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神戸市役所で働くコピーライター 週3日パートタイム公務員の正体?!

「神戸市役所がコピーライターを募集!週3勤務!副業OK!」
このキャッチーすぎる求人が、僕と神戸市役所の出会いでした。

はじめまして。神戸市役所のクリエイティブディレクターでコピーライターの塩見綜一朗です。

今は神戸市の職員を名乗っていますが、生まれも育ちも関東でして、以前は東京の会社で働いていました。ところが突如現れた冒頭の求人により、2022年から神戸市で暮らし、働くことになったのです。

そこで今回は、神戸も市役所も2年目の塩見が、市役所で働くクリエイティブディレクターについてお伝えします。


そもそもクリエイティブディレクターって?

一般的に、広告やデザイン制作には多くの人が関わります。

デザインをするデザイナー、言葉を考えるコピーライター、映像ならディレクター、カメラマンなど……作るものによって多種多様。

その中でもクライアントとのコミュニケーションをとりながら広告制作の全体統括をおこなうのが、クリエイティブディレクター(以下「CD」)です。

市役所のクリエイティブディレクターってどんな人?

じゃあ神戸市のCDもまるっきり同じかと言われると、そうではありません。

神戸市のCD動員はかれこれ10年以上前から始まっており、お役所っぽくなりがちな広報を変えるため、デザインという視点から職員のリテラシーを上げることを目的としていました。

そのため神戸市のCDは、一般的なCDのように全体統括というよりも、自分たちで手を動かせるプレイヤーかつ、どうすれば市民に伝わるかを一緒に考えるアドバイザー的な存在でもあります。

行政がポスターや映像などの広報物をつくる際には、民間のデザイン会社や映像・WEB制作事業者、クリエイターなどに発注するのが一般的です。

そのうえで神戸市は、よりスピーディーで柔軟な広報に対応するために、市役所内で広報物の制作を完結できる「クリエイティブユニット」を2022年からスタート。CDの採用を強化しました。

僕のようなCDは現在8名。映像クリエイターや、デザイナー、ライターなど様々な分野から人が集まり、職員と一緒になって日々広報に携わっています。

CDは全員、フリーランスとして働きながら週3日は市役所に出勤。みんなバックグラウンドもバラバラで、僕のように広告業界からきている人もいれば、学校でデザインを教えている人もいます。

CDは公務員なの?

これ、よく友人に聞かれます。

細かな規定があるようですが、僕たちのような職員は、公務員の中で「特別職非常勤職員」と呼ばれるそうです。

なので、公務員かそうじゃないのかと言われれば、公務員ですね。

はじめの頃は職業を問われる場面でどう答えていいのか分からず「公務員のような者です」と不審人物を極めていました(笑)

クリエイティブユニットの仕事紹介

そんな神戸市のクリエイティブユニットが、実際に内製した事例をいくつかご紹介します。

・新聞広告
「神戸登山プロジェクト」の広報として、関西圏への新聞広告を出稿。
撮影、紙面のデザインやコピー、プロジェクトロゴの作成まで、全てクリエイティブユニットで行っています。

・サイネージ広告
神戸市の取り組みをわかりやすくお知らせする動画。
グラフやプロジェクト概要をアニメーションでわかりやすくまとめる「モーショングラフィック」もCDが内製しています。

・SNS広告
市民と身近な広報ですと、SNS広告も作っています。 配信媒体や期間、回数についても、職員と相談しながら検討します。

もちろん、クリエイティブユニットだけですべての広報物を作りきれないので、従来どおり民間の事業者とも協力しながら広報物の制作を進めています。

外部人材から見た市役所って、じっさいどぉなん?

ある程度予想はしてましたが、入庁当初は民間と市役所のギャップを多々感じる日々でした。

まず、民間企業のターゲットがお客さんであるのに対し、市役所のターゲットは市民というところが違います。

広報に関わる予算も当然税金ですので、一般企業と仕事の流れも違います。「なんでこれはこんなにややこしい手続きなんだ?」と思うとこともありますが(笑)。

そのため、仕事のスピードはゆっくりなのかと思っていましたが、めちゃめちゃタイムリーに広報すべき内容も多く、意外にスピード感があるのも驚きでした。

そして、職員と一緒に働いていて感じるのは、みなさん、市民のためであったり、この街を良くしたい!という気持ちが根底に強くあること。
だから僕も、そんな思いを少しでも届けられるように頑張りたいと思います。

また、これは僕が民間の事業者であったからこそ感じるのですが、神戸市役所のクリエイティブユニットは、これまで発注者と事業者の関係だった行政とクリエイターが、お互いの仕事を理解し合い、より良い関係へと成長できるすごい仕組みだと思うんです。

この仕組みを存分に生かすためにも、互いが感じた違いなどを指摘し合えるCDと職員の関係を大切にしていきたいです。

以上、クリエイティブディレクター活動報告でした。

みなさんの周りにも市役所で働いている人がいたら、ぜひ仕事の話を聞いてみてください。きっとイメージと違うことが多くてめちゃ面白いですよ。

そういえば、神戸市は中途採用の受験枠を増やして、民間で働いている人の転職も歓迎しているそうですよ!

<この記事を書いた人>
塩見綜一朗 /広報戦略部クリエイティブディレクター・コピーライター
多摩美術大学卒業後、都内の広告制作会社でプロデューサーとして勤務。2022年より神戸市役所のクリエイティブディレクターとして、こうべSDG肥料、神戸登山プロジェクトなどコピー、スローガンを軸に企画制作を担当。
出身は横浜だが、家から山が見えて、汽笛が聞こえる港町での暮らしが新鮮。

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