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神戸の夜をなんとかしたい! 事業者たちがつながり始めた

10月23日 水曜日、夜7時。

日暮れとともに、わらわらと集まり始めた人、人、人!
いつのまにやら行列ができ、会場となったライブハウスは、あっというまに人だらけ。

ステージでは森山未來さんを迎えてゲストトークも! 
ライブハウスでトークって? わらわら集まった人たちはいったい何者?

実はこれ、「神戸の夜をおもしろくしたい人たち」によるムーブメントなんです!

神戸の夜って、いろんな楽しみ方がありますよね。クラブやバー、ジャズライブハウス、イルミネーションなど……。

そんな夜の神戸で営む人、魅せる人、遊ぶ人、企画する人がつながりあって、おもしろいこと考えようとしているんです。


なぜナイトタイムエコノミーを推進するの?

「夜のまちをもっと楽しもう!そして経済を元気にしよう!」というムーブメントは、ナイトタイムエコノミーと呼ばれます。

2023年、観光で神戸を訪れた人は2,645万人。たくさん来てくださって感謝です。

ただ、そのうち宿泊されたのは16%。裏返せば、その日のうちに帰ってしまう観光客がほとんどというわけです。

ずいぶん前から同じ傾向で、神戸の夜の課題にもなっています。

なぜ泊まってもらえないことが課題なのかというと、宿泊をすることで、観光客が使うお金が5倍になるからです。

日帰り観光客の消費平均額が約9000円なのに対し、宿泊客の平均は約4万7000円。そんなに開きがあると知って、驚いた方も多いのではないでしょうか。

つまり、ながーく神戸で遊んでくれて、できればいっそ泊まってくれたなら、まちはもっともっと潤うということなんです。

一方で、観光客の立場からすれば「神戸の夜は、早く閉まってしまう場所が多いから」といった声も。

お店が開いてないと居場所がありませんし、居場所がなければ「神戸に来ても泊まりは大阪で」と考えるのも当然かもしれません。

そこで、これらを何とかしようと、神戸の「夜のまち」の人たちが立ち上がったのです。

これがKOBE Night Out Citizens Conference、冒頭の「人がわらわら」の正体というわけです。

実はこれ、昨年(2023年)12月に神戸市が開催した「ナイトタイムエコノミーフォーラム」がきっかけになって生まれたムーブメントなんです。

フォーラムで知り合った事業者のみなさんが意気投合して「今回で終わらせずに、みんなで何かしよう!」と動き始めたことは、担当冥利に尽きます(涙)!

▼昨年12月のフォーラムの様子

夜の神戸で、点と点がつながりはじめた

主催するNight Culture KOBE推進協議会は、ナイトエコノミーをさらに読み解き、「エコノミー(経済的価値)も大切だけど、文化的価値や社会的価値もあわせて考えることが必要では?」と強調します。

クラブやバー、ジャズライブハウス、イルミネーションはもちろん。ホテルやゲストハウス、さらにはふらっと街を歩いて感じる神戸らしさも含めて「ナイトカルチャー」と考えます。

そのナイトカルチャーを柱に、市民どうしの対話の場として立ち上がったのが、このカンファレンスだそうです。

初開催となった5月の会には、企画からたった3週間で200人もの人が集まりました。その中には「夜のまち」のプレイヤーではない、一般の人たちも。

そう。ナイトカルチャーって、多くの人にとって関心の高いテーマなんです。

そして2回目となったこの日も、たくさんの夜遊び上手が集結!
みなさんお酒片手に会話が弾み、「はじめまして」と「久しぶり」があちらこちらで聞こえました。

冒頭には、主催であるNight Culture KOBE推進協議会 ダイゴロウ氏から団体の成り立ちやカンファレンスの趣旨を、神戸市からナイトタイムエコノミーの取り組みを説明。

少し堅い話でもみなさん、しっかり耳を傾け聞いてくださいます。「夜のまちをよくしたい」、その本気さが伝わってきました。

次は、神戸出身の森山未來さんと、アーティストの山田悠さんによるゲストトーク。

森山未來さん
「神戸には何度も来ているが、しばらく東京や世界を拠点にした後、初めて訪れたときが一番刺激的だった」

「海で生きる人、山の人、新長田と北野の人。それぞれの場所で文化が立ち上がっているので、神戸のカルチャーとしてまとめて言えない」

「神戸はいろいろなカルチャーが混在している場所。いろんなエネルギーがいろんなところで渦巻く。そういう魅力がナイトカルチャーに繋がっていく」

そのあとはジャンルもバラバラな、夜のまちのプレイヤーたちによる座談会やプレゼンタイムへと続いていきます。

家弓(かゆみ)さん/イベント企画、バー経営
「個々にやっていることは素晴らしいけど、広報不足。これらをまとめてくれるサイトがあると有難いですね」

高橋裕子さん/イベント企画
「神戸で一晩中いろんな街角でいろんな音楽が流れている、ブロックパーティーのようなものを開催しては? そうなれば飲食店も、売り上げが変わるかもしれない」

また、会場からは
「出張で神戸にくるけど、どこにいっていいか分からない」といった声も。

対して、楢崎さん/座談会のモデレーター
「情報誌やWEBなど、実はたくさん情報があるけれど、その情報をどう発信するかが課題ですね。今後、みなさんで考えていきましょう!」

全てのプレゼンが終わったあとには交流会。登壇者と話せる場もでき、つながりが生まれていきます。

交流会の途中にはブレイクダンスショーもあり、盛り上がりは深夜遅くまで続きました。

集まれば、きっとおもしろいものが生まれる

神戸の夜のまちには、楽しいこと、美味しいものがたくさん詰まっていますよね。

これまでは、それぞれの主役が個性を生かしながら、それぞれの場所で夜の楽しみを生み出してきました。

そんな彼らが、一堂に集まって会話をしはじめたこと。つながって動こうとしていること。それも200人!すごいことです。

まだ動き始めたばかりで、ざわざわしていて形もないけれど。「集まって動き始めたこと」そのものが、大きな価値だと感じています。

ここが神戸の夜のまちを変えていくスタートなんだと思うと、わくわくしませんか。私も神戸市の職員として、この動きをバックアップできると思うと楽しみです。

未来の神戸の夜、夜なのに、なんて明るい!

このムーブメントは途絶えることなく、2025年1月26日の3回目へと向かいます。次回はお昼からの開催を予定。

夜のまちのプレイヤーではない一般のみなさんにも、消費者・アドバイザーとしてこのムーブメントに加わっていただきたいんです。

ご興味のある方は Night Culture KOBE推進協議会のInstagramをフォローして、これからの動きをチェックしてくださいね!

<この記事を書いた人>
ないたん/経済観光局観光企画課
食品会社から転職し、あれから幾年月経っただろうか。前職の影響から、食品スーパーを巡り回るスーパーオタクは今も健在。新しい商品と目が合えばついつい手がのびる日々を過ごす。夜遊びは得意ではなかったけれど、この仕事を機に触れた夜の神戸は、なかなか奥深く、目を回しながらも人生の肥やしになればとナイトライフを楽しみ始めている。

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