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じっさいどぉなん? 神戸市が高校生の通学定期券代を「ゼロ円」に

2024年9月から、神戸市内の高校に通う高校生を対象に通学定期券が無料になります!

中学1年生を筆頭に子どもが4人いるわが家は、このニュースに大歓喜。なぜなら、神戸の西の端・西神中央エリアに住むわが家から市中心部の高校に通う場合、4人分×3年間の定期券代は、合計100万円以上かかるからです。
これが無料になるんですから…めちゃくちゃ助かります!!

さて、子育て支援と言っても色んなメニューがある中、神戸市はなぜ、定期券の無料化に踏み切ったのでしょう?

神戸市X(旧Twitter)などネットにも、これについては賛否両論の意見があります。

「本当に助かる!」
「行きたい高校の幅が広がった!」など、肯定的な意見の一方、
「優先順位が間違ってる」
「なぜ市外に通う高校生は対象外?新たな分断を生んでいる」など、否定的な意見もありました…。

なぜ、今、定期の無料化なのか。それには、深~い深~い理由があるんです。いくつかの観点から説明します。


全国で減り続ける若者、高い通学費

まず前提として、皆さんご存じのとおり日本全体で若者の人口が減少しています。

出生率がきわめて低い東京への一極集中が進み、さらに若者の人口が減る…。

多くの自治体は、若者・子育て世帯をいかに定着させるかが求められています。神戸市も例外ではありません。

また、兵庫県が学区を見直したことで、私たちの時代よりも通える高校の幅が広がりました。ということは、これまでと比べて通学費にお金がかかるようになります。

特に神戸市の場合、その額が政令市の平均を上回ります。市域が広いからこそ、高くなるのかもしれませんね。

脅威!大阪府の高校授業料無償化

そんな状況の中、今年度から大阪府の高校授業料が、所得制限が撤廃され完全無償化となりました。なぜ、これが神戸市にとって脅威なんでしょうか?

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グラフのとおり、大阪府は世帯年収にかかわらず、全ての府民の高校授業料が無償化になります(府外の高校に通う高校生については、検討中だそうです)。

これ、すごいですよね。授業料を気にせずに志望校を決められるって、大きいと思いませんか。

一方、兵庫県ではどうでしょう?

現行制度では世帯年収が590万円未満であれば、県内高校授業料の平均である44万円までほぼカバーできます。590万円を超えると段階的に授業料を負担することになり、910万円以上だと全額自己負担になります。

世帯年収が910万円以上の場合、負担額の差は年間で約44万円。隣り合う府県で、この差は大きいんじゃないでしょうか。

起こるであろう負のスパイラル

これを放っておくとどうなるでしょうか?

大阪のほうが授業料かからない・多様な学校があるから、神戸市内・阪神間に住んでいる子育て世帯が大阪へ流出。

市内・阪神間に進学希望の学生が減る。

市内・阪神間の高校の教育水準の低下に繋がる。

授業料に差がある上に、市内・阪神間の高校の魅力が低下すれば、さらに子育て世帯から居住地として選ばれなくなり、子育て世帯が減る。

こんな負のスパイラルに陥るのでは?と神戸市は危惧しています。

実は私も、地元である姫路から神戸に引っ越した理由の一つが「子どもが大学に通うにあたり、姫路から通える大学が少ないから」です。私と同じような理由で居住地を決める家庭も少なくないと思います。

関東なら東京、関西なら大阪と、施設や機会の多い大都市に人が引き寄せられることは、事実として否めません。

このまま放っておけば、神戸はきわめて寂しいまちになる可能性があります。それを食い止めるためにどうすればよいかと何十回も庁内で議論して、思い切って高校生通学定期券の無料化を決めました。

ただ残念ながら、市外に通う高校生は無料化の対象外となります。というのは、神戸市の権限外の話になってしまうからです。

久元喜造市長も定例会見で「気持ちとしてありますけれども…」と語るように、基礎自治体(行政区画の中で最少の単位である市町村など)としてのもどかしさはあります。

でも、支援できるところからしていきたい!というのが神戸市の姿勢です。

通学定期券の無料化は世帯年収に関係ないメニューなので、個人的には、より多くの人に幸せを感じてもらえるんじゃないかなと思います。

*ちなみに市外の高校に通う高校生にも現在、年額14万4000円(月額で1万2000円)を超える通学定期代の2分の1を補助しており、その補助は継続します。

私が三宮から遠い西神中央に住むワケ

ここで、私が神戸の中でも西神中央に住むことに決めた理由をお話しさせてください。

西神中央は市営地下鉄の始発駅がある神戸の西端です。私たち家族は、西神中央のこんなところが気に入りました。

  • 地下鉄の始発駅なので、朝の通勤で絶対に座れる。

  • お上品で優しいおじいちゃん、おばあちゃんが多い元ニュータウンなので、子ども達をよく見てくれる(「さっき公園に行ってたよ~」といった感じで声をかけてくれる)。

  • 子どもの数がそんなに多くないため、運動会や音楽会で朝早く並ぶ必要がない。

  • 市中心部にわざわざ出なくても、生活に必要なもののほとんどが、西神中央駅前の商業施設で揃う。

  • ニュータウンのすぐ近くに山や川があり、いつでも自然に触れあえる。

などなど。
これらって、あんまり他都市にはない稀有な魅力だと思うんですよね。

春は友達家族と、すぐ近くにタケノコ掘りに行きます

話は定期券の無料化に戻ります。

Xには「大阪なら授業料タダ、神戸なら定期代がタダ、じゃあ神戸にしようとはならない」という意見がありました。たしかに、その通りだと思います。

高校生の定期券無料化は、あくまで子育て施策の一つにすぎません。それが他都市よりも神戸を選ぶ最大の理由にはなりえないと思います。

わが家も、子どもの通学費を気にするならもっと三宮(市の中心部)の近くに住めばいいはずですが、西神中央に魅せられたわけです。

つまり、住む場所を決めるとき、子どもが行きたい高校を決めるときに、気にする要素を一つ減らして、より自由な選択をしてもらいたいというのが神戸市の願いです。

数十年後、「あのときの高校生定期券無料化が、神戸のターニングポイントになったなぁ」と語り継がれれば、市職員としてこれほどうれしいことはありません。

▼充実した神戸市の子育て支援メニューはこちらから

▼こども・子育て支援での神戸市の考え方はこちらから

<この記事を書いた人>
ふじもん /長田区総務部地域協働課
2024年3月末まで広報戦略部で2年間在籍。記者会見など新聞社やテレビ局の対応を担当。
高校生定期券無料化が自分の生活に大きく関わることだったため、記事を書きたいと立候補した模様。
週5日のジムでの筋トレ、週1日のバスケは欠かさない。朝イチの口癖は「今日も最高の一日にしましょう!」らしい…

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