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摩耶山は六甲山の一部なのか? 二番手の秘めたる魅力

六甲山とは、神戸の市街地のすぐ北側にある東西につらなる山々のことをいいます。最高峰は標高931メートル。そこから西に摩耶山、再度山があって、一番端は須磨にある旗振山でその先は瀬戸内海になります。東西に約30キロメートルも山々が続いているのです。

そして、これら六甲山系の山々をひとまとめにして「六甲山」と呼ぶのが一般的です。

標高931メートルのところにある標柱に「六甲山頂」でなく「六甲山最高峰」と書かれているのは、六甲山にはほかにも山頂があることを暗に示しているのではないでしょうか。

六甲山の語源をしらべてみると、大阪から見て「むこう」にあることから「むこうやま」、それが六甲山になったという説が有力です。であれば、横に長い六甲山系を指していることに納得できます。

ところが、灘区役所に勤務することになった私は、あることを発見しました!

それは、灘区に住んでいる人が、六甲山と摩耶山(標高702メートル)を明確に区別していることです。摩耶山は六甲山系で2番目の高さ。摩耶山頂は灘区にあり、住民がいつも目にする山なのです。

おもしろい話があります。摩耶山の山頂の近くに夜景スポットで知られる掬星台(きくせいだい)があります。灘区の住民は「六甲山の掬星台に夜景を見に行く」という言い方にとても違和感を持つのです。

「摩耶山の掬星台だろ」と。

逆にいうと、身近に山を感じているからこそ、こんなふうに区別しているのかもしれません。そんな灘区の人たちが愛する摩耶山のことを、六甲山と較べながらお伝えします。

六甲山ってこんなところ

最近になって六甲山には、絶景や料理でインスタ映え投稿をねらったカップル、野外遊びを楽しもうとする若者たち、さらに親子づれが目立つようになりました。

六甲山ガーデンテラス

それもそのはず、最高峰の近くに大阪湾を一望できる「六甲ガーデンテラス」があり、英国調の建物が立ち並んでいて、セレクトショップでは雑貨や輸入食品を買ったり、カフェでランチを楽しんだりできます。

ROKKO森の音(ね)ミュージアム

その近くにある六甲オルゴールミュージアムが2021年にリニューアル。オルゴールの展示だけでなく、演奏会が1時間ごとにあります(10時から16時まで、各回30分、2023年3月17日まで)。

摩耶山ってこんなところ

そんな六甲山エリアを「動」とするのなら、摩耶山は「静」のエリアと言えるのではないでしょうか。ゆっくりと静かに過ごしたい人にちょうどよいです。

日本三大夜景の掬星台

まずおすすめは、夜景スポットの「掬星台(きくせいだい)」。難しい字ですが、手をのばすと夜景の光を星にして掬(すく)えそうという意味なのです。函館、長崎とならぶ日本三大夜景はこの「掬星台」からのもの。私もここからの夜景が一番だと思っています。

観光茶園「静香園」

摩耶山の山麓にこだわりの日本茶を育てている観光茶園「静香園(しずかえん)」があります。神戸とは思えない雰囲気です。広がる茶畑を目の前に新鮮なお茶とお饅頭に舌鼓を打つことができます。

摩耶山天上寺

山頂近くにあるのは自然にかこまれた「摩耶山天上寺(てんじょうじ)」。お釈迦さんの母、摩耶夫人を本尊とする日本で唯一のお寺です。摩耶夫人は摩耶山の名前の由来にもなっています。先祖や故人、世話になった大切な物に想いを馳せることができるおごそかなところです。

次世代モビリティを導入

こんなに違う二つのエリアならどちらも楽しみたいですね。六甲山側には「六甲山上バス」、摩耶山側には「六甲摩耶スカイシャトルバス」が運行され、それぞれのエリアのなかを周遊しています。ですが、一部の便では、乗り継ぎのタイミングがあまり良くない場合があるので、車で行く人も多いです。でもバーベキューを食べてもお酒が飲めません。悲しすぎます。

そこで神戸市は2022年11月に交通実験を行いました。時速15キロメートルと自転車ほどのスピードで動く小型電動車を摩耶山エリアで運行。また、レンタサイクルの貸出し自転車を10台から20台に増やすとともに貸出・返却できる場所を2か所にしました。
摩耶山側の「六甲摩耶スカイシャトルバス」も増便して、六甲山と摩耶山エリア間の乗継ぎを考えたダイヤ改正を実現しました。

掬星台と六甲山牧場を結ぶグリーンスローモビリティ

六甲山なのに六甲山でない、灘区の人たちがそう感じる「摩耶山」の魅力をお伝えしました。今はまだ寒いですが、暖かくなったら行ってみようと思って頂けると、うれしいです!

<この記事を書いた人>
しゅげんくんのファン/灘区役所
大学生のときに山の日(8月11日)が祝日に制定された。それをきっかけに毎年この日に山登りをしようと決意。だが、虫が大の苦手で登山を断念。蜂から逃れようと攻撃されやすい黒いリュックサックを投げ捨てたことも。
灘区役所に配属されてから六甲の山々を毎日のように眺めているうちに、今回の記事を書こうと決断した模様。

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