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科学のアワード「神戸賞」を中谷財団が新設。賞金は5000万円!

神戸の人工島・ポートアイランドには医療産業都市があり、理化学研究所をはじめとした生命科学系の企業や研究機関が集まっています。

先日の記事でも紹介しました。

そしてきょう12月14日、バイオメディカル・エンジニアリング分野の優れた研究者を表彰する「神戸賞」を、中谷財団が創設することが発表されました。

なんと、大賞の賞金は5000万円

ポートアイランドのホテルでおこなわれた記者会見の様子を、広報戦略部ライターのゴウがお届けします。

中谷財団ってどんな財団?

中谷財団の正式名は、「公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団」。

神戸の臨床検査機器・試薬メーカー「シスメックス」の創業者である中谷太郎さん(故人)が、日本の電子計測技術の研究開発を支援するために1984年に設立した財団です。
(*設立当時の名称は「中谷電子計測技術振興財団」)

現在は表彰事業である「中谷賞」(賞金1000万円)と、若手研究者や学生の研究や学びをサポートする助成事業の2本柱で、日本の医工計測技術分野の研究を後押ししています。

新設される「神戸賞」とは

2024年、中谷財団が設立40周年を迎える記念事業の一環として新設されるのが「神戸賞」です。

従来の「中谷賞」の対象は医工計測技術分野であるのに対し、「神戸賞」はバイオメディカル・エンジニアリング(BME)分野の研究が対象になっています。

大事なことなので繰り返しますが、大賞の賞金は5000万円です!

大賞とは別に、将来が嘱望される45歳未満の研究者を対象に「Young Investigator賞」もあります。賞金500万円に加え、5年間で最大4000万円の研究費を助成します。

これには、自力で多額の研究費を獲得するのが難しい若手研究者を支援したい思いが込められています。

中谷財団提供

バイオメディカル・エンジニアリング(BME)分野とは、日本語に訳すと「生命科学と理工学の融合境界領域」のこと。

ある研究者の本で読んだのですが、科学の研究は専門化・細分化する傾向にあり、分野と分野に橋を架けるような研究は、実はあまり多くないそうです。

そんななか、「神戸賞」の対象となるのは2分野の融合境界領域。まさにこれからニーズが高まりそうな研究を後押しする賞に、「神戸」の名前がつくのはうれしいですね。

家次代表理事の熱い思い

「神戸賞」創設記者会見では、中谷財団の家次恒(いえつぐ・ひさし)代表理事(シスメックス会長兼社長)があいさつしました。

「将来有望な若い人が、目先の成果にとらわれずにじっくり研究に取り組めるように後押ししたい。きれいな花を咲かせるための土壌づくりのつもりで神戸賞を創設した」

「(シスメックスの)創業の地である神戸は、海を渡ってきた新しい文化を受け入れ発展させてきた土地柄。若い人に独創的な発想をしてもらい、こんどは神戸から世界に発信していきたい」

会見中、「若い人に」と何度も言っていたのが印象的で、その思いにこちらも胸が熱くなりました。

これを受けて久元喜造神戸市長は

「医療産業都市を推進してきた神戸にとって、神戸の名を冠した賞が創設されたことはたいへんありがたい。これから受賞する若い人の研究が受賞によってますますパワーアップし、グローバル社会で活躍することを期待したい」

と感謝を述べました。

募集スケジュール

第1回の受賞者は、中谷財団が40周年を迎える2024年に発表されます。それまでのスケジュールはこちらです。

2023年4月 「募集要項」「審査委員長と審査委員」を発表
2023年8月~10月 募集期間
2023年11月~2024年2月 審査期間
2024年4月 受賞者発表
2024年6月1日 授賞式

中谷財団提供

最後の授賞式だけ、すでに日にちが決まっているのですね。なんだかノーベル賞みたいです。

あと1年半かぁ・・・。年の瀬の今から、さらにもう1回年を越すのでかなり先の気がしますが、長期スパンで研究している皆さんからすれば、あっという間なんでしょうね。

この記事をご覧になった皆さんのお知り合いにバイオ系・理工系の研究者の方がいれば、ぜひ「神戸賞」のことをお伝えいただけるとうれしいです。

神戸賞についてはこちら

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。

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