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神戸須磨シーワールド、スマスイから激変したワケは?!

前身である、須磨海浜水族園(愛称:スマスイ)が完全閉園してからちょうど1年。

きょう6月1日、神戸須磨シーワールドに生まれ変わってオープンしました!!

オープンに先がけた神戸市民の無料招待内覧には、500人の枠に対して35万人超の応募(倍率650倍!)があったほど、注目度の高い話題。

オープニングセレモニーにて、久元喜造神戸市長は「スマスイの歴史をしっかり受け継いでいただける事業者を公募しました。途中でコロナや資材高騰があったなか、今日を迎えられたことに感謝します」とあいさつしました。

さまざまなメディアで報道されているので、「須磨シーワールドにどんな楽しいコンテンツがあるのか」は、すでに何度も目にしていると思います。

そこで本記事では、もう少しマクロ視点&素朴な疑問について、広報戦略部ライターのゴウがお伝えしますね。

結局、スマスイが民営化したってこと?

これ、イエス・ノーのひとことで言い切るのは難しいんです。まず、この図を見てください。

きょうオープンした神戸須磨シーワールドは「オルカスタディアム」「ドルフィンスタディアム」「アクアライブ」の3エリアで構成されています。同時に、シーワールドの東側にホテルも開業しました。

シーワールドとホテルは、民間事業者の所有・運営です。水族館という施設単体で見ると、民営化したように見えます。

ただ、水族館もホテルも須磨海浜公園の敷地内にあり、その須磨海浜公園は神戸市が所有しています(図では各施設を取り囲む緑の木々の部分)。

どうしてもシーワールドに注目が集まりがちですが、実は今回のリニューアルは、水族館だけじゃなくて海浜公園全体を生まれ変わらせて魅力アップしよう!というプロジェクトなんです。

つまり、神戸市の公園を再整備するプロジェクト(枠組み)自体は公共事業で、その中身を実際に手がけるのは民間事業者、というわけです。

公園全体のプロジェクトである証拠に、シーワールドやホテルに先がけて去年(2023年)9月、海浜公園部分が整備され、BBQサイト併設のカフェや広場がおしゃれな「松の杜ヴィレッジ」としてオープンしています。

ちょっと専門的なワードを出すと、今回の再整備で活用したのは「Park-PFI(パーク・ピーエフアイ)」という制度です。

行政が計画・工事・運営管理とすべて担うのではなく、民間事業者が整備費用を一部負担することで、

  • 行政側……財政の負担を軽くできる&民間のアイデアとノウハウで公園が洗練される

  • 民間事業者側……収益の一部を公園整備費用に還元することを条件に、事業を展開できる

というウィンウィンな制度なんですって。なるほど~(私も今回、調べて初めて理解しました)。

シャチなのに「オルカスタディアム」?

さて、シーワールドの最大の特徴はシャチが見られることですよね!

シャチを見に行こう!と思ってシーワールドの案内を見たら……「オルカスタディアム」。

オルカ? シャチ? どっちなん!!??

実は、「オルカ=シャチ」なんです!
「オルカ」の呼び名は、シャチの学名Orcinus orcaの「orca」から来ているんですって。

似たような「大きな水の生き物」を整理すると、クジラ、シャチ、イルカは哺乳類で、サメは魚類です。

さすがにクジラはいませんが、スマスイ時代に引き続きイルカ、サメはシーワールドにいますので、その大きさや生態を比べてみてくださいね!

やっぱりシャチ、めちゃくちゃ大きい!

実は、水族館でシャチを見られるのはとても貴重で、今の日本では鴨川シーワールド、名古屋港水族館に次いで3か所めなんだそう。日本でわずか3か所とは、パンダと同じくらい珍しいということですね。

スマスイ時代の魚や生き物はどうなった?

新しいものに興味を引かれつつ、子どもの頃からお世話になったスマスイで見た魚や生き物たちがどうなったか、やっぱり気になります。

スタッフの方に聞いたところ、スマスイにいた魚・生き物の9割以上が引き続きシーワールドでも展示されているとのこと!

よ、よかった~。。。じゃあ、工事中はどこに行っていたんでしょう?

まず、イルカなどの大きな生き物は、分散して他の水族館に預かってもらったそうです。

そして、最後まで営業していた三角屋根の本館で飼育されていた魚・生き物は、シーワールドのアクアライブ館が完成した後に、本館から直接引越しをしました。

スマスイの本館大水槽を思い出すような展示も

ちなみに、スマスイで働いていたスタッフも、希望者は引き続きシーワールドで働いているとのこと。これもまたホッとしました。

子どもや市民の入館料割引は?

スマスイ時代の入園料は、大人1300円でした。新しいシーワールドは大人3100円、小中学生1800円(季節により変動あり)なので、発表時はその金額差に戸惑いを覚えた方も少なくないのではないでしょうか。

とくに小中学生は、「のびのびパスポート」があったから無料で入場できましたもんね……。

その影響を極力抑えるために、シーワールドが頑張ってくれました。年に一度、神戸市在住の小中学生は入館料が500円、幼児は無料になります!(2日前までの申請が必要です)

実は、大人にもチャンスがありますよ!
神戸港が開港した12月7日を「市民DAY」として、神戸市民は大人1000円で入館できる予定にしています。

行く!ぜったい行く!!

チケットは事前購入を!

チケットは事前にオンラインで日程を指定して購入することを強くオススメします!

実は、当初は「オープン後しばらくは当日券なし」の予定でしたが、今日は急遽、当日券を販売することに。

今後も、当日券を販売するかどうかは状況によってその都度判断するそうなので、「行こう」と決めた時点で事前購入してくださいね。

ちなみに、障がい者割引のチケットはオンライン販売はありませんので、窓口で当日買ってください。

そのほか、館内への食べ物の持ち込みや授乳室など「よくある質問」で確認してからお出かけするとスムーズです。

取材後の率直な感想

スマスイが、シャチを目玉にした民間の水族館に生まれ変わる!入館料は3000円超ーーー。

この計画が発表されたとき、個人的には「地元に愛される手ごろなスマスイが大規模に開発されて、私たち市民には近づきにくい存在になるんじゃないか」と心配しました。

でも取材を終えて、その懸念はワクワクに変わりました。だって、そこにいるみなさんが楽しそうなんですもん。

ライブで隣だった男の子は、「シャチあそこから出てくるで!」と教えてくれました

この男の子のお母さんに聞くと、自身も子ども時代から思い出のあるスマスイが閉園した寂しさはありながらも、「(新しくなることへの)楽しみのほうが大きかった」と話してくれました。

私自身は、シーワールドと周りの公園がシームレスにつながって、前よりも「須磨海浜公園」という一体感が感じられるのが好きだなと思いました。

須磨海岸って私たちには身近すぎて当たり前の存在なんですけど、阪神間に残る唯一の自然海岸ですし、明石海峡大橋も見える。全国的に見てもすばらしい景観を誇る地域資源なんですよね。

そうした魅力を最大限に引き出そうというのが、今回の再整備事業だったんじゃないかと思います。

さあ、ハード面は整いました。須磨が楽しい空間であり続けられるように、そのハードを活用してソフト面をつくっていくのは、私たちです。

スマスイの三角屋根、本館大水槽のアクリル板を再利用した「BE KOBE」

▼神戸須磨シーワールドの公式サイトはこちら

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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