先に
大震災からの復旧と復興にはかなりの年月がかかりました。ですが、復興をとげた神戸の街の中心部がいま大きく変わろうとしています。三宮駅の周辺やその南にある神戸港での再開発、さらに神戸空港の国際化などです。
映画「すずめの戸締まり」に登場
昨年、新海 誠監督のアニメ映画「すずめの戸締まり」が公開されました。じつはこの記事を書いている私は新海監督の大ファンです。前作「天気の子」は映画館に7回も通ってしまいました。
この映画では、日本各地の廃墟で「扉」が開いてその向こうから災いがやってきます。そこで、その扉を閉めようと、扉の閉師である草太と高校生の鈴芽(すずめ)が日本中を旅するというストーリーです。
なんと!! 劇中に神戸が登場するのです。
その理由として新海監督はこう語っています。
日本列島に住んでいる限り、地震だけでなく風水害など自然災害からのがれることはできません。この映画を見た私は、大震災を経てもなお、そこから力強く前に進んできた神戸の街や人が、ロールモデル(先進事例)となりうるのではないかと感じました。
そんな神戸で進めてきた防災の取組みのなかから、二つのホットな事例を紹介します。
神戸の防災はどのくらい進んだ?
災害情報をLINEで収集
阪神・淡路大震災は夜が明ける前に起こりました。日がのぼると報道機関のヘリコプターの映像などで、あちこちでの火災の発生や高速道路の倒壊がわかりました。
今では災害が起こると消防や現場にいる職員、あるいはすでに設置しているカメラやセンサーなどから、被害の状況をつかもうとします。ですが、リアルタイムに把握するには、どうしても限界があるのです。
そこで神戸市では、住民のみなさんから身のまわりの状況を「LINE」を使って投稿してもらい、災害対策本部などでその情報を利用することで、避難情報を発令したりするのに役立てています。
じっさいに昨年9月の3連休に台風14号が日本を縦断したときも、200件余りの投稿がありました。
写真は、そのときの投稿数を地図に示したもので、「風が強くなってきた」や「現在雨は降っていません。南寄りの風が強く吹いています」などが寄せられました。
投稿で神戸市が被害の状況をつかめます。それだけでなく、利用者のみなさん自身もその内容を確認でき、どこでどんな災害が起こっているかを把握することができるのです。
投稿が増えるほど神戸市の防災はよくなります。この記事を読んでいただいたのもなにかのご縁。ぜひこちらから登録をお願いします!
電気自動車から避難所に電気を
阪神・淡路大震災では、大規模な停電が発生しました。最初は避難所に照明がほとんどなく、夜には暗闇になるところもありました。そして、仮設電話には順番を待つ長蛇の列。
たしかに今はほとんどの人がスマホを持っています。ただ、充電がなくなってしまえば使えません。
神戸市では、避難所で電気自動車(EV)などのバッテリーに充電されている電気を取り出して、照明や携帯電話の充電に供給できるようにする工事を進めています。「外部給電・神戸モデル」と呼んでいるのですが、2024年3月までに避難所となるすべての市立小中学校等で工事が完了する予定です。
実際の災害のときに電気自動車などが使えるように、自動車を販売している事業者と合同での訓練もしています。もちろん、いざというときに避難所を使うことになる近隣の住民の皆さんも一緒にです。
あなたなら何を未来に持っていく?
来週1月17日に阪神・淡路大震災から28年になります。
そこで、あなたが未来へ持っていきたい「宝物(Treasure)」、それと未来にあったらいいなと思う「未来(Future)」を募集するイベントをおこないます。
大きな災害を経験し、そこから復興を歩んできた、神戸のみなさんだから持っている、大切なメッセージがきっとあります。日本中の方々がそれを知りたがっているのではないのでしょうか。
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