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ブラジルと神戸をコーヒーでつなぐ -リオとの姉妹都市提携から55年 -

ブラジルといえば、何を思い浮かべますか。職場で聞いてみると、サッカー、サンバ、コーヒーという声が上がりました!

この記事では、その中から「コーヒー」をとりあげて、ブラジルと神戸の関係をお伝えしたいと思います。

今年は神戸市とブラジルのリオデジャネイロ市が姉妹都市になってから、55年という節目の年です。

そこで、神戸のカフェ・喫茶店でブラジル産の豆を使ったコーヒーを味わうイベントが現在、開催中です。

じつは私はこのイベントを担当しています。ですが、昔からある趣ある喫茶店に行くのは、足がすくんで、いつもドトールとかスタバに行きがちでした。

ですがこの機会に、今回のイベントに協力いただいた喫茶店やカフェを、勇気をもって巡ることにしたのです。

レトロな喫茶店:はた珈琲店

まず、一番ハードルが高そうな昔ながらの純喫茶に向かいました。訪問したのは元町商店街のほぼ中央にある「はた珈琲店」。47年の歴史を持つ老舗です。

店主の畑さんに勧められたのは、「ブルボン」という豆でした。ブラジルの豆の代表選手です。店主自らが十数年前にブラジルを訪問し、仕入れ先を決めたとのこと。

畑さんによると、ブラジルのコーヒー豆は比較的クセが少なく、バランスが良い味わい。ブラジルはコーヒー豆の生産量で世界一、日本の輸入もブラジルからが最大です。日本だけでなく世界中のスタンダードなのです。

ただ、バランスが良いということは、キレのある個性はありません。なので、ブレンドコーヒーに使用されるのです。同店では、ブレンドコーヒーが8種類もありますが、ブラジル豆が一番使われているとのことでした。

100年ブルボン:HiTo Coffee Beans

次に向かったのは、神戸文化ホールや中央体育館がある地下鉄・大倉山駅から北に徒歩15分ほど「HiTo Coffee Beans(ヒトコーヒービーンズ)」というカフェ。自家製ロールケーキでも有名です。

こちらで使っている豆は、全てスペシャルティコーヒーと呼ばれる、高品質の豆だけというこだわりのお店です。

ここでも「ブルボン」を飲みます。ただ、「100年ブルボン」というかなりの希少豆でした。コーヒーの木の寿命は20年から30年なのですが、なんと樹齢100年以上の木から収穫したコーヒーなのです!

店主の内田さん夫妻が、ブラジルを訪問して現地農園で出会ったこのブルボンに惚れ込んだそうです。

この店では、水にもこだわっていました。かつて船乗りから赤道を越えても腐らないといわれた布引貯水池の水、それを神戸市水道局がボトルに詰めたモノを使っています。布引貯水池は誕生から100年以上が経過。100年育った木でとの相性も良さそうです。

23時まで営業:にしむら珈琲店中山手本店

神戸にはレストランや居酒屋で晩ご飯をひと通り食べたあと、喫茶店に行くという「夜カフェ」の習慣が昔からあります。

そんなふうに利用されているのが「にしむら珈琲店」です。特に中山手本店は、夜23時まで営業しています。

この店では、このイベントの合わせて提供しているブラジルのストレートコーヒーが今だけ楽しめます。ミナミハラ農園という日系農園で栽培された、機械を使わずに完熟して赤くチェリーの色になった豆を手摘みしたもの。飲んでみると、どこか懐かしい、コーヒー本来の味わいを感じました。

リオデジャネイロと神戸との関係

20世紀はじめから、日本の国策としてブラジルへの移民が進められました。その移民船を送り出したのが神戸の港だったのです。

初めての移民船であった「笠戸丸」を運行した会社の代表・水野 龍さんは、同船に乗ってブラジルに行きました。そして現地の州政府に頼まれ、コーヒー豆を日本に持ち帰ったそうです。これが日本でブラジルのコーヒーが広がるきっかけになったといわれています。

ここで疑問があります。神戸の姉妹都市であるリオデジャネイロでコーヒー豆は栽培されているのでしょうか?

ほとんど栽培されていません、が答えです。というのは、コーヒー豆が栽培できるのは赤道から近い高地です。正確にいうと、赤道から南北の緯度が25度以下で標高1000メートル以上でなければ、良質な豆が採れません。

リオは南緯23度、一番高い山で400メートルほど。コーヒー豆には適していません。ですが、1960年に現在の首都ブラジリアができるまでは首都でした。しかも、経済では今もサンパウロに次ぐ二番目。どうやらブラジルを代表する都市として、神戸と姉妹都市になったようです。

このイベントに参加すると?

リオとの姉妹都市を記念したこのイベント、こちらのカフェや喫茶店に行くと、特製のステッカーがもらえます。

このステッカーを持って、北野エリアにあるかつてブラジル移民を送り出した「海外移住と文化の交流センター」に行くと、抽選でプレゼントがもらえます。しかも、はずれはなく、その場で引き換えとなります。

ブラジルと神戸のつながりを感じながら、コーヒーを一杯。で、ブラジル移民の聖地でミュージアムを見て、抽選をちょっと期待する。けっこうおもしろいなと実体験して、、感じました!

〈この記事を書いた人〉
まんごー/市長室国際課
社会人採用で入庁後すぐに国際課に配属され現在2年目。ブラジル渡航歴はないが、前職で中国、香港や台湾などの長期の駐在経験があり、中国語も話せるという。今でも毎年マンゴーを台湾から取り寄せるほどの台湾好きということもあり、国際課のこひつじ先輩に「まんごー」とあだ名を付けられた。本人もまんざらではない模様。

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