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職住近接の場、名谷駅徒歩ゼロ分に誕生! 子育てしながら働けるの真意

地下鉄・名谷駅の改札から30秒ほどのところに3階建ての新しいビルが開業しました。1-2階はカフェなどの商業施設と地下鉄・バスの定期券売場があり、よくある駅ビルです。

6月30日に開業した「tete名谷」

ところが、3階にできたのは「神戸名谷ワークラボ SUMAile(スマイル)」という、新しいタイプの120席のオフィスです。運営するのは、人材サービス会社では国内で最大規模のパーソルテンプスタッフ株式会社です。

きょう、その開所式が行われ、久元喜造市長が出席。民間企業のオフィスのオープニングに自治体のトップが参加するのは、はっきりいって異例です。何か大きな意味があるのではと思い、レポートすることにしました。

旧幼稚園をオフィスに転用

名谷はかつて「須磨ニュータウン」と呼ばれた開発団地の中心地。この地域には今でも10万人ほどが住んでいます。パーソルテンプスタッフがこのエリアにこのような拠点をつくったのは、今回がはじめてではありません。

2019年12月、名谷駅から西に2kmほど離れたところに「神戸名谷ワークラボAOZORA(アオゾラ)」を開設しました。廃園となったあおぞら幼稚園を改修したものです。

ここには、120席分の仕事スペースがありますが、特定の会社のオフィスではありません。例えば、神戸市の仕事でいうと、道路や公園の不具合の電話通報を受けたり、新型コロナのワクチンを医療機関に配送する管理をここでしています。ときには民間企業のお客様相談窓口を担うこともあります。

新型コロナのワクチン配送の管理センター

これまでの3年半で、延べ300人以上が働きました。

名谷に住んでいる人が4割近くを占め、地下鉄沿線の西神や学園都市など西区に住んでいる人が2割います。

こういうのは、良いですよね。家と職場が近いのは、理想の働き方の一つです!

パーソルが名谷に着目した理由

では、パーソルテンプスタッフは何を考えているのでしょうか? 同社の犀川幸秀さんに話を聞きました。

「日本では労働力人口の減少は避けられません。当社のような人材サービス会社は、働く人をどう確保するのかが生命線です。そうなると、働きたいが働けていない方、例えば、お子さんがまだ小さいので家にいたい、あるいは親の介護で毎日働くのが厳しい、そういう方のために住宅地の中で働ける場所をつくりたいと思いました」

たしかに、自分の時間を大事にしながら、自分のペースで働ければ、理想的ですね。

SUMAileの通路には「コスモスの丘」の写真が

神戸市から駅前ビルの相談が、

旧幼稚園という休眠施設に命を吹き込んだ同社。それに目をつけた神戸市のある職員が、3年前にこの駅隣接ビルのことを相談してきました。

それもそのはず、子育て支援に力を入れながら、何かと近隣の自治体と較べられるので、地味でも真に役立つものが欲しかったからです。

犀川さんは、名谷駅に隣接していれば、西神中央、西神南、学園都市などの地下鉄沿線に住む人の働く場になると直感的に感じました。

個人ロッカーと奥には休憩スペース

犀川さんは神戸市側に提案しました。IT人材を育てる拠点にしたいと。例えば、キントーンを使える人、エクセルが得意な人に、ここで働いてもらう。そういう人から学んだ人たちが、次に周りの企業で働くようになると、地域全体の底上げになると考えました。

のどかなオフィスである理由

私は仕事がら、いろんな職場をよく訪問します。ところが、AOZORAを訪問したときに何かしら、のどかな雰囲気を感じました。

たしかに毎朝、満員電車に揺られて、三宮のようにビルが林立するところで働くのとは、違うのかもしれません。ですが、別の理由があるのではと、両拠点の責任者を務める仲宗根 望さんにたずねると、

「働き方の柔軟性でしょうか。例えば、お子さんの行事とかで都合が悪くなると、スタッフ同士で勝手にシフトの調整をします。私のところに相談に来るときは、○○さんが代わりに入ってくれますと決めてくるのです。別に私がさぼっている訳ではないでのすが(笑) 困ったときはお互いさま、それが離職率の低さや、彼女彼らのモチベーションにつながっているのかもしれません」

なんというか、まるで家族のような関係なのですね!

開放的な職場が準備中

電車もバスも不要、徒歩通勤!

じっさいに駅前で働くとどうなのでしょうか。ここで働く予定のスタッフの一人に聞いてみました。彼女には、高校1年生の娘がいます。なので、朝ご飯とお弁当、そして仕事終えて帰宅すると、夕食をつくらないといけません。

「先月までAOZORAにはバス通勤でした。7月からここが勤務地なので歩いていけます。バスの時刻を気にすることもなくなりました」

なんと、あまりにも健康的な完全徒歩通勤の実現です!!

そんな駅前施設の開所式に参加した、久元市長は、「街開きから長らく手を付けていなかった名谷。最近になって図書館や広場など次々に新しくなっている。ここは西神や学園都市など地下鉄沿線から大変便利。この名谷が多くの人をひきつける、そんな街にしていきたい」と思いを語りました。

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取材を終えてこのビルの屋上にいくと、そこは人工芝を敷いたオープンスペース。

期末テストのあとでしょうか、学校帰りの高校生、そして親子連れがくつろいでいました!

そんなところにできたのは、自分の生活がまずあって、そこに働くを組み合わせる場です。ちょっと時代を先取りしているのかもしれません。

<この記事を書いた人>
多名部 重則/広報戦略部長兼広報官、Forbes JAPAN Official Columnist
1997年神戸市採用。米国シリコンバレーの投資ファンド「500 Startups」との起業家育成を軸にしたイノベーション施策を2015年に立ち上げた。同じころアフリカ・ルワンダとの交流事業を推進。2020年からデザイナー・映像クリエイター・ライターなど副業人材を登用して市の広報業務の変革に挑んでいる。博士(情報学)。

多名部 重則 Forbes JAPAN 執筆記事

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