能登半島地震から半年、神戸から珠洲へ届けられたお花の意味
能登半島地震の発生から今日で6ヶ月。被災地では、避難者の仮設住宅への入居が進んでいます。ですが、仮の新居という中途半端で慣れない生活が続きます。
そんななか6月2日、神戸市公園緑化協会と神戸市造園協力会が、マリーゴールド、ベゴニアなど神戸産のお花の苗500株を、珠洲市にある仮設住宅に持参し、そこに暮らしている人たちと一緒に花壇づくりをしました。この記事では、現地での活動の様子をお伝えします。
阪神・淡路大震災のときも
1995年の阪神・淡路大震災のとき、神戸の人たちは同じような経験をしました。地震から半年、いま何が必要か?どんな気持ちでいるのかは、きっと違うと思います。
ただ30年前、神戸では倒壊した住宅が撤去された更地に、ボランティアの人たちが花のタネを蒔きました。やがて、つぼみが膨らみ花が咲くと、被災した人たちの心を癒していました。
それだけではありません。仮設住宅では、全国の人から贈られた花の苗を空き地に植えていました。
すると、何もないままだと仮設住宅のなかに閉じこもりがちになる人たちが、お花の世話を一緒にすることで、お話をするようになりました。住民どうしのつきあいが始まったのです。仮設住宅という特殊な環境で暮らす人たちにとって、お花が癒しをもたらした。そんな経験から今回の活動は生まれました。
単にお花を届けるだけではなく、、
なので、今回の活動では、プランターに植えられた花を単に届けるだけではありません。
マリーゴールド、ベゴニア、ペンタスというお花の苗を500株を届けるだけでなく、100基のプランターも一緒に持っていきました。というのは、被災した現地の人たちと一緒に植えるのが大事だと思ったからです。
これらの花はすべて「一年草」で、文字どおり1年で枯れてしまう草花です。ですが、成長するスピードがとても速いので、短いあいだに鮮やかな花を次々と咲かせ、その変化が楽しめます。
雨にもかかわらず80人が参加
6月2日(日曜)、私たちが現地を到着したころには、すでに雨が降っていました。仮設住宅に暮らす人たちとボランティアの人たち約60人が参加する予定と聞いていたので、少し不安もありました。でも、ふたを開けてみると、80名を超える人の参加があったのです。
参加者の一人は「地震の前は家でお花を育ててたんやけど、今はやっぱりできていない」といいながらも、この日を楽しみにしていたようです。
実際に作業がはじまると、花の苗をどう並べたらステキに見えるのかをを相談しあったり、植えた苗のできばえを比べあったりと、お祭りのような盛り上がりでした。
やがて、完成したプランターは自分たちの住宅の前に運ばれ、集会所前にも飾られました。
神戸では、たとえ街なかで暮らしていても、自然を感じながら生きていこうという「LivingNatureKobe(リビングネイチャ神戸)」という考え方で、街の緑を増やしています。高度な造園技術によって創り出される植栽が特徴なので、それを表現するような「寄せ植え」づくりも行いました。
すると、仮設住宅の被災者の見守りなどを行っている「ささえ愛センター」のボランティアの方から「センター前の花壇をぜひこんな感じにしたい」というお話があったので、そのセンター前の花壇も同じようになるように植え替えました。
心に寄り添うのは花と緑
能登の復興はまだまだ先の話です。倒壊家屋の撤去やインフラ、住宅の復旧再建は、神戸がそうであったように、きっと長い時間がかかります。
地震によってさま変わりしたの風景と日々の暮らし。そんなときこそ「日常(ふつう)」が、そして心のゆとりや癒しが求められていると、現地を訪れて改めて感じました。
私たちの今回の活動は、季節の移ろいとともに成長する植物を通したもの…
そんな花や緑が持っている自然の力を借りながら、被災された人たちの心に少しでも寄り添いたいです。
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