子どもがスマホを使うのはホントに悪いこと? -スマートスマホ都市KOBE-
学校から帰ってきた子どもがずっとスマホをさわりっぱなし。「いいかげんにしなさい」と注意しても、なかなか聞いてくれないとお父さんとお母さんが困っているのをよく聞きます。
それもそのはず、2020年に行った神戸市のアンケートでは、家で一番することは「インターネット」と答えた中学生が61%で最多でした。
でも、インターネット自体を遠ざけてしまうのは、子どもの将来にとっても良くない気がします。
やはりスマホは時間の無駄!?
子どもたちが夢中になってしまうのは、ゲームや動画をつくっている大人たちがスマホを手放せないよう巧みに仕組んでいるのではと考えました。
そこで勇気を振り絞って、ヤフーの動画配信サービス「GYAO!」で元幹部であった旦 悠輔(だん ゆうすけ)さんに、話を聞いてみました。
子どもがスマホをずっと使うのをどう思いますか?と聞いてみると、
「だらだらとスマホを使い続けるのは、時間のムダです!」
という意外な答えが返ってきました。旦さんの話は続きます。
「私が子どものときは調べたい事があれば、図書館で本を探していました。ところが、今では即座に必要な情報が手に入り、自らの知的好奇心をすぐ満たすことができます」
「こんな便利な道具を人類が手放すことはありません。道路や電気のようなインフラになっています。だから、子どもたちには受け身になるのでなく、インターネットの仕組みを理解して自分の意思で使いこなせるようになってほしい」
利用制限はスマホ本体の設定で
スマホを持つ子どもが小学生にまで広がりはじめたことに危機感をもった神戸市は、久元喜造市長も参加して、小中学生と一緒にスマホやインターネットの使い方を話しあってきました。2017年にはじまったこの事業は、「スマートスマホ都市KOBE」と呼ばれています。
そこでも議論されたのは、子どもたちとスマホの距離をどう確保するのかです。旦さんも言っていましたが、アプリでの制限は簡単に解除できるので、スマホの基本ソフトであるiOSかAndroidで保護者が子どもの利用を管理しなければなりません。「ペアレンタルコントロール」という機能を使います。
ええっ、それって何?、めんどくさそうと思われるお父さんやお母さんは、まず自分がスマホを使えるように勉強してほしいのです。
単純に「まだ早い」とか「いじめや犯罪に巻き込まれる」というだけではなく、自らの衝動を抑えきれない子どもたちとしっかりと向かい合いながら、大人がうまく導いていかなければならない時代になっているのですから。
脱スマホ!六甲山で得たもの
大自然の中でスマホを完全に絶った子どもたちが合宿をやるニュースを見かけます。ならば、神戸には六甲山というすばらしいところがあるじゃないかと、この夏はじめて、2泊3日の「スマホとスマートにつきあうための合宿」を開催。小学5年生から中学2年生までの17名が参加しました。
湖でのカヌーやアーチェリーの体験、そばめしなどの食事づくり、カメラで写真を撮りながらのハイキングなど。ネットやスマホについて話しあったり、偽物のニュースを見分けるコツを学ぶ講座も開かれました。
ただこの合宿では、スマホの利用を全面禁止していません。時代に合わない極端すぎることは、逆に良くないと思ったからです。
宿泊施設のベテランスタッフや大学生リーダーたちもとても張り切って、小中学生とともに楽しんでくれました。そのおかげです。終了後のアンケートでは、「街なかではできないことができ楽しかった」、「一日中歩き回りたいくらい楽しい。六甲山の歴史も分かった」と、満足度が高かったです。
毎日8時間くらいスマホを使うという中学2年生の女の子から「最初の日は朝からイライラしていたけれど、みんなと仲良くなれて楽しかった」と言われ、スマホの画面をどんなに眺めても得られない体験をしてもらえたかな、とちょっとうれしかったです。
スマホを使いこなせる大人に
たしかにスマホを使っているとネットを通じて、いじめやトラブルに巻き込まれるおそれがあります。でも合宿では、子どもたちは、偽物のニュースの見分け方にとても興味を持っていました。もしかすると、大人より、インターネットやスマホに騙されない、使いこなしてやろうと思っているのかもしれません。
なので、まずは私たち大人がスマホに使われるのではなく、使いこなせるようにならないといけませんね。
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