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三宮駅の南、徒歩5分に「森」出現! 磯上公園が生まれ変わりました

ああ、緑の中に入ると癒やされる……。
どこに来ていると思います? 実はここ、磯上公園なんです!!

きょう6月6日、再整備が完了した磯上公園がリニューアルオープンしました。

最近、リニューアルするものがいっぱいでテンション上がりがちな、広報戦略部ライターのゴウがお伝えします。

磯上公園の歴史

公園という言葉からは「憩いの場」「樹木やベンチ」を思い浮かべがちですが、これまでの磯上公園は、野球やサッカーなどのチームが使う「グランド」でしたよね。

以前の磯上公園

磯上公園ができたのは、1955(昭和30)年。一般的な公園というよりもスポーツ要素の強い公園になったのには、東遊園地や神戸市役所と深い関係があります。

東遊園地は、開港後の神戸にやってきた外国人が、スポーツやレクリエーションを楽しむために作られた公園です。実は今よりもっと広く、旧花時計広場のところまでが東遊園地でした。

しかし、この場所に神戸市役所の庁舎が建つことになり、東遊園地は狭くなることに。そこで、減った面積を補う形として磯上公園が誕生したのです。

東遊園地のサテライト園としての経緯があるから、磯上公園はスポーツのためのグランドになったんですね。

「緑がほしい」の声にこたえて

それから70年近く。

三宮のまち全体が古くなってきたので、いま神戸市は都心再整備を進めています。磯上公園もその一環として位置づけ、再整備されることになりました。2022年には、先に磯上体育館がオープン。

公園の利用者や市民モニターに「どんな磯上公園なら利用したいか」とアンケートを取ったところ、「芝生広場がほしい」「花や緑が楽しめる空間がほしい」という意見が多数ありました。

その結果、あの土のグランドが、芝生広場と木々が生い茂る回廊型の癒やしの庭園「ヒーリングガーデン」に生まれ変わったのです。

(球技場の代替施設としては、ポートアイランドに新しく港島南球技場がオープンしています)

オープニング式典で久元喜造市長は「まちの再整備は便利になるだけではなく、訪れた人がホッとできるような、緑豊かな空間が必要です」と、今回のリニューアルに携わった方々に感謝しました。

ヒーリングガーデンってどんなん?

では、ヒーリングガーデンはどんな庭園なんでしょう? ヒーリング(healing)とは「癒やし」のことです。

ヒーリングガーデンを設計・監修したのは、造園家の栗栖宝一(くりす・ほういち)さん。50年以上前からアメリカのポートランドで、日本庭園をベースとした癒やしの庭を作り続けてきました。

栗栖宝一さん

栗栖さんが定義するヒーリングガーデンとは、「自然と人間が一体となる空間」なんだそうです。

人間に私利私欲やエゴやプライドがあると、自然と一体にはなれない。そこで、庭に入って岩と対話したり、ベンチに腰かけ葉ずれや水音を聞いたりして自分に向き合うことで、一つずつ自分の中のエゴが剥がれていき、ピュアになっていく――。

これが「癒やし」で、日本庭園は人間がそのように変われる要素を持っている、というのが栗栖さんの考えです。

庭園を、自分や自然と対話する場所としてとらえるとは、私にとって新しい発想でした。

咲き始めたナツツバキ

また、園路の土には竹チップを混ぜ込んでいます。竹を混ぜ込むことで保湿性が上がり、高温対策になるんですって。この竹は、以前にnoteで紹介した淡河バンブープロジェクトの竹を使っているんですよ。

竹チップを混ぜ込んだ園路

神戸にもっと木陰を増やしたい!

ところで、「こうべ木陰プロジェクト」って聞いたことありませんか? 

ここ数年の夏の暑さは異常で、命の危険を感じるほどです。気温そのものもありますが、アスファルトへの照り返しが暑さを増していることは、みなさんもご存じだと思います。

そんな中、真夏の三宮では去年、こんな光景が見られました。

そう、樹木がつくる影の中に入ると、体感の暑さがちょっとだけ和らぎます。

そこで、もっと神戸の街なかにもっと樹木を植えて木陰を増やし、夏の異常な暑さをちょっとでもやわらげよう!というのが木陰プロジェクトです。

磯上公園の再整備にも、木陰プロジェクトを取り入れています。ヒーリングガーデンにはモミジ4本、体育館の西側にはケヤキ2本が六甲山から移植されました。

他にも、三宮の道路や交差点に樹木を植えたり、土壌改良をしたりするのですが、この木陰プロジェクトに必要な資金をクラウドファンディングで募集中です!

なぜクラファンなの? 市の予算でパパッとやればいいやん、と私は不思議に思ったのですが……。

実は本プロジェクトには、隠れた目的があります。それは「資源の循環」です。街路樹や公園の樹木の維持管理をすると、必ず伐採木が発生します。

それを、ランチプレートなどに加工した木製品をリターンとしてお渡しすることで資源を循環させられるし、クラファンの形にすることで「知ってもらえる」効果も高まると考えました。

また、花時計の存在もヒントになりました。日本で初めて1957(昭和32)年に設置された花時計は、当時の市民や企業の寄付によってできたものだったんです。

戦後10年ちょっとの時代から、すでにBE KOBE(神戸の魅力は人である)だったんですね。

そうした背景や歴史も踏まえてのプロジェクトなので、よかったら一度、プロジェクトページをご覧ください。

六甲山からやってきたモミジと竹の隙間からビルを望む

これから梅雨に入ると、ヒーリングガーデンの木々はいっそう瑞々しく枝を伸ばすでしょう。成長を見越して最初は少しスペースを空けた植栽になっているので、これから森がこんもりと盛り上がっていくのが楽しみです。

三宮にお越しの際にちょっと気が向いたら、磯上公園に立ち寄ってみてくださいね!

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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