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留学生と日本人学生、どうやって交流する?神戸市長と考えてみた

去年(2023年)の夏、神戸市の大学生と久元喜造市長の対話フォーラムをこのnoteで取り上げたのを覚えていますか。

「明石市のように、もっと子育て施策に力を入れてほしい」と意見を出した大学生が、実は神戸市の子育て施策も手厚いことを知り、驚く場面もありました。

その際に「留学生も含めたフォーラムを開催してほしい」という声があったため、きょう3月5日、留学生×日本人大学生×久元市長の対話フォーラムが開催されました!

広報戦略部ライターのゴウがお伝えします。

生活情報、ちゃんと届いてる?

フォーラムには、8つの国と地域(中国、ベトナム、フィリピン、ネパール、台湾、バングラデシュ、ウズベキスタン、ベナン)出身の留学生22人と、日本人学生11人、合計33人が参加しました。

神戸市には現在、外国人の住民が5万人以上います。そのうち約半数は長く日本で暮らす特別永住者・永住者であるのに対し、留学生も1万人近くに上ります。

とくに来日したばかりのときは右も左もわからず、何かと困りごとが出てきますよね。

そんな外国人住民のみなさんをワンストップで受け止めるのが、神戸国際コミュニティセンター(KICC)です。新長田の商店街に本部があります。三宮や御影にも拠点がありますよ。

意見交換で久元市長はまず「行政やKICCが発信している外国人向けの情報が、みなさんに届いていますか」と呼びかけました。

すると、この対話フォーラムに申し込むくらい意識の高い留学生の中でも「KICCを知らなかった」という人が何人かいました。

日本語が苦手な外国人住民は、このnoteを読むことができません。たとえ日本語がある程度できるようになっても、人知れず困っていることがあるかもしれないですよね。

だから、このnoteを読んでくれているみなさん!

周りに外国の人がいたら、まず「外国人のいろんなことをサポートしてくれるKICCって知ってる?」と聞いてみてください。

もちろん、神戸市として広報をもっと頑張らなければいけないのですが、どうかみなさんのパワーを貸してください。

KICCの取り組みの中で、とくに大事だなと思ったものを3つ紹介しますね。

1.ワンストップ相談窓口

どんな困りごとでも、まずは相談してください。11言語(*)に対応しています。新長田の本部で対応しますし、電話相談もOKです。

電話番号:078-742-8705

*日本語、英語、中国語、ベトナム語、スペイン語、韓国・朝鮮語、ネパール語、タイ語、フィリピノ語、ポルトガル語、インドネシア語

2.生活情報のポータルサイト「KOBE Living Guide」

ゴミの出し方や医療相談窓口など、生活に必要な情報を11の言語でお届けしています。

とくにゴミ出しは、日本人住民の生活にも直接影響しますよね。「最近、決められた曜日じゃない日に出す人がいるな…」と思ったら日本語の読めない外国人だった、ということも。

だからこそ、この情報をみなさんにも拡散していただきたいのです。

こちらのリンクから入って、

画面右上の「Language」をタップすれば多言語メニューが見られますよ。

3.ひょうご防災ネット

緊急のときこそ、日本語がわからないと情報を取り逃しがちになります。12言語(*)に対応しています。日本人のみなさんも、まだの方は登録しておいてくださいね(ひょうご防災ネットは兵庫県の取り組みです)。

*英語、フランス語、ドイツ語、中国語(簡体字・繁体字)、インドネシア語、イタリア語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ベトナム語

このリンクから入って……

言語を選択して「表示」を押してくださいね。

留学生×日本人学生の交流課題

さて、話は対話フォーラムに戻ります。

メインテーマとなったのが「留学生と日本人学生の交流はどうしているか?」です。とくに留学生は故郷から日本にやってきているのですから、交流したいと思っている人は多いはず。

この問いに対して出た意見は……

留学生
「学内で国際交流センターや交流イベントはあるが、日本人の参加者が少なく、留学生どうしの交流の場となりがち。それどころか『中国人とベトナム人の交流会』になってしまうことも」

日本人学生
「留学生どうしが固まって母国語で話していることが多いので、話しかけにくい」

そうですよね……自分の学生時代を思い出しても、そんな感じだった気がします。互いに及び腰になってしまっているのかも。

「では、どんな取り組みがあれば交流できると思いますか?」とホワイトボードの前に立った久元市長。なんか塾長っぽいですね。

  • 留学生は(母国語でなくても)英語が得意な人が多いので、日本人学生が留学生から英語を学ぶ教室を開催しては

  • 特定の学生がお世話係のようにサポートする「留学生バディ」を設定している大学も。1対1の大学もあれば、留学生2人に対して日本人学生3人など、チームで生活をサポートする

  • 留学生と日本人学生がシェアハウスで生活する

  • 積極的にまちのボランティアに参加する(神戸マラソンなど)

  • スポーツのイベントがあれば仲良くなりやすい

など、すでに実行されているものも含め、いろんな意見が出ました。チーム制の留学生バディ、いいですね!

これに対し、久元市長は「こんなボランティア活動があったら参加しますか?」と里山の再生や竹林の整備を挙げ、イベントとして神出山田自転車道でのサイクリングを勧めました。

めっちゃ里山推してるやん!!
と心の中でつぶやいたのは、私だけではなかったはずです(笑)。

他にも、短期留学生のホームステイ受け入れをしているという人からは

「秋にやっているスイーツめぐりのバスツアーや、企業の裏側を見られるツアーを外国人向けにも通年でやってほしい」

という意見が出たりしました。

まさか起業支援までしていたとは

ところで私が驚いたのは、神戸市が留学生向けの起業支援もしていることでした。

外国人が日本に滞在するうえで、何よりも重要なのがビザ問題です。

起業するには「経営・管理ビザ」が必要ですが、留学生が大学を卒業したばかりでその条件を満たすのは、現実的ではありません。

そこで神戸市は「神戸市スタートアップビザ」を用意。

国に認められた都市だけが発行できるビザで、最大1年間のうちにビジネスを軌道に乗せて経営・管理ビザを取得すればいい、というものです。

去年はこの制度を利用して神戸で起業した外国人2人が、経営・管理ビザを取得できたそうです。

フォーラム参加者でも、卒業後は日本で起業を考えている人がちらほら見られました。

もちろん、起業だけでなく日本での就職支援もKICCでおこなっていますよ。

今日のまとめは「とにかく、何かあったらまずKICC!」ですね。

アフターの交流会でワイワイ

フォーラム終了後は、お菓子とお茶でプチ交流会。参加者に感想をたずねると

日本人学生
「国際大学ですが国際系の学部じゃないので、同じ大学の留学生の制度を何も知らなかったなと」

「みんな、(交流しにくいという)抱えてる悩みは同じだなと思いました」

留学生
「自分たちが思っていることを神戸市に伝えられたのがよかったです」

という声が聞かれました。
みんな、大学や留学生/日本人を越えてワイワイ。

最初はちょっとシャイだけど、こんな感じでおしゃべりしてみたかったんですよね。このフォーラムが、みなさんの国際交流の第一歩になったならうれしいです。

〈おまけ〉
参加者の中に1人、中央アジアのウズベキスタン出身の留学生がいました。実は私、ウズベキスタンに行ったことがあるんです。そう伝えると、日本向けに作られているウズベキスタンのパンフレットをくれました。

〈この記事を書いた人〉
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。旅とバーとパンダが好き。

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