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休み時間の長さも変えられる?! 神戸の小中学生が市長・教育長と対話

先日公開した、久元喜造市長と高校生が対話した記事は読んでもらえましたか?

神戸空港へのアクセス向上のために「三宮駅ではなく、高速神戸駅を起点にしては」という思い切ったアイデアに、市長も驚いていました。

夏休み後半は、久元市長と小学生&中学生との意見交換会を初めて開催。なんか、対象年齢がどんどん下がってますけど……?

高校生・大学生のフォーラムとはまた違った当日の雰囲気を、広報戦略部ライターのゴウがお伝えしますね!


「小中学生×市長」を開催したワケ

そもそも、なぜ市長は小中学生との意見交換会をすることにしたのでしょう? 大学生・高校生とやったから次は……みたいなノリ?

いえいえ、そうじゃないんです。

子どもが健やかに成長するには、外遊びって大事ですよね。ケガをすることで危険を察知できるようになったり、体幹が鍛えられたり。

でも時代や環境の変化もあり、子どもが外で遊ぶ機会は以前に比べて圧倒的に少なくなり、体力低下や姿勢の崩れなどが問題になっています。

そこで2023年度、「どうやって外遊びを安全にできる環境を整えるか?」をテーマに専門家たちが話し合いをしました(神戸の子ども居場所フォーラム)。

その中でまとめた神戸市への意見書に「子どもの意見を取り入れる」があったため、久元市長と福本教育長(教育委員会のトップ)が2人で、小学生・中学生と直接トークすることになったというワケです。

久元喜造市長と、福本靖教育長(右)

まずは小学生@こども本の森神戸

意見交換会は小学生(5・6年生)と中学生の部に分けられ、まずは8月19日に小学生とのトークがおこなわれました。

会場は「こども本の森神戸」の大階段でフランクに……という狙いだったんですが、実は開会前、みんなコチコチに緊張していたんです。

それをほぐしてくれたのが、子どもの遊び環境を研究する神戸女子大学教授の梶木典子先生。

じゃんけんで負けたら勝った子の後ろについて長いヘビ?になっていくゲームなど、体を動かすことで子どもたちの心をほぐしていきました。

取材に訪れたテレビ局のクルーにも声をかけて巻き込み、その「場づくり力」にさすが~!と唸らされました。

気持ちがほぐれたのかこの後、テレビクルーに「何チャン?何時から?」と聞いていました

今の子も、外で遊びたいんだ!

外遊びがテーマだったこともありますが、子どもたちからは

「スケボーができる公園が少ない」「近所の公園はサッカー禁止」「学校の休み時間に運動場で遊ぶとき、ドッジボールはOKだけどサッカーはだめと言われる」

など、ルールによって外遊びが制限されていることを訴える意見が多かったです。

スケボーに関しては、オリンピック効果も大きいんでしょうね。久元市長は

「注目されるようになったのが最近で、今は十分じゃありません。人気の一方で、スケボーの音をしんどいと感じる人もいます。できる場所を増やせば、許可されていない場所でスケボーがされる状況を避けることにもつながるので、必ずやります」

と約束しました。

公園に関しては、状況や環境が個別に違うので一概には言えないものの、「ボール遊び禁止」のように全面禁止の言い方ではなく、「キャッチボールならOK」など、できることを明示する方向にしていくとのこと。

そして市長は、公園で気になることがあったら「お父さんお母さんにお願いして、写真を撮ってLINEで送ってください」と伝えました。これはどういうことでしょう……?

神戸市には、道路や公園の「ここに穴が空いている」などの不具合を、市民のみなさんにLINEで教えていただくシステムがあるんです。

職員も頑張ってはいますが、広い市域の道路や公園の「すべてをリアルタイムで」把握するのは現実的ではありません。そこで、地域に住むみなさんに手伝っていただこう!というわけです。

まずLINEで「神戸市」を友達追加し、メインメニューの「公園/道路」を選びます。

次の画面の「不具合を投稿する」から報告していただけます。

もちろん、報告すれば必ずしもすぐ修理できるわけではありませんが、少なくとも市が把握して議論の対象に乗せることはできます。ぜひ、友達登録をしていただけるとうれしいです。

神戸市のLINE登録はこちらから

学校内でのルールについては、福本教育長から驚きの事実が知らされました。

「校庭でサッカー禁止」などのルールは教育委員会が一括で決めているのではなく、学校ごとに決めるそうなんです!

極端に言えば、休み時間の長さも学校の裁量で決められるということ(もちろん、長くすれば下校時間が遅くなりますが…)。

中学校の先生だった福本教育長が勤めていた学校では、月曜の朝に全校生が校庭に集まる朝会を廃止したそうで、子どもたちからは「ええな~」の声が。

そこで梶木先生はすかさず「学校の児童会で提案してみたらどうかな?変えられるかもしれないよ」と、声を上げる大切さを伝えます。

それにしても、スマホやゲームなどデジタルコンテンツが豊富な現代でも「外で遊びたいと思ってる子が多いんだ!」というのは意外でしたし、うれしい発見でした。

ほかにも、外遊びではないけれど「給食に揚げパンを導入してほしい(出てくる他都市では人気ランキング上位だそう)とか「学校の図書室で、本がどこにあるか検索できる機械を入れてほしい」などの意見がありました。

高学年とはいえ、子どもらしい雰囲気の会となりました。

出た意見の一覧。職員による板書、字がうますぎません…?(タップで拡大します)

中学生からはどんな意見が?

次は8月24日、中学生との意見交換会です。

テーマである「神戸で叶えたい将来の夢」の発表とともに、学校生活や神戸についての質問・要望を参加者に1人ずつ話してもらいました。

今回も進行は梶木先生です

■部活がなくなることにモヤモヤ

福本教育長も「聞かれると思った」と予測していたのは、中学校の部活。神戸市の中学校では2026年に、学校の部活動が校区を越えた地域のクラブ活動「KOBE◆KATSU」(コベカツ)に移行します。

▼詳しくはこちら

将来は小学校の先生になりたいと言うこちらの男子生徒は「部活がなくなるのは残念だ」とモヤモヤする気持ちを訴えました。

福本教育長は「私が学校の先生になったのは、部活の指導がやりたかったからなんです」と、バレーボール部の顧問時代を振り返りながら説明しました。

「だから部活から得られるものの良さをよくわかっているけれど、今の時代は、いろんなことをしたいと思う子どもが増えています。フェンシングやレスリングなど、オリンピックで日本が金メダルを取った種目も部活にはないでしょう?」

実は、この質問の前に「中間・期末のテストをなくして、自分のやりたいことを深める時間に使いたい」という意見もあったんですが、それとも通じますね。

また、教師は部活のために365日中、360日近くが仕事に占められていた教育長自身の経験も話して「時代に合わせたものに変える必要があるんです」と理解を求めました。

■不登校でも、心がしんどくても

不登校や、心がちょっとしんどい状態にあるときのことが議論に上がったのも、中学生ならではかもしれません。

こちらの女子生徒は「不登校を減らすんじゃなくて、不登校でもどんな状態にあっても、すべての子どもが安心できる環境をつくりたい」と発表してくれました。

「地域にある自習スペースや図書館、児童館も居場所になるかもしれませんね。勇気がいると思うけれど、一度足を運んで自分に合うかどうか試してみては」と久元市長が言うと、

現在、不登校状態にあるという別の生徒から「そういう選択肢があることを、もっとわかりやすく情報提供してほしい」という意見が出ました。

この意見は、とくに重く受け止めなければいけませんね。

将来の夢はバラエティ豊か!

参加した中学生は先日の小学生よりも2~3歳上なだけなのに、考え方や話し方がグッと大人に近づいていると感じました。将来の夢も、本当にバラエティ豊かだったんですよ!

医師になって遠隔医療に取り組みたい、神戸医療産業都市に見学に行ったという生徒や、海外の人と交流する機会があったので国際弁護士になりたいという生徒。

介護福祉士やホテルのコンシェルジュ、カメラマンという夢も。

これは私の個人的な思いですが、「将来の夢」って必ずしも職業じゃなくてもいいと思うんですよね。「こんな人間になりたい」とか「こんなふうに生きたい」とかも十分、将来の夢じゃないかなって。

だから、先ほどの「すべての子どもが安心できる環境をつくりたい」や、いろんな職業に興味があるけれど「人の笑顔が見られる仕事をしたい」という夢を語ってくれる生徒もいて、なんとなくうれしかったです。

小学生・中学生から、もっと言えば先日の高校生からも、神戸市に対していろんな意見がありました。

何かここから一つでも、実現や改善につながればいいなぁ。後から振り返って「未来につながる夏休みになったな」と、参加した子どもたちに思ってもらえますように。

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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