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電話だけからの脱却! 神戸市役所への問い合わせ窓口がパワーアップ

行政関係の手続きでわからないことがあったら、あなたはどんな手段で疑問を解決しますか?

まずはネット検索が気軽ですよね。たとえば、定額減税のことについて知りたいと思ったら「神戸市 定額減税」と検索する。

そのページを見ても、自分がどれに当てはまるのかわからない、もっと詳しく知りたいと思ったら? やっぱり電話でしょうか。でも平日の昼間は仕事があるし……。

実はこの12月から、神戸市のお問い合わせ窓口が大幅にパワーアップするんです!

どこがどんなふうにパワーアップするのか、今年4月に民間企業から転職し、広報戦略部でカスタマーDXマネージャーとして働いているギーチがお伝えします。


神戸市民は電話好き?

お問い合わせは、ほぼ電話

今の神戸市の問い合わせ窓口がどんな体制かといいますと、
1.市からの郵送物やイベントの質問に回答する「総合コールセンター」
2.市役所職員への電話を取り次ぐ「代表電話」
という大きく2つの窓口があります。

「総合コールセンター」では専門オペレーターが定型的な質問に回答し、市職員でないと答えられない詳細な問い合せは「代表電話」に。窓口を分けることで、より市民サービスを向上させつつ職員の業務効率を上げようと2011年から今の体制になりました。

ところで2011年当時は、多くの人の携帯電話がまだガラケーでした。その後にスマホやLINE、AIまで一般的になってきたにもかかわらず、2023年も問い合わせ件数のうち97%が電話です。あれ?神戸市民は電話が大好きという傾向があるのでしょうか?

ホントに電話したいの?聞いてみた

「ほんなら聞いてみればええやん」の一声で、神戸市のネットモニター制度を活用し、市民の皆さんに質問をしてみました。

「あなたは市役所・区役所に問い合わせをしなければいけないときに、どのような方法を使いたいですか」

(回答数4310件、複数回答可)

やっぱり電話が1位ですが、「電話」と「特にこだわりがない」の2つを合わせても70%。ひょっとすると「電話をかけたくない」方にも「電話をさせている」可能性があるのでは……?

市役所は「電話」をするところ?

総合コールセンターと代表電話の他にも、市役所には専門的な問い合わせを受け付ける窓口が多くあります。

その窓口がどのような受付方法を設けているか調べたところ、なんと半分以上が「電話での受付のみ」、さらに受付時間が朝9時から夕方5時までの窓口が大半でした。

もちろん、電話にもメリットがあります。会話のキャッチボールがその場でできるので、ほとんどの場合一度の電話で問い合わせを解決できます。

メールのように文面を考えるよりその場で答えたほうが早いので、他の業務にも集中できます。

でも、それって問い合わせを「受ける」側の都合では? 実際、共働きで子育てをしている人に話を聞くと、「時間外に問い合わせできる方法がないと詰む」という声を聴きます。「市役所が電話中心」にしているのは、中にいる私たちかもしれません。

ウェブで問い合わせができる!

そこで、今回パワーアップする「神戸市お問い合わせセンター」では、さまざまなライフスタイルの方が、それぞれ使いやすい手段で神戸市に問い合わせできるようにします。

2つの電話番号を統合します

まず、今まで2つにわかれていた「総合コールセンター」と「代表電話」を一つの電話番号で受け付けられるようにします。

自分の質問が、オペレーターでも答えられるのか、職員の方に聞かないと答えられないのか、聞く側では分からないこともありますよね。「どちらにかければいいのか」を意識することなく、ひとつの電話番号でお答えできる体制にします。

人間が答えるチャット、始めます!

電車での移動中など、時間はあるけど電話はできない状態でも質問ができるよう、文字によるコミュニケーション手段も広げます。

従来のWEBフォームやメールに加え、WEB上の短い文章のやり取りでコミュニケーションが取れる「チャット」を新しく始めます。

最初は「AIチャットボット」が対応します。ただ、これだけでは細かい質問には対応できないこともありますよね。でも、安心してください。そうした場合、チャット専門のオペレーター(人間です!)が問い合わせを引き継いで応対する体制をとっています。

24時間365日応対できるAIと、きめ細かい対応ができる人間が補い合って、みなさんからの問い合わせに対応します。

災害や新興感染症に備えます!

電話を受ける拠点は、これまでは神戸市内の1箇所でしたが、大分県にも設置します。

じつは2020年に、総合コールセンターで新型コロナ患者が発生し、センターを閉鎖せざるを得ない事態を経験しました。

その教訓も踏まえて、大災害などで片方のコールセンターで電話を受けられない状況になっても、もう片方の拠点で電話応対を継続することができるようにしたのです。

ちょっと待て、問い合わせの前に

こんなふうに、問い合せ受付をより強化すること「だけ」が、今回の目的ではありません。

そもそも、みなさんは「なぜ」市役所に問い合せをする必要があるのでしょうか。好きこのんで役所に電話をかけたりしないですよね。

それは問い合わせ「しなければならない」理由があるから、つまり市からの情報(主に郵送物)が「わからない」からです。

とある通知を発送後に、問合せ入電の件数がピコーン!
電話を受ける側は大変です

みんなの「わからない」を探せ!

今回の「お問い合わせセンター」は、民間の大手コールセンター事業者に運用を委託します。

その理由はいくつもありますが、中でも大きな理由が、彼らが「わからない」を探し出して解決するエキスパートだからです。

電話などでいただいたお問い合わせを、データ化し、分析し、問合せのおおもとにある理由を発見する。

見つけた理由を解決するための情報を、電話を受けるオペレーターに共有して的確に回答できるようにするほか、WEBの情報を更新して、同じ「わからない」を感じる人たちがWEB上で疑問を解決できるようにします。

これを毎日どころか、毎時間のレベルで実施して、市民の皆さんが問合せに使う労力を減らす。これが、「神戸市お問い合わせセンター」を開設する大きな目的のひとつです。

中の人は「わからない」が。。。

なぜ市役所は、市民のみなさんが「わからない」情報を発信してしまうのでしょうか。

私は半年前に神戸市にやってくるまで、いくつかの民間企業でシステム関連の仕事をしていました。

その経験の中で痛感したことのひとつは、「知っている人と知らない人とのコミュニケーションは大変難しい」ということです。

たとえば「スマホの使い方を教えてほしい」と頼まれたとき。「タップ」とか「スワイプ」と言っても、相手は何のことかわからないので、なかなか伝わりません。

これと同じように、行政文書のエキスパートである市役所の中の人たちは、制度や文書に習熟しているため、自分たちの当たり前を「みんな」の目線で見たとき「わからないところがわからない」状態になってしまうのです。

神戸市はこの課題に前々から取り組んでいて、「文書をわかりやすくする」専門のメンバーを外部から採用したりしています。今回の「神戸市お問い合わせセンター」で民間のパートナーと協力するのも、その一つです。
 
皆さんにより「わかりやすい」情報をお届けできるよう、それが私の願いです!

〈この記事を書いた人〉
ギーチ/広報戦略部
社会人になって二十余年、不思議な縁で神戸に戻ってきた。カスタマーDXマネージャーという役所では聞きなれない横文字の仕事で、市民の生活を便利にしようとする日々。休日は自転車で駆け回り、学生時代は電車で通るばかりだった神戸の街を探検している。埼玉の自宅から単身赴任中で、6歳の娘とリモート会議するのが毎晩の楽しみ。

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