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神戸空港に市営地下鉄を延伸?! 高速神戸駅が鍵 高校生が市長に提案

ことしの3月末、神戸市内の高校生と久元喜造市長の対話フォーラムがあったのを覚えていますか?

高校生から「地下鉄海岸線を廃止するお考えは……?」と思い切った意見が出るなど、かなり議論が白熱した会になりました。

実はこのとき定員に対して2倍近い応募があったため、参加できない高校生もたくさんいたのです。そこで、前回参加できなかったみなさんに声をかけ、第2回フォーラムを8月7日に開催しました。

さて、今回はどんな鋭い意見が出たんでしょうか? 広報戦略部ライターのゴウがレポートします。


市長の前でしゃべるの、緊張したー!

今回も市長がやってくる前に、それぞれが考えてきた神戸の課題を見せ合いっこ。みなさんの緊張をほぐすことと、プレゼンテーションの予行演習も兼ねています。

予行演習は和気あいあいリラックスでしたが、実際に市長の前で話すときは「緊張したー!」という参加者も。そりゃあ、市長とこんな距離だと緊張しますよねぇ。

人口が減るのは悪いこと?

人口減少を神戸の課題に挙げてくれた人もいました。神戸はもともと坂が多くて「すごく便利」というわけでもないので、もっと「ザ・神戸!」という特化したものを押し出さないと、人口が増えないという意見です。

久元市長はその意見をうなずきながら聞いた後で、「人口が減るのは悪いことですか?」と問いかけます。

すると、高校生たちが「ハッ」として空気が変わったのが伝わってきました。

さらに市長が「みなさんが日常生活をしていて、人口が減って、自分自身が困ったと感じることはありますか?」と具体的に聞くと

「150万人が130万人に減れば、150万人を前提に運営されていたサービスに手が回らないものが出てきて、北区や西区など郊外に住む人ほど、住み心地の良さが損なわれるのではないか」という意見の一方で

「医療の圧迫が軽減されるから、その面ではプラスかもしれない」という意見も出ました。

たしかに日々呪文のように「人口減少が問題」と報じられると、それが当たり前のように感じますよね。高校生にとって「当たり前を疑ってみる」という本質に気づく時間になったかも?

「組体操やりたかった」

おなじ人口減少の文脈で「子どもに対するサービスを手厚くする」との意見が出たので、

「みなさん自身は、どんなことをやってほしかったですか?」と、少し前まで子どもだった高校生に投げかけた市長。

「運動会や公園のボール遊びなど、『危ないから』と大人の判断だけで決めないでほしい」と意見したのは、こちらの男子生徒。

何のことかな?と思って聞いていると「組体操……やりたかった。先輩たちを見て『自分たちも』と楽しみにしていたのに」とのこと。

神戸市は2020年度から、小中学校の運動会(体育大会)での組体操を禁止しています。骨折などケガの事例が後を絶たなかったためです。

久元市長は「ごめんね。私はやめたほうがいいと考える立場だったんです。でも、必ず教育長に伝えます」と、“元子ども”の生の声を聞いて、感じるところがあったようでした。

こういう場面を見ると、対話フォーラムって貴重だ……と思わされます。

高速神戸駅を鉄道結節点に?

神戸空港へのアクセス向上(≒ポートライナーの渋滞緩和)も、神戸市の課題としては「定番」です。

この議論になると、課題解消案として「ポートライナーを新神戸まで延伸する」という案が出ることが多いですし、すでにラッシュ時にはポートライナーと並行した路線でバス運行をしています。

しかし今回、今までとまったく切り口の違うアイデアが飛び出しました。それは……

神戸市の交通ターミナルを、三宮ではなく高速神戸駅(神戸駅界隈)にする!

事前に提出された課題発見シート(タップで拡大します)
  • 神戸空港の利用客が増えていて、2030年の国際線化でもっと増えることが予想される

  • しかしポートライナーの輸送力は小さい。1両の定員が約50人(地下鉄西神山手線は1両約140人)

  • 高速神戸駅は阪急・阪神・山陽と各私鉄が乗り入れているため、地下鉄西神・山手線を高速神戸まで延伸し、和田岬を経由して神戸空港への路線を作れば、三宮の混雑を緩和できる

この斬新なアイデアに、久元市長は「三宮じゃなく、高速神戸を起点にするという考え方は非常におもしろい。将来的に『もう1本滑走路を』などという話になれば、あり得ない話ではない」と驚いていました。

それこそ「神戸の交通ターミナルは三宮」という“当たり前”を疑ってこそ生まれる案ですよね。

この案を出してくれたのは、この2人。電車や乗り物が好きなのだそうです。

よく見れば……右側の彼が着ているのは、地下鉄海岸線のTシャツじゃないですか! いやぁ、本当に好きなんですね^^

今回も、さまざまな意見が出た高校生と久元市長の対話フォーラム。時々こちらがドキッとするような意見が出るのが、予定調和なしでおもしろいところです。

暑いなか参加してくれた高校生のみなさん、ありがとうございました!

久元市長はこの夏休みの間に、小学生・中学生との対話フォーラムも予定しています。

高校生・大学生とはまた違った意見やアイデアが飛び出すのでしょうか? そちらもまたレポートしますのでお楽しみに!

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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