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【消防指令事務】三田市と共同運用することになりました

急病や火事のときは、すぐ消防へ119番! この消防は、基礎自治体(市や町など、もっとも小さい単位の自治体)が担っています。

119番通報を受けて救急車・消防車の出動を指令することを「消防指令事務」といいますが、その消防指令事務を、神戸市と三田市が共同で運用することになりました

12月26日、事務委託に関する協議書の締結式がおこなわれました。

森哲男三田市長(左)と、久元喜造神戸市長

具体的には、三田市が消防指令事務を神戸市に委託する形になります。
共同運用することで私たち市民にどんなメリットがあるのか、逆にデメリットは生まれないのか、広報戦略部ライターのゴウがお伝えします。

共同運用でどんなメリットがあるの?

神戸市の北東エリア(北神地域)は三田市と隣接しています。現在は119番通報を、神戸市・三田市それぞれが受けて消防車や救急車を出動させています。

共同運用をするようになると、三田市の消防指令事務を神戸市が受託します。神戸市・三田市両方の119番通報を受信し、それぞれの消防署に配置されている消防車や救急車に出動指令をすることになります。

このたび共同化するのは「消防指令事務」のみで、現場への出動やその他の業務は、それぞれの消防がおこないます。

共同運用することで、私たち市民にはどんなメリットがあるのでしょうか。

一言でいえば、スピーディーな出動が可能になります

たとえば、市境に近い地域(神戸側)で急病人が出たとき。
本来、対応するのは神戸市の消防ですが、急病人宅から最も近い消防署の救急車が出動中で、対応できないことがあります。

じゃあ2番目に近い消防署……となるのですが、市境に近いお宅だったら、三田市の消防署のほうが近いこともありますよね。

現在は、他の自治体の消防の「空き状況」がわからないので、こちらから確認し、応援要請をしなければいけません。

しかし消防指令事務が共同運用されれば、互いの「空き状況」が見えるようになるので、災害(急病)現場の状況に即した出動がスムーズにできるようになります。

実は私も、神戸市と明石市の市境で交通事故に遭遇し、救急車を呼んだことがあります。

その場所は住所的には明石市だったのですが、携帯電話がつながったのは神戸市の消防。電話口で「こちらは神戸市消防だから、明石市消防に転送しますね」と言われたのです。

転送の待ち時間は、1分ほどだったでしょうか。
このときは命に関わる状況ではなかったのでよかったものの、もし脳梗塞や心筋梗塞だったら、この1分が命取りになるかも……と不安を感じました。

消防指令事務が共同運用されれば、こうしたタイムラグが発生しなくなるので心強いですね!

市境で大きな事故が起こった時には効果的

このようにメリットは認識されているものの、消防システムを変更するのは、そう簡単なことではありません。今回は、両市の消防システム更新のタイミングが重なったため、共同運用が実現することになりました。

119がつながりにくくならない?

協議書の締結式で、久元市長は

「阪神・淡路大震災のとき、全国から456もの消防本部が神戸に駆けつけてくれた。中でもいち早く駆けつけてくれたのが三田市で、当時を知る職員から『たいへんありがたかった』と聞いている。両市民の安全・安心のために消防指令事務を共同運用できることをうれしく思う」と話し、

森三田市長も「高齢化が進む中、(三田市の)人口15倍の神戸市の協力を得て救急体制を確立できることは、たいへんありがたい。市民を代表して感謝したい」と共同運用に期待を寄せました。

でも、一つ気になることが。

119番通報を受ける対象範囲が広くなる(=対象者数が増える)ことで、私たち神戸市民が119番したとき、これまでより電話がつながりにくくなったりしないのでしょうか?

(*両市の1年間の119受信件数は、神戸市が約12万件、三田市が約6500件です)

消防局に聞いてみると、

「消防指令事務を『委託』されるので、三田市から神戸市に委託費が支払われます。その費用を使って体制を充実させるので、回線がパンクするなどの心配はありません」

とのこと。よかった……。それを聞いて一安心です。

運用開始までのスケジュール

消防指令事務は市民の皆さんの命に関わることですから、共同運用の開始を「すぐに」というわけにはいきません。

2027(令和9)年度の運用開始に向けて、以下のようなスケジュールを予定しています。

2022年12月  
 協議書の締結(★イマココ!)
 消防指令事務 共同運用準備委員会の設置

2023年度
 共同指令センターシステム構築仕様書の策定
 運用および費用負担方法の調整

2024年度 
 システム調達

2025~2026年度 
 共同指令センターの構築(庁舎の工事や機械設置など)

2027年度 
 共同指令センターの運用開始

約5年かけて、新体制を構築していきます。

なお、隣接する他の自治体(芦屋市、西宮市、三木市、明石市、宝塚市、加古川市、稲美町、淡路広域消防事務組合)とは、「消防相互応援協定」を結んでいます。
ただ現段階では、消防指令事務の共同運用化の予定はありません。

さて、いよいよ年末ですね。年末年始に限ったことではありませんが、冬はストーブなど火の気が多くなります。

出かけるときや寝るときには、電源や元栓がOFFになっていることを必ず「指さし確認」しましょう。「指さし確認」をすることで、うっかり忘れがグンと減るんですって!

<この記事を書いた人>
ライター ゴウ/神戸市広報戦略部 クリエイティブディレクター(ライター)
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。年賀状を1枚も書いていないことに、焦り始めた今日このごろ。

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