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神戸市役所で珠洲市の「被災者支援制度パンフレット」をつくりました

パッと見るだけで、被災者支援の制度がすべてが分かるチラシを被災者に配布したい。これを神戸側で作成してほしい 。

と、能登半島の珠洲市役所に滞在している同僚の職員から、私たちに連絡があったのは、配布予定の3日前のことでした。

神戸市は珠洲市の広報業務をサポートしています。
 
珠洲市の広報担当者はたったの一人。国や県のモノを含めると被災者への支援制度は20件以上。珠洲市役所の担当部署もバラバラなので、一人ではとてもこの期限で作るのは不可能です。

でも一刻も早く、支援情報を被災者に届けたいのは、心の底から理解できます。将来の見通しを少しでも伝えるのは大事だからです。

こうして、電撃のパンフ作成がはじまりました。

そして、3日後となる1月26日。珠洲市役所のプリンターで印刷された、A3両面見開きの3500枚のパンフレットが、20時30分に自衛隊に引き渡されます。そのあと、自衛隊員の手で約90箇所ある避難所へ届けられました。

もしかすると今回のやり方が、今後誰かの役に立つかもしれません。そう思って、遠隔からのオンラインでのパンフレット制作の記録をここに書き残そうと思いました。


1日目:珠洲市担当課から情報収集

とにかく時間がありません。そこで、珠洲市にいる二人とウェブ会議で基本的な方針を、すり合わせようと思いました。

作ろうとしているモノに近いと思い浮かんだのは、広報紙KOBEのお知らせページと、神戸市の転入者に配布している暮らしのガイドでした。

広報紙のお知らせ(左)と暮らしのガイド(右)

それを珠洲市側にも見てもらい、まず最終形のイメージで合意しました。
 
次に、珠洲市の各担当課がつくったそれぞれの概要資料からチラシに入れるべき項目を選んで、まとめていきます。

が、珠洲市の職員は超多忙です。収集できていない資料もありました。

そこで派遣職員とチャットで、あれがない、これがほしいとやり取りをしていきます。
 
こちらで情報を整理した職員が、神戸市の広報紙の編集担当で、何を伝えるべきかを整理するのは普段の仕事の延長なので、かなりスムーズでした。

彼女のリクエストに応じて現地の職員が、珠洲市の職員から足りない情報を次々と集めていきます。

振り返ってみると、単に珠洲市の職員にメールでお願いするだけでは、難しかったと思います。

というのは、珠洲市役所内に神戸市の職員がいて、すでに珠洲市の職員と信頼関係が築けていたので、速やかに情報が集められたのだと思います。
 
初日はこの作業を夜まで続けました。

2日目:職員のノウハウをフル活用

2日目に、翌日の午後には印刷して自衛隊に渡したいと、珠洲市側から話が来ました。

となれば、この日のうちに完成させ、明日は珠洲市長への確認など最終の調整に専念する必要があります。

この日が、ヤマ場でした。
 
ですが、まだデザインは白紙状態。また、珠洲市のホームページにもそれぞれの支援制度の詳細を掲載して、紙のチラシのQRコードから案内する予定でしたが、まだホームページも全く整っていません。
 
ただ、昨日の情報整理のおかげで、チラシに書くべき情報量が見えたので、作業全体のボリュームが分ってきました。

そこで2日目は、朝からデザインの打ち合わせです。
 
じつは、神戸市役所には、ポスターや動画など広報物の制作を完結できるデザイナーやコピーライターたちが在籍しています。普通の自治体だとデザイン会社に発注しなければならない案件でも、自力でつくれます。

チラシのデザインなので、彼ら彼女らに編集を任せるという手もありました。ですが、そうなるとイラストレーターのようなデザイン専用ソフトでチラシのデータを作ることになります。すると、普通の職員で修正や更新ができなくなるのです。

そこで、1ページ目の表紙部分と見出しのアイコンをデザイナーに制作してもらい、チラシ自体はパワーポイント形式でつくることになりました。

パワーポイントであれば、もし神戸市の支援が終わる日が来ても、珠洲市の職員だけで問題なく作業ができます。多少の見た目は犠牲にしようと思いました。

チラシに落とし込む情報がすべて固まり、デザイナーがつくった画像を挿入し、初稿が完成。

珠洲市役所の広報担当者も参加したウェブ会議で念入りに確認して、珠洲市役所にある実際に使うプリンターで試し刷り。色合いなど現物での見やすさも気になったからです。

試し刷り:文字が細く、発色も悪い

試し刷りの結果、フォントや色味は再調整することになりました。
 
また、見栄えだけでなく、珠洲の住民たちに伝わる文章になっているのかも大事です。そんな校閲は、神戸市役所側の広報紙担当の職員たちに任せました。慣れたもので、早くて的確です。
 
そして、職員用のチャットで意見交換を続けます。大事なのは、作業の重複による無駄を避けること。誰がなにをやっているのかを常に共有しました。

そうやって、深夜にほぼ完成版ができあがったのです。

3日目:校了&印刷、自衛隊に託す

昨晩できたデータを朝から珠洲市役所の各制度を担当する職員に、間違いがないかを点検してもらいました。午後に珠洲市の泉谷満寿裕(いずみやますひろ)市長による最終確認が予定されているからです。
 
ここで、珠洲市の印刷機で刷ったものを見ていると、見出しに黄色系を使うと白い文字がかなり見にくいことに気が付きました。すぐ、隣に座っていたデザイナーに相談。別の色に変更します。

黄色系の見出しは視認性がいまいち

そのころ、珠洲市長の確認が終わると、各担当課で最後の点検にはいります。

珠洲と神戸を結ぶ職員のチャット

17時に校了!

そして、印刷された3500部が20時30分に自衛隊に引き渡されたと、連絡がありました。

とっさに、自衛隊に渡しているときの写真がほしいと、現地の職員に思わず頼んでいる私がいました!

まとめ:リモートでの支援の秘訣!

今回はかなり電撃的なスケジュールでしたが、鍵を握ったのは、
1. 最終到達イメージをはじめに共有できた。
2. 進捗を見ながらウェブ会議をした。
3. 広報紙、ホームページなど各職員の特技が活かせた。
ことだと思います。
 
さらに、常に職員用のチャットで情報を共有して、遠く離れた珠洲市と共同作業が進められた点も大きかったと感じています。
 
現地への職員派遣とウェブ会議やチャットを組み合わせたこのやり方は、今の時代だからこそできる、新しい形の被災地支援ではないでしょうか。
 
最後に、神戸市役所ばかりが尽力したように書いてしまいました。でももちろん、珠洲市役所の職員たちが昼夜を問わず協力してくれたからこそ、今回の結果が生まれたのだと思います。ありがとうございました!

〈この記事を書いた人〉
北浦 愛弓/広報戦略部
普段は、各部局がやっているSDGs関連の事業を広報するために、動画やポスター制作を、デザイナーや動画クリエイターと一緒にしている。
公式note記事の執筆を1年以上、かたくなに拒んできたが、今回のパンフレット制作を成功させたことで、ツイに年貢の納めどきが到来。
ただ、ある意味でこの奮闘記は貴重なアーカイブになるかもしれない。

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