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【スマートシティ神戸】 水素エネルギーって何がいいの?

神戸市公式note

原子番号1番、水素(元素記号:H)。“1番”となんだか栄えある感じのするこの原子が昨今、エネルギーとして注目されています。「水素エネルギー」という言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

そもそも、なぜ水素が注目されているのでしょう? 1月23日、姫路市で開催された兵庫県主催の「ひょうご水素社会推進シンポジウム」に行ってきた広報戦略部ライターのゴウが、水素の何がいいのかお伝えします。

なぜ今、水素なの?

水素が注目されている理由は、石油や石炭、天然ガスと同じように、家電や自動車などを動かすエネルギーになるから。しかも、燃やしたときに二酸化炭素(CO2)を排出しません。

つまり、水素エネルギーを使えば脱炭素が実現でき、地球温暖化を食い止めることに寄与すると考えられているのです。

ここで、ド文系な私は素朴な疑問を抱きました。

それなら、最初から水素をエネルギーに使えばよかったのに。水素がエネルギーになり得るとわかったのが最近なのかな? 

水素がエネルギーとして使えることは、昔から知られていました。

しかし水素は原子番号1なだけあって、地球上で最も小さく軽い気体です。そのため、何か他の物質とくっつけておかないと、すぐに上昇して消えてしまいます。

例を挙げると、水(H2O)も水素と酸素がくっついたものです。イベントで配られる風船は手を離すと飛んで行ってしまいますが、風船に充填されるヘリウム(He)の原子番号は2番。水素はそれよりも軽いんですから。

だから、水素だけを取り出すのはけっこう手間がかかります。水を水素と酸素に分けるにも、電気分解をしますよね(中学校の実験でやりました)。

水素を取り出すために大量の電気を使うのも本末転倒……ということで、エネルギーとしては扱いやすい石油や石炭(化石燃料)が長らく使われてきました。

しかしこの20~30年で、CO2排出による地球温暖化、それが引き起こす異常気象の深刻さが増してきました。だから改めて今、CO2を出さない水素エネルギーが見直されているのです。

また、採掘する化石燃料には限りがあるのに対し、水素は「つくる」ことができます。だからちょっと手間だけれど、昔より進んだ技術でなるべく効率よく水素を取り出そう!つくろう!という動きが活発になっています。

水素スマートシティ神戸構想とは?

そして神戸市は、およそ10年前から「水素スマートシティ神戸」構想をかかげています。

企業に実証実験の場所を提供したり(動画は川崎重工の水素エネルギーから電気と熱を供給する施設@ポートアイランド)、

オーストラリアと提携して、神戸港まで水素を運んだり(安全に運ぶには高い技術がいるので、その技術を確立するための実験的な取り組み)と、さまざまな取り組みをおこなっています。

液化水素運搬船の神戸港接岸試験の様子(提供:HySTRA)

意外にも「再エネ大国」日本

さて、今回のシンポジウム。神戸大学客員教授・駒井啓一さんの基調講演では、もちろん水素エネルギー活用の大切さが語られたのですが、ちょっと驚きの事実が。

日本は実は、再生可能エネルギー大国だというのです(再生可能エネルギー:太陽光・風力・水力など)。

駒井さんの講演資料より

化石燃料がエネルギー全体の9割近くを占めるため、日本はそれを輸入に頼るしかありませんが、国産エネルギーのほとんどは再生可能エネルギー。国土面積当たりの再エネ発電量は、世界平均の約10倍なんだそうです。

島国である日本は、隣国からパイプで再エネを輸入することができないので致し方ないとのこと。もっと日本に自信をもっていいんだ!と元気が湧いてきました。

港が2つある兵庫の強み

シンポジウム後半では、
・兵庫県の斎藤元彦知事
・姫路市の清元秀泰市長
・川崎重工の西村元彦執行役員
・神戸製鋼の竹内正道執行役員
・神戸市の久元喜造市長
の5人がパネルディスカッション。

(*スーパー余談ですが、5人中4人に「元」がついていますね…!元彦さんが2人いますし)

神戸市は水素社会への取り組みを始めたのが早かったので、先進事例都市として上で述べた事業などを久元市長が紹介しました。「市街地で、水素エネルギーから電気と熱が供給されていることが驚かれ、海外からの視察も多いんです」とのこと。

そして兵庫県には、神戸港のほかに姫路港があります。

姫路港は液化天然ガス(LNG)の認可発電出力が瀬戸内海で1位であること、大きなタンカーが接岸できることから、水素の一大基地となるポテンシャルがあります。そのため関西電力は、(国の支援を前提としてですが)姫路エリアで水素エネルギーのサプライチェーン(供給網)を構築すると表明しました。

政府の支援獲得が前提

大規模な港湾が県内に2つあるのは、兵庫県の大きな強みです。

斎藤知事も「水素関連事業に参入する企業には、県の補助金を思い切って10%に上げたい(これまでは3~7%)」と後押ししました(引き上げは今後の予定)。

神戸市だけでなく、オール兵庫で水素社会への取り組みができると、国内でも先進的な事例になりますね。

水素をエネルギーとして活用する取り組みは、まだまだこれからです。

ただ神姫バスが2021年から姫路エリアで水素を燃料とした燃料電池バスを走らせたりと、少しずつですが確実に実用化されつつあります。神戸市バスにも、もうすぐ燃料電池バスが導入されます。

スーパーに行ったとき、少し高くても輸入野菜より地元野菜を買うような感覚で、私たちが「あ、水素エネルギーのほう使おうかな」という日も、遠くないのかもしれません。

<この記事を書いた人>
ライター ゴウ/神戸市広報戦略部 クリエイティブディレクター(ライター)
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。

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