神戸市が新卒一括採用から脱却 渋谷で民間経験者にラブコールを送る理由
民間企業などからの転職組を求める採用説明会が、きょう東京・渋谷ではじめて開催されました。参加したのは約90名。
神戸市役所では、これまで「新卒」で職員を採用するのが基本でした。何十年も前から続いています。ところが、昨年12月に経験者の枠を採用全体の5割に拡大すると発表しました。
地方公務員として働く魅力
でも、枠を広げたからといって、市役所に転職しようとする人は、増えるのでしょうか?
たしかに生活が安定するお仕事だと思いますが、ほかに何か魅力がなければ、今さら公務員に転職しようと考えないですよね。
よく言われるのは、防災や福祉といった民間にない仕事ができたり、残業やノルマが少ないのでワークライフバランスが充実しやすいことです。
本当にそれだけなのでしょうか?
残念ながら、私は新卒で神戸市役所に入ったので、民間と較べたときの良さがさっぱり分かりません。
そこで、三井住友信託銀行やリクルートなどでの勤務を経て、2021年4月に神戸市に転職し、市のホームページや総合コールセンターを担当している金田侑士さんに、民間と何が違っているのかを聞いてみました。
さすが、ズバッと答えてくれました!
金田さんは、公務員の仕事の本質でもある、同じサービスをたくさんの人のあまねく届けなければならないという切り口から、やりがいを見出しているようです。
転職希望者向け説明会@渋谷
今日の説明会は、渋谷スクランブルスクエアの15階で行われました。眼下には渋谷のスクランブル交差点が見下ろせます。
久元喜造市長は、「公務員らしい安定した仕事につきたい人ではなく、自ら未知の仕事を提案して、それに挑戦したい人にきてほしい」と語りかけました。
そのあと、民間企業から転職してきた職員から、仕事がどう変わったのかや、神戸での生活実態の説明がありました。
さらに、13のグループに分かれて座談会形式での意見交換です。日曜の午後なのに、真剣な眼差しの参加者がたくさんいたのが印象に残りました!
民間経験者を求める本当の理由
今のところ、職員採用をめぐって、神戸市のように、経験者をメインにしようと舵を切った自治体はほとんどありません。
というのは、公務員は学生や親から人気があるので、新卒を採れば、それなりの人材が確保できるからです。
たしかに地方公務員になれば、生活に困らない給料が約束されたまま定年まで働くことができますね。
そして、国家公務員と違って転勤がほとんどありません。
なにより、採用されるには、試験に合格しないといけないのですが、民間企業の採用に較べると、時間をかけて勉強すればその努力は報われやすいのです。
すると、よくいえば真面目で堅実な考えを持った、逆にいうと保守的な人が、地方公務員を志望することになります。
ところが、神戸市では人口減少がはじまっていて、近いうちに150万人を下回ります。職員数は減らさざるを得ません。
ですが、将来の見通しが立ちにくい時代だからこそ、むしろ大胆な発想で、都市の新たな戦略を練り、街づくりや産業の活性化の下支えをしていかなければなりません。
そうなると、金太郎飴のような、堅実な考えを持つ同質な職員ばかりで、臨機応変にやっていけるのでしょうか?
むしろ少数精鋭でありながら、さまざまな経験やスキル、専門性を持った職員がチームを組んで、ひらめきや新しい発想を生み出しながら、チャレンジを続けていかなければならない、と私は思います。
経験者の採用は、毎月15日まで受け付けています。我こそはと思う方、あなたの力を神戸で活かしてみませんか!
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