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神戸の姉妹都市・リガを体験 須磨でラトビア雑貨店、みいつけた!

先日、神戸市とラトビア・リガ市との姉妹都市交流が、外務大臣賞を受賞したとお伝えしました。

このnoteを読んでくださっているみなさんなら、神戸市とリガ市が姉妹都市であることは、よくご存じだと思います。

ラトビアやリガに行ってみたい!と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなにすぐ行ける場所ではありませんよね。

ところが素晴らしいことに、神戸にはラトビアに行ったような気分になれる場所があるんです!


ラトビア専門の雑貨店が!

それが、須磨にあるラトビア雑貨SUBARU(スバル)です。雑貨は人々の生活に直結していますから、「ラトビアらしさ」を感じるのにぴったりです。

まるで、森の世界に紛れ込んだみたい。小さなカフェスペースで、ラトビアのハーブティーをいただくこともできます。

店主は、溝口明子さんです。
2009年に元町の栄町で雑貨店を開業。その後、店を閉じてラトビアで1年半暮らし、2015年に店舗を再開。2019年、須磨に移転しました。

なぜ、日本でよく知られているとはいえないラトビア雑貨を仕事にしたのか、ラトビアやリガにどんな魅力があるのか。

きっと“神戸で一番ラトビアに詳しい人”であろう溝口さんに、広報戦略部ライターのゴウがたっぷり聞いてきました。

店主・溝口さんの「推し」ポイント

――溝口さんがラトビアに出会ったきっかけを教えてください。

溝口さん(以下敬称略):ずっと「いつかやりたい」と思っていた雑貨屋さんを開くため、勤めていた職場を退職したのが2009年。

はじめから漠然と、日本では馴染みのうすい地域の雑貨を集めたいと思っていたんです。フランスやイギリスなどの雑貨店は、競合が多すぎるので。

当初は中央アジアのウズベキスタンに着目したので、まずウズベキスタンの首都・タシケント行きの航空券を取りました。

その航空券が、タシケントを最終目的地としない「途中降機」扱いで、わずかな追加料金でラトビアのリガまで行ける、とてもお得なチケットだったんです。

それが、ラトビアと私の出会いでした。

ラトビアに特別な思い入れはなく、隣国のエストニア・リトアニアにもバス行けると知って「1フライトで4か国も行けるからラッキー」くらいの気分でした。

でもラトビアを訪れたとき、何とも言えない居心地のよさを感じたんです。具体的に言葉にするのは難しいんですが……。

学生時代からアルバイトでお金を貯め、バックパッカーとして海外に行くことが好きだった私。それまでにたくさんの国を訪れていましたが、ここまで居心地のよさを感じたのはラトビアが初めてでした。

リガの街並み(溝口さん提供)

帰国後にお店をオープンした当初は、ラトビアをはじめ、北アフリカのチュニジアやポーランド食器など、いろんな国の雑貨を扱っていたんです。

そのうち、取り扱う国の中でもラトビアにどんどん惹かれていき、「もっと知りたい」「知らないと失礼だ」という気持ちになり、2013年にいったんお店を閉じて現地に渡航。

取引先の開拓はもちろん、ラトビア語や現地の生活習慣・伝統・手仕事・音楽など、1年半でいろんなことを学びました。そのときから、ラトビア専門の雑貨店として活動しています。

ラトビア滞在中(溝口さん提供)

――溝口さんがそれほど惚れ込んだ、ラトビアの魅力とは?

溝口:彼らの暮らしが、自然とともにあることですね。季節に旬のものを食べるとか、暦の節目の日を農作業の目安にしたり、お祭りをしたり。

ラトビアには自然信仰が根づいていて、自然の中のあらゆるものをときに神格化しながら敬愛の対象として捉えるんです。キリスト教が入ってきた今も、一番大切にしているのは夏至祭だったりします。

この感じが、日本と共通しているなと親近感を持ちました。

ラトビアでの夏至祭(溝口さん提供)

一方で、首都のリガは洗練された都会です。人々は、日本よりもITが進んでいるような社会で月~金・フルタイムで働いていても、休みになるとすべてを放り投げてベリー摘みやきのこ狩りに行ったりと、森や自然を思いっきり楽しみます。

私たちが子どもの頃にあった、今は希薄になりつつある社会の大らかさと、発展を共存させている心の豊かさが、素敵だなと感じます。

普段は都市で働きつつ、自然との暮らしも満喫する人々(溝口さん提供)

また、自分たちでソ連からの再独立を勝ち取った国なので、自分の国を大切に思う気持ちが本当に強いんです。恨みではない形で過去を昇華させる心の強さもある。

取り立てて独立回復時のことを話すわけじゃなくても、ふとした会話の中からそうした感性が垣間見えたときには、たまらない気持ちになります。これは、平和な日本に育った私たちにはない感情だなと。

野の花を摘み、花冠をつくる人々(溝口さん提供)

あと、音楽がDNAに根ざしている国でもあります。日本が古事記や日本書紀に歴史を記したように、ラトビアの人はすべての叡智を民謡に乗せて後世に伝えるんです。

不思議なもので、あれだけ世界のいろんな国に行きたいと思っていたのに、ラトビアに出会ってその熱が収まってしまいました。

――神戸出身の溝口さんですが、神戸市とリガ市が姉妹都市であることは前からご存じでしたか?

溝口:いえ、知りませんでした。ラトビアについては「バルト三国の一つで手工芸がさかん」くらいの知識で、神戸市とリガ市の関係を知ったのは初渡航の前後だったように記憶しています。

知ったときは、「縁があるな」と思いました。

――では、ラトビアの中でも首都・リガの特徴や魅力は?

溝口:公園など緑が多くて気持ちいいですし、どんな人が行っても楽しめる街ですよ。

街のどこを切り取っても絵になるんです。アールヌーヴォー建築がよく残っているので、建築が好きな人は楽しいはず。石造りの建築が多いヨーロッパでありながら、意外に木造建築も多いのもおもしろいところです。

リガのアールヌーヴォー建築(溝口さん提供)

また音楽がさかんな国なので、オペラや音楽が聴ける劇場やホールもたくさんあります。もちろん、雑貨やデザインなどもおしゃれなものが多いですし。

あと、食べ物も日本人によく合うんです。今までにラトビアを訪れた日本人で「食事が合わなかった」とは聞いたことがありません。

――具体的にどんな感じなんですか?

溝口:言葉で表すのは難しいんですけど、歴史が複雑でいろんな国に支配されてきた国なので、いろんな国の素材や調理法のうち、おいしいものだけが残った感じです。

お魚料理なんだそうです。おいしそう!(溝口さん提供)

――ラトビアに15年関わってきて、日本でのラトビアの認知度は上がったと感じるますか?

溝口:感じます。以前はアフリカの国だと思われることが多かったんです。隣国のエストニアが、アフリカのエリトリアと音が似ているので。

今も「ラトビアってどこ?」と聞かれることはありますが、ヨーロッパのどこかという前提で聞かれることが増えました。「どこ?」の範囲が狭まってきましたね(笑)。

――最後に、神戸市のみなさんにメッセージをお願いします。

溝口:やはり、ラトビアやリガのことを知っていただけると嬉しいですね。

簡単ではないと思いますが、もし現地に行くことがあれば……ラトビアの魅力は「人」だと思うので、観光名所めぐりをするだけじゃなくて、田舎の家に泊まって暮らしを体験するなど、現地の人のハートに触れる体験をしてほしいです。

きっと、言葉にはできない豊かさを感じてもらえると思います。

ラトビアを象徴する手工芸品・ミトン

*インタビュー終了

「人が魅力」という点でも姉妹都市

「ラトビアの魅力は人」、これを聞いて私はちょっと震えました。似たような言葉を聞いたことありませんか?そう、BE KOBEなんです。

BE KOBE
神戸は、人の中にある。
神戸の魅力は、山より、海より、人でした。

https://bekobe.smartkobe-portal.com/

たどってきた歴史から、自然とともに暮らす何気ない日々を本当に大切にしていること。それが、ラトビアの人々の魅力になっているんでしょうね。

きっと神戸の魅力である「人」も、神戸の地形や気候風土、歴史に育まれたものなんでしょう。

「人が魅力」という点でも、ずっと“姉妹都市”であり続けたいですね。

■お知らせ■
雑貨店のほかに、ラトビアを感じられるイベントが9月に2つありますので、リンクを貼っておきます。

①SUBARU 15周年 記念写真展
開催中~9月16日 @花森書林(中央区元町通)


②ウズマニーブ10周年コンサート
9月22日 @ダイヤ通音楽ホール(兵庫区中道通)

溝口さんも演奏者として参加する、ラトビアの民族楽器グループのコンサートです。

* * * * *

記事の文脈上、どうしても「ラトビア≒リガ」になってしまう箇所があり、ラトビア関係の方には申し訳ありません。

ただ数字を見ると、ラトビア国民の約3人に1人はリガ在住。ということは、リガで神戸が知られている→ラトビアで神戸が知られている→ラトビアでは京都や大阪よりも神戸のほうが有名かも? と思ったり。

姉妹都市の相手はあくまでリガ市ですが、心情的には「神戸はラトビアと姉妹都市なんだ」くらいの親しみを、私自身は感じています。

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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