神戸で2つ目!水素ステーションが開設
ことし5月、ポートアイランドに神戸市内で2か所めの「水素ステーション」ができたのをご存じですか? その名も「エア・リキードMK神戸空港前 水素ステーション」。
7日7日におこなわれたその開所式を、広報戦略部のゴウが取材しました。水素エネルギーの未来が、ちょっと見えてきた気がします。
*開所から式典まで時間が空いたのは、当初の予定が大雨で延期になったためです
燃料電池自動車(FCV)と水素ステーションの関係
このnoteでも何度かお伝えしていますが、水素エネルギーは二酸化炭素を排出しないため、環境に良いエネルギーとして注目されています。
で、水素から電気を取り出して走る車を「燃料電池自動車」といいます。英語の略称でFCVと呼ばれます。そして「水素ステーション」とは、ガソリンスタンドのように、FCVのエネルギーを充填するスタンドのことです。
過去の記事にも書いたように、FCVは現時点で普及しているとはいえません。その理由は、水素ステーションがまだまだ少ないからです。
車が普及しないからステーションが少ないのか、ステーションがないから車が普及しないのか。
そんな「卵か鶏か」問題を解決しよう!と、市内で2か所めとなる水素ステーションが誕生したというわけです(1か所めのステーションは兵庫区の七宮にあります)。
この水素ステーションを設置したのは、日本エア・リキード合同会社。私は初めて聞いた名前の会社ですが、世界大手の産業・医療ガス会社「エア・リキード」の日本法人なんだそう。
フランスで創業し、1907(明治40)年には日本へ進出。日本の最初の拠点が大阪・神戸で、本社が神戸だった時代もあるのだとか。思った以上に老舗で、神戸にゆかりのある会社だったんですね……。勉強になります。
FCVやEV(電気自動車)を購入するときには、国や地方自治体からの補助金がありますよね。それと同じように、水素ステーションを整備する際にも、国、兵庫県、神戸市が費用の一部を補助しています。
水素ステーションがなぜポーアイに?
ここまで読んで「ポートアイランドじゃなくて三宮側にステーションを作ったほうが、たくさんの人に使ってもらえるんじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。
はい、私も思いました(笑)。
それでも「あえて」ポーアイに設置した理由とは?
エア・リキードは、設置したステーションの運営をタクシー会社の「西日本MKグループ」に委託しています。その神戸MKの本社・タクシー駐車場がポーアイにあり、FCVタクシーをすでに2台取り入れているからです。
MKとしては拠点の近くにステーションがあると便利だし、エア・リキードとしてはタクシーが確実に水素を入れてくれるので、ウィンウィンなんですね!
これまでに国内で17か所の水素ステーションを整備してきたエア・リキードですが、タクシー会社と連携するのは初めてなんだそうです。
商用車のエコカー化が地球を救う?
式典では、エア・リキード日本法人のヴィルジニー・キャヴァリ社長が、本国フランスでは、すでに数百台のタクシーがFCVになっていることを紹介。
それを聞いた久元市長は「フランスに比べると、日本はまだまだ。全国各地で、水素エネルギーの導入に取り組まないといけない。水素スマートシティ構想をかかげる神戸市は、その一翼を担いたい」とコメントしました。
本プロジェクトのおもなターゲットは、タクシー、バス、トラックなど、業務として道路を走る「商用車」です。
商用車は、一般の自家用車よりたくさんの距離を走ります。つまり、稼働率が高い。
FCVタクシーでいえば、FCVの自家用車に比べて、1台あたり10倍の水素を使用するそうです。
要するに、商用車が(EVも含め)エコカーになることは、効率よく脱炭素に寄与できることとイコールなのです!
ポートアイランドは港湾関係のトラックもたくさん走っているので、「商用車狙い」という意味ではうってつけなわけですね。
5月10日のオープンから、もうすぐ2カ月。今はまだ「たくさん利用されている」と言える段階ではないそうです。
ただ、MKタクシーは関西のグループ全体で保有するタクシー約2000台すべてを、2030年までにFCVまたはEVにすることを目指しているそうです。他の商用車や自家用車でも、FCVは少しずつ増えていくでしょう。
ものごとは何でも、どこかで「初めの一歩」を踏み出さないと始まりませんよね。今がその「第一歩」なんだな、と噛みしめました。
もちろん、自家用車の利用も大歓迎だそうです!
IKEAに行ったとき、外観だけでも見てみてくださいね。
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