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王子動物園のズゼと28年ぶり再会、リガ市長が持参した丸太の正体?

バルト海に面したラトビア共和国。リガ市のヴィリニュス・キルスィス市長がこの11月、姉妹都市提携50周年を記念して、神戸にやってきました。

初来日した市長は「王子動物園」を訪問します。

そう、王子動物園にいる「ズゼ」は、1990年にリガで生まれ、リガの人たちからアイドルのように愛されたメスのアジアゾウです。

ですが、阪神・淡路大震災の翌年、被災した神戸の子どもたちが元気を取り戻せるように、王子動物園にいたオスのアジアゾウのお嫁さんとして、神戸に来ました。

リガの人たちは、涙を流しながら、でも気持ちよく神戸に送り出してくれたと、伝えられています。

王子動物園には、リガから来たシベリアオオヤマネコもいます。

どんな思いで、キルスィス市長は動物園を訪れたのでしょうか?密着レポートで、お伝えします。


阪急電車で王子動物園へ

11月6日、午後1時10分。
キルスィス市長、何やら怪しげな紙袋を右手に持って、三宮駅の集合場所に登場しました。

いざ、王子動物園へ出発!
 
なんとこの日は、市長たってのご希望で、公用車やハイヤーでなく、電車で動物園へ向かいました。
 
随行のリガ市職員によると、「キルスィス市長は歩くのが好きなの!」
 
ラトビアの国旗に使われる濃い紅色と同じような色の車体の阪急電車に乗り込むと、一行のテンションもあがります。

キルスィス市長は、公共交通機関の質の高さ、利便性、そして美しさに感銘を受けたと話されていました。

ズゼを目撃したリガ代表団は

短い鉄道の旅を楽しんで、いよいよ王子動物園です。
 
ゲートをくぐると、すぐ右手にみえるのは、なんとズゼ!
 
この日の予定は、まず動物関係の図書が収蔵されている資料館で、動物園の説明をひと通り聞いたあとに、ズゼに会う予定でした。

ところが、ズゼを目にした途端、皆さんは磁石のように吸い寄せられました。ズゼの魅力、恐るべしです。

資料館では、副園長がズゼのことを紹介します。

「オスゾウのマックはパートナーのズゼのことが大好きだけど、ズゼはまあまあかなぁという感じです。でも、マックがいなくなると探したりするので、本心では好きなんだと思います」

と話すと、皆さん笑顔ーー

姉妹都市50周年・リガ特別展

王子動物園園長の加古裕二郎さんとの会話も弾みました。それもそのはず、キルスィス市長、「僕の小さなころの夢は動物園の園長」だったんですって。

特別展には、古い手紙の展示があります。28年前にリガの人たちが、ズゼが神戸にお嫁入りするときに書いたというお手紙です。

訪問団の一人が「私も学校で書いたわ!」と声を上げます。なんだか手紙が時空を越えたように感じました。

ズゼの情報も盛りだくさんの特別展は、王子動物園の動物科学資料館で来年3月まで開催。動物園への入園料を払っていれば、無料でご覧いただけます。

市長が丸太を持ってきたワケ

さて、いよいよズゼとの対面のときです。
 
ここで、キルスィス市長、例の紙袋からおもむろに、何か取り出しました。

それはなんと、リガから持ってきた「丸太」だったのです。

大震災の翌年、王子動物園に来たばかりのズゼは、知らない場所への不安から、リガから持ってきていた「丸太のおもちゃ」をずっと抱えて離さなかったといわれています。

その話をリガの人たちは覚えていました。そして、キルスィス市長が神戸に行くのであれば、ズゼが生まれたリガ動物園やリガの人々から、新たな丸太を贈ろうという話になったそうです。

まさかとは思いますが、、、

ズゼはその丸太を、鼻でしばらく抱えていました。

シベリアオオヤマネコも!

そのあと、シベリアオオヤマネコのエリアへ向かいました。2016年にリガからはアルとベルというつがいを迎えたのです。

最近、飼育エリアの引っ越しがあったので、この日、見ることができたのは、新しい環境に慣れてきたアルだけでした。住まいが広くなったので、心なしかアルは、とてものびのびしていました。

リガを身近に感じてもらえれば!

最後に、キルスィス市長に神戸の印象を聞いてみました。

「イノベーションと伝統がまじりあった都市、というのが神戸の第一印象だ。効率的で、かつエレガント。フラワーロードを歩くだけでもそれが感じられた。今回の旅で経済から文化まで、またリガと神戸の新たな協業の可能性を見出せた。さらに関係を深めることが楽しみだ」

今年は神戸とリガが姉妹都市になってから50年。これまで公式noteでは7本の記事で、リガと神戸のかかわり合いをお伝えしました。

ラトビアのリガのことを少しでも身近に感じてもらえれば、うれしいです!

<この記事を書いた人>
こひつじ /市長室国際課
国際課職員。趣味はお菓子作りで、いつでもカフェをオープンできるよう、食品衛生責任者の資格をとった。
じつは今回の執筆でnote記事は6本目。この本数はゴウさんと編集長を除く、普通の市職員のなかではダントツの1位。

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