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神戸市長と話したい高校生、この指とーまれ!

久元喜造神戸市長が若者と語るシリーズ「高校生編」が、きょう3月29日に開催されました。

別に、最初からシリーズじゃなかったんですけどね(笑)。

昨夏に大学生との対話フォーラムをしたとき参加者から「留学生を交えた会も」という声があり、その後「高校生の意見も聞いてみたい」と久元市長が発案し、大学生、留学生、高校生、と自然に「シリーズ化」されたというわけです。

これまで、高校から求められて市長が講演に赴くことはありましたが、参加者を募集して対話フォーラムをするのは初めて。

県立・市立・私立・高専とわず、神戸市内のすべての高校と、市のネットモニターのうち高校生の方に参加者募集の案内をしました。

すると、定員に対して2倍近くの申し込みが!!

担当も「応募数が足りなくてプッシュしないといけないんじゃないかと予想してました」と、驚きを隠せない様子。

20校から集まった22人の高校生は、久元市長にどんな意見や要望をぶつけたのでしょうか?広報戦略部ライターのゴウがお伝えします。

(今回参加いただけなかった皆さんを対象に、4月以降に改めてフォーラムを開催する予定です)

水道局が販売する布引貯水池の「カウベ・ウオータア」が配られました

浮かび上がった5つのテーマ

神戸市から伝えたテーマは「高校生から見た『神戸のまちで感じること』」。この自由度の高いテーマを元に、高校生には事前に「まちの課題発見シート」を提出してもらいました。

たとえば、これはその一例です。

クリック(タップ)で拡大します

すごくないですか? 探究学習の成果でしょうか、今の高校生ってこんなふうに整理して考えるんですね!まるでビジネスみたいだ……。

この「課題発見シート」の内容から、①交通、②(まちの)リノベーション、③人口減少にともなう社会課題、④若者の居場所、⑤環境、の大きく5つのグループができました。

久元市長がやってくる前に、高校生はグループごとに自分たちのシートを見せ合いっこしてアイスブレイクです。

やっぱり地下鉄が気になる!

そんななか意見が多かったのが、多くの高校生が通学に使う市営地下鉄について。

「運賃が高いので値下げできないか」と、全国10カ所の地下鉄の初乗り運賃・15㎞運賃を調べてくれた生徒もいました。

課題発見シートから抜粋

この徹底した調べっぷりに、久元市長も驚き「ありがとうね、勉強になります」と感心していました。

でも、運賃を下げるわけにはいかないと久元市長は説明します。

理由の一つは、もともと神戸の地下鉄が、山を貫いて(人口の密集していない)郊外を走る存在であること。たくさんの人が利用する都心部のほうが、運賃は安くなりますよね。

もう一つの理由が、2001年に開通した海岸線です。

「1日に13万5000人が乗ったら黒字になると計画されたが、実際には4万人しか乗らなかった。正直、失敗したわけです。ただ、つくった以上は乗ってもらうように考えなくてはいけない。空気を運ぶなら、子どもに乗ってもらうほうが」

と、中学生以下の乗車を無料にしたことなどを話しました。

▼海岸線の中学生以下無料フリーパスについてはこちら

そのとき、ある高校生から「思い切って、海岸線を廃止するお考えは……?」という意見が。会場も「おおっ」とざわつきました。

それに対し「実は、真剣に考えたこともあるんです」と久元市長。

けれども廃止するには、いま海岸線を通勤に使っている、和田岬で働く人たちの足を代替するバスを大量に導入しなくてはいけません。

それを考えると、廃止よりも「いかにして利用してもらうか」に注力することにしたとの経緯を聞き、高校生たちも頷いていました。

また一方で、北神急行を市営化して三宮〜谷上の料金を550円から280円に下げたことにも言及しました。

広報が下手、と言われました

また、私たちの耳が痛くなるこんな意見も。

「子育て施策は神戸市より明石市のほうが充実していると思っていたが、調べると児童館の数や待機児童数がゼロであることなど、神戸市も充実していることがわかった。にもかかわらず神戸で生み育てないで外に流出するのは、広報に原因があるのではないか」

グサッ。返す言葉もありません……。

ほか、「三宮や元町には高校生が遊べる場が少なく、施設に入場するのも高価。のびのびパスポートを高校生まで拡大できないか」という意見に、市長は「ちょっと……考えさせてください」と答えると同時に

「神戸市立博物館や(六甲アイランドの)ファッション美術館、横尾忠則現代美術館などは、企画展も含めて高校生以下は無料ですよ。知ってました?」と尋ねます。

高校生はみんな「初めて聞いた」という顔。久元市長に「PR不足、広報が下手やね」と、みなさんの前でチクリと言われてしまいました。

このnoteも「神戸のことをもっと知ってもらいたい!」と思って始めた活動ですが、こちらがいくら頑張っても、伝わらなかったら意味がありませんね。

何かいい案があれば、コメントでぜひ教えてください!

大人の私が泣きそう

ほかに、こんな意見もありました。

「山間部など交通が不便な場所に住む高齢者が孤立しないよう、地元高校生が一緒にスマホを使う活動をしては。相手が大人だと嫌がる人もいるが、孫世代の高校生なら。『教える』ではなく『一緒に使う』ことで互いの壁がなくなる」

(*大学生によるスマホ教室は実施しています)

「中学生のとき、担任の先生を見ていて仕事量が多すぎると思った。プリント印刷など事務的な作業は、他の人にやってもらってもいいのでは。そうした人材には定年後のOBや教育実習生を登用しては」

まだ若いのに、大人たちのことをこんなに考えてくれてるの!!と、私は涙がちょちょぎれそうでした。

終了後、何人かに感想を聞いてみると、「他の参加者が、自分では思いつかないようなことを考えていて発見になった」という声が一番多かったです。

久元市長を近くで見てイメージとギャップはあったか聞くと、顔と名前を知っている程度で、そもそも市長のイメージがあまりなかったそう。

大学生以上だと「堅いイメージだったけど、意外とフランクだった」という意見が定番なのですが(笑)、そこは高校生だなぁと微笑ましく感じました。

さて、週明けからは新年度です。
2023年度も神戸市公式noteを読んでくださって、ありがとうございました!

4月からも引き続き、神戸のいろんな話題をお届けしていきますので、よろしくお願いします。

〈この記事を書いた人〉
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。旅とバーとパンダが好き。

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