菅前総理も登壇!伝統的建造物の保存を考える@丹波篠山
きょうの話題は、丹波篠山市からお伝えします。ときどき市外出張があると、新鮮でうれしいライターのゴウです。
5月22~24日の3日間、兵庫県の丹波篠山市で「全国 伝統的建造物群 保存地区協議会 総会・研修会」が開催されています。初日の22日のプログラムに久元喜造市長が参加したので、取材してきました!
重伝建地区ってなんぞや?
城下町や門前町などの伝統的なまちなみの中でも、国が「価値が高い」と選定した地区を「重要伝統的建造物群保存地区」といいます。
(ちょっと長いので、ここからは「重伝建地区」と書きます)
重伝建地区に指定されることで、建物の改修工事をするときに国から助成金が出るなどのメリットがあります。今は全国に126地区あり、兵庫県内では5市で6地区が選ばれています。
今回の総会に久元市長が参加したということは、神戸市にも重伝建地区があるということ!
北区や西区の茅葺き民家かな?と思いきや、なんと、北野の異人館エリアなのです(登録名は「神戸市北野町山本通」)。
たしかに伝統的建造物=和風とは限りませんよね。それに開国時の北野地区は、外国人と日本人の両方が住む「雑居地」だったので、和風建築もけっこう残っているんです。
当然ながら、伝統的建造物は「便利」や「効率」とは逆のもの。そのまちなみを守って未来に伝えていくのは、簡単なことではありません。
そのため、全国の重伝建地区の関係者が一堂に会して、各地区が情報交換や課題などをシェアする場として、今回のような総会が開催されるのです。
古民家ホテルを視察
まずはじめに、古民家ホテルNIPPONIA(ニッポニア)を視察。旧邸宅や長屋や蔵など、複数の客室棟が城下町エリアに点在するユニークな宿です。
すてき!
NIPPONIA、一度は泊まってみたい憧れのお宿です。
菅前総理が講演
その後は、篠山城跡すぐそばのホールにてシンポジウムがおこなわれました。
重伝建地区の調査をおこなう京都橘大学教授の村上裕道さんによると、重伝建地区は、ほかの地区に比べて人口の減り方が緩やかなのだそう。歴史的なまちなみが、地域の強みになるのかもしれませんね。
そして、前総理の菅義偉さんが特別講演。
官房長官時代に(当時の)篠山市を訪れたり、景観まちづくり刷新支援事業のモデル地区に選定されたりした縁から、講演が実現したとのことです。
菅さんは「『地方の活力なくして、国の活力はない』というのが私の考え。日本の消費額の7割は地方なのだから、地方が元気にならないと日本全体がよくなりません」と、古民家活用などの取り組みにエールを送ってくれました。
神戸の取り組みを全国に紹介
その後のパネルディスカッション「首長サミット」では、久元市長のほか、兵庫県内の各市長がパネラーとなり、各地域の取り組みを紹介しました。
久元市長が紹介したのは、「北野メディウム邸」。
みなさん、ここ知ってますか? 2022年にオープンしたばかりの、異人館の建物をそのまま生かしたコワーキングスペース&カフェ&撮影スタジオです。異人館で仕事ができるなんて、クリエイティブな発想が生まれそうですね!
重伝建地区ということで、外壁改修の際に助成金を活用しました。
まるで夢の世界にいるようなアフタヌーンティーも満喫できますよ♪
また神戸市は、2021年に歴史的な建造物の保存・活用に取り組む「神戸シティ・プロパティ・リサーチ」という団体を立ち上げました。
「伝統的建造物に住んでいるけれど、高齢になって先が心配」「そんなとき、どこに相談したらいいかわからない」という相談に乗ったり、歴史的な建物を活用したい事業者とのマッチングをおこなったりします。
もちろん対象は、重伝建地区の北野エリアだけでなく、神戸市全域です。
さっき「重伝建地区は人口の減り方が緩やか」だという話がありましたから、重伝建地区の取り組みをほかの地域に波及させることは、まちが元気になるきっかけの一つになるかもしれないなと感じました。
取材こぼれ話
今回は総理経験者が特別ゲストとあって、会場のセキュリティはとても厳しかったです。
会場に入る際には、手荷物検査はもちろん、腕時計を外してスマホを出し、空港のような金属探知ゲートをくぐりました。
一般的な取材だと、記者はいい写真を撮るために腰をかがめて前方に行くこともありますが、今回は「自席から動かないでください」と注意がありました。
そして、講演中の壇上には四隅にSPが4人も!
今までに経験した中で、最もセキュリティが厳しく緊張感ある取材でした。
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