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神戸開催「ダンスの甲子園」で若者たちが躍動!

阪神甲子園球場で、夏の高校野球が始まりましたね! その高校野球とわずか1日違いで、神戸にて開幕したのが「ダンスの甲子園」の異名をもつ全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)です。

まだ全国的なダンス大会がなかった1988年に始まった、歴史ある大会です。ことしで第35回目を迎えました。

開催地は総体(総合体育大会)のように持ち回りではなく、毎年神戸なんです!だから高校球児にとっての甲子園球場のように、若手ダンサーにとっては神戸が聖地なんですね。

大会の概要や、どうやってダンスを作り上げるのかなどは、4月にアップしたこちらの記事からどうぞ!

広報戦略部ライターのゴウです。
恥ずかしながら私は、ダンスの全国大会が神戸で開かれていることを、上の記事を読むまで知りませんでした。でも読んで、ぜひ見に行ってみたいと思ったんです。

そこで大会最終日の8月10日、取材に行ってきました。
いや~熱かったです!!


若さと華やかさで会場はキラキラ

会場は、大倉山の「神戸文化ホール」です。灼熱のこの時期、ふだん運動不足の私は、JR神戸駅からのゆるい坂道にゼーゼーハーハー息が上がります。

ホールの周りや入口付近には、たくさん高校生や大学生たちが。
ダンス競技自体は男女混合ですが、参加者はやはり女子が多め。華やかな空気に包まれます。

ハイレベルな演技に圧倒された!

このダンスフェスは、同じ学校に所属する5~30人によるチームで参加します。参加チームは延べ150以上、参加人数は約3000人です。

ストーリーやテーマを重視したオリジナル作品を作り、審査員による採点がある「創作ダンス部門」(高校・大学の部)と、創作ダンス以外のジャンルでもOKで、審査のない「参加発表部門」があります。

私が鑑賞したのは「創作ダンス部門」で、前日までの予選・決勝で優秀な成績を残したチームの演技です。

文部科学大臣賞(大学の部)

埼玉大学ダンス部「The Pied Piper この男は何者か」

写真:フォトスタジオ八木

赤い果実を持つこの男は何者? ちょっと怖いけれど興味がある……。そんな様子で男についていく人々の表情や動きがとても豊かでした。

文部科学大臣賞(高校の部)

帝塚山学院高等学校ダンス部「+0.8℃の慟哭」

写真:フォトスタジオ八木

この瞬間にも減り続けている生命たちの声なき叫びを表現します。真っ白な衣装のスカートを裏返すと海や緑をモチーフにしたと思われる柄になっていて、胸に迫ってくるものがありました。

審査員賞(高校の部)

神戸野田高校ダンス部「吾が『存在性(エッセ)』~三千年蓮のように~」

蓮の花が咲いたようですね!

神戸野田高校も、ダンス上位校の常連です。冒頭から頭を突き合わせるような振り付けで、まさに存在性を発揮していました!

他にも、自由な思考や発言を抑圧しようとする勢力とのせめぎ合いや、ミリタリーっぽい衣装でBGMに銃声が入っているものなど、考えさせられるテーマの作品もあります。

BGMがやむとダンサーの息づかいまで聞こえてくるので、リアルならではの迫力を感じました。

これからも、ずっと神戸で

表彰式には、久元喜造市長が参加。
創作ダンス部門の高校・大学の各部門で「神戸市長賞」を贈呈しました。

写真:フォトスタジオ八木

こちらは高校の部で受賞した、新潟南高校ダンス部の「サルバドール・ダリ -『亡き兄の肖像』-」です。

「神戸市長賞」は、新境地を切り開く独創的な発想を探究したチームに贈られます。女性ダンサーは最後までマスクをかぶったままで、本当に表現が独創的でした。

久元市長は「インターネットが私たちを取り囲む時代に、身体表現であるダンスはいっそう輝きを増すと思います。テーマをどう表現するか考えることは、高度に知的な営みです。それに挑戦するみなさんに敬意を表します」と、参加者にエールを送りました。

参加したダンサーや観客のみなさんにも、話を聞いてみました。

◆NHK賞を受賞した、天理大学の男子ダンサー2回生
「ダンスは、人間にしかできない身体の使い方や、表現力がすばらしいと思います。高校生からダンスを始めて、年数を重ねるごとにダンスのすばらしさを実感します」

◆同じく天理大学の男子ダンサー3回生
「ダンスの全国大会が神戸で開催されているのがありがたいし、この温かい場所でダンスをしていることを、もっと多くの人に知ってほしいです」

◆去年まで出場し、この春に光ヶ丘女子高校(愛知)を卒業したばかりの小野さんは、高校入学が2020年のコロナ流行と重なり、大会も中止に。
「大会が中止になり、舞台に立てるのが当たり前じゃないとわかりました。でもダンスへの思い、大会への思いがあるから、たとえ大会がなくてもそれに向かって頑張れた気がします」

「今あらためてこの会場に来ると、落ち着きます。私たちが見たこともない先輩がここで踊ってきたと思うと込みあがってくるものがあって、ここでやることに意味があるんです」

◆同じく光ヶ丘女子高校OGの伴野さん
「私たちにとっては、この会場が甲子園です!」

笑顔で写真に応じてくれた小野未来さん(左)、伴野未侑さん(右)

このコメント、仕込みじゃないですからね!
たまたま声をかけた学生さんからこんな言葉が出てきて、私が泣きそうになりました。

私たちが思っている以上に、ダンサーのみなさんにとっての神戸は「ここじゃないといけない場所」なんですね。

神戸での夏、ずっと忘れないでね。

この様子の一部が、後日テレビで放送されます!
NHK Eテレ/8月26日(土)午後4時~ からですので、ぜひご覧くださいね。

本大会の運営資金の一部は、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを通じた寄付でまかなわれています。

大会は終了しましたが、クラウドファンディングは8月30日(水)までおこなっています。

この記事やテレビを見て興味を持たれたら、クラファンサイトもチェックしていただけるとうれしいです。

https://www.furusato-tax.jp/gcf/2278

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。旅とバーとパンダが好き。

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