見出し画像

獲得標高で富士山を超える六甲全山!「神戸登山プロジェクト」始動

毎日の暮らしの中で、どんな「時(とき)」がお気に入りですか?

友達と会っておいしいものを食べたり、
好きな音楽を部屋に流して本を読んだり、…。

それぞれの「お気に入り」があることでしょう。私が好きなのは、「自然のなかに身をおく時」です。たとえば、

冬、頬に冷たい風を感じながら白い息を吐き、やっとたどり着いた山頂。
バーナーの火で沸かした、淹れたてのコーヒーが、体の芯を温かく解いていく時。

日常のあれこれを下界において、杉木立のなか清々しい空気で胸を満たす。
頭は空っぽ、全身がリセットされる時。



アイゼンを履いて山深くに分け入る。
みごとな氷瀑、自然の造形に心を奪われる時。

どこでそんな「時」を私は、手に入れていると思いますか?
自宅の玄関を出てたった20分、
もう登山道に足を踏み入れています。

といっても山奥で暮らしているわけではないですよ。住んでいるのは神戸の市街地。じつは神戸の街は、「登山」と切っても切れないかかわりがあるのです。

超絶過酷?!な「六甲全山縦走大会」

神戸で登山を楽しむ風物詩に、大正時代に起源があり1975年から続いている「六甲全山縦走大会」という、全長56キロメートルを1日で歩く(タイトルは「走って」ますが)イベントがあります。

個人的には、なかなか酔狂で過酷なイベントだと思っています。

だって、この56キロメートルというのは、海抜ほぼゼロメートルから六甲山最高峰の931メートルまでの標高差があり、それもひと山で終わりではないのです。六甲山系の山々を一つひとつ、登っては下りて、下りては登って、越えていくわけですから。

その登った高さを累計した獲得標高は、なんと3000メートル超え。ちなみにこれ、富士山の登山ルートで最も標高差のあるのは2250メートルなので、それを大きく上回ります。

これに挑むのは、神戸に住んでいる人だけでなく、日本中から登山歴〇十年のベテランから初心者まで、本当に幅広い人たちが集まってくる1日なのです。

近代登山発祥の地、そして「毎日登山」へ

神戸には明治時代から「毎日登山」という習慣を楽しんでいる人たちがいます。山の麓に住む人が、それぞれの近くの山筋にそって山を登っていく、それも早朝に楽しむというスタイルです。

これを生んだのは、神戸が日本における近代登山の発祥の地だからだといわれています。今から100年以上前、六甲の山々に注目したのは、明治の開港のあとで外国人特権が認められた居留地で働く、欧米から移り住んだビジネスマンたち。彼らが、こぞってレジャーとしての登山を楽しみました。

おそらく日本人にとって、山に入るのは、寺社詣や生活のため。ところが、その頃の外国人たちの多くは、夜明け前に山を歩いたあと、家で朝食を済ませ、それから出勤していたとか。それを新しいもの好きな神戸の人たちが、見よう見まねでやってみたのが「毎日登山」の始まりだったといわれています。

神戸登山プロジェクトとは?

そんな先人たちの思いを胸に、「神戸登山プロジェクト」を始めることにしました。六甲山地は、六甲山・摩耶山から須磨の旗振山まで続く六甲山系だけでなく、北には前人未踏に近い帝釈・丹生(たいしゃく・たんじょう)山系、その西には小ぶりながらも雌岡(めっこう)山・雄岡(おっこう)山という大自然です。それを今の時代にあわせて見つめ直したいのです。

そこで、全国の人たちが神戸に来る玄関口であり、六甲山への登山口でもある新幹線の「新神戸駅」に登山を楽しむ人向けの拠点を開設します。

新神戸駅から歩いて15分の「布引の滝」

さらに、安全で安心して山歩きを楽しめるように、登山道の整備をよりスピーディーに行う仕組みをつくったり、市街地と山の近さが活かして、登山客におもてなしを感じられる雰囲気をつくったり、

あえて倒木がそのまま、自然の驚異を感じる

これまで山を楽しんできた人には、さらなる楽しみを。

はじめて神戸の山に触れる人には、新鮮さと感動を。

神戸の登山の魅力をもっともっと発見して、お届けできるよう全力でやっていきます。

神戸の山でお待ちしています。山にでかけませんか?

<この記事を書いた人>
林 順子/経済観光局観光企画課
神戸市役所で働く前は旅行会社で勤務していた。これまでにスタートアップの支援などIT系の仕事をしたことがあるが、もともと登山や山歩きがスキ。そんな彼女が神がかり的な引きの強さで今回のプロジェクトの担当に。じつは登山以外に釣りが趣味だという。ただ、神戸釣りプロジェクトの予定はない。

<関連記事>