灘五郷の酒蔵めぐり! 飲める神戸市職員(女性)が体験レポート
2023年もあとわずかです。すっかり冷え込んできたので、お正月はお酒でも飲んで、暖かく過ごそうと思っている人も多いのではないでしょうか?
日本酒というと、米どころで有名な新潟や京都の伏見のイメージが強いですよね。ところが、日本酒の生産量日本一の都道府県は、なんと兵庫県なのです。国内のシェア約 1/4 を占めており、ダントツの1位です!
そんな兵庫県随一の酒どころが「灘五郷」。 ライターの私は、灘五郷の真ん中あたりの魚崎というところで、生まれ育ちました。で、日本酒が大好きです。 この記事では、灘五郷の魅力を余すところなくお届けします!
灘五郷が酒どころになったワケ
灘五郷とは、阪神電車の大石駅から今津駅までの南側のエリアを指します。駅数でいうと12駅。東西に長細い範囲を指しています。
その歴史は、室町時代に始まり、江戸時代には今の灘五郷に近い形になったと言われています。ここで酒造りが発展したのは、西宮神社の南東で酒づくりに向いた「宮水」が湧出したのと、六甲山系の急流を利用した水車で大量の精米ができたからだそうです。
さらに、大阪や京都がほど近く、海上輸送ができたことも大きいようです。このような自然の恩恵を受けて、灘五郷は日本一の酒どころになりました。
毎年恒例!灘五郷スタンプラリー
東西に連なる灘五郷、その全てを訪問した人は、かなり少ないと思います。という私は、ひそかに全部を回りたいと思っていたのですが、まだ実現できていませんでした。
ところが、毎年10-11月に「灘の酒蔵探訪」という、灘五郷をすべて巡りましょうという、まじ?!私のために?と思うようなイベントがあるのです。
※2023年の開催期間は終了しています。
酒蔵や資料館を訪問して、応募用紙にスタンプを集めると、その個数に応じて高級ホテルの宿泊券など豪華景品が当たります。
大好きな日本酒を飲んで、さらに景品が当たるなんて、私にとっては夢のようなイベントと思いながら、今年11 月に果敢に挑戦してみました。
阪神電車と徒歩での移動を繰り返し、1日で15箇所のスタンプポイントを全制覇。ただ、正直にいうと、1日でというのは無理ありました(誰も1日に回れとは言っていない)。途中で挫けそうになるほどの難行でした ...
酒蔵で、お酒とランチと買い物も!
灘五郷の銘柄は菊正宗、白鶴、剣菱など、お酒好きでなくても、いちどは聞いたことのあるものばかりです。
酒蔵を訪問すると、日本酒の試飲や飲み比べができます。季節限定の日本酒もたくさん置かれていて、ラベルを眺めているだけでも楽しめました。
ふだんは飲む機会のない生酒や樽酒を楽しめるのも、酒蔵ならではの醍醐味。にごり酒や果実酒など、 バラエティに富んだお酒が味わえます。
白鷹では、日本酒をお好みで熱燗にしてくれます。寒い季節にはありがたくて、ほっこりしますよね。次に訪れた大澤本家酒造だと、飲み比べを注文すると、限定のおちょこをプレゼントしてもらえました。
こんなふうに、酒蔵を一つ一つ探訪していくと、それぞれに特色があるのに驚きました。
そして酒蔵で働く人たちと、日本酒トークに花が咲くのもおもしろかったです。非日常の体験ですね!
酒蔵での楽しみは日本酒だけではありません。酒粕を材料に使ったランチやスイーツ、お漬物(甲南漬け)もあります。 私は昼下がりに酒饅頭をいただきました。上品な餡の甘みにお酒の風味がマッチしていておいしかったです。
売店をのぞくと、日本酒に合うおつまみもたくさんあり、どれもこれもおいしそうと試食しながら巡っていたら、お腹がいっぱいに。なので、最後はお土産に日本酒と甲南漬けを買いました。家に帰ってもまだ灘五郷を楽しめるなんて幸せです。
また、各郷には資料館があり、ぼーっと見ているだけで日本酒造りを学ぶことができます。しかも、あちこちに体験コーナーもあるので、お子さま連れのご家族も多かったです。幅広い年齢層で楽しめるのがうれしいですね。
灘五郷の酒蔵の挑戦
1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた灘五郷では、倒産する酒蔵も数多くあったそうです。
しかも国内で日本酒が一番飲まれたのは、昭和40年代。現在の国内の消費量はピーク時の1/3以下にまで減っています。
ですが、灘五郷のメーカーもかなり前から海外をにらんだ販売戦略を進めてきました。今では欧州や米国のスーパーで灘五郷のお酒が買えるところもあります。
ほかにも、お酒造りやお米作りを SDGs の視点から修学旅行生に学んでもらったり、下水処理場で取り出したリンを肥料に使った酒米でお酒を造ったり、新しい事業にもチャレンジしています。
2024年のお正月はぜひ、日本一の酒どころ「灘五郷」 のお酒を一献傾けながら、よい新年をお迎えください!
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