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50歳になった神戸市北区、これからどこへ向かう?

神戸市の9つの区のうち、最も面積が大きいのは?

……「北区」ですよね。このnoteを読んでくださっているみなさんとっては、至極当然のことだと思います。

その北区が、今年度(2023年度)で50歳を迎えたんですって!

わたくし広報戦略部ライターのゴウは、西区民。
よく都会の神戸っ子に「北区と西区は神戸じゃない」なんてネタにされてしまう当事者として、北区には大きな親近感を抱いています(笑)。

にもかかわらず、あんまり行かないから北区をよく知らない……というのが正直なところ。

きょう2月24日に開催された北区制50周年記念「北区の未来を語るつどい」にきっかけに、北区のことをいろいろ調べてみました。


実は「元兵庫区」だった

北区が誕生したのは1973(昭和48)年の8月1日。兵庫区から分区する形で今の北区になりました。

ちょっと待って。北区って今でも市の面積の44%を占めるのに、それまでの兵庫区はめちゃくちゃ大きかったってこと?

そうなんです。
去年9月の「兵庫運河祭」の記事で、今年度は兵庫区も区制90周年だとお伝えしました。

その記事に貼った、兵庫区の区域変遷の画像を見てください。

右から2つめの赤枠で囲んだ時代が、北区を分離する前の兵庫区。他の区と比べてべらぼうに大きかったのですね!

北区成立時に約11万人だった人口は現在、20万人超となっています。

北区の地理感を体にたたきこむ!

北区というと、地名や施設名など、いくつかのキーワードが思いつきます。

鈴蘭台、谷上、有馬温泉、しあわせの村、神戸三田アウトレット、二郎いちご、淡河のユリやチューリップ、つくはら湖のBE KOBE……。

でもその1つ1つが、頭の中でつながっていないんです。この記事を書くために北区出身の職員に話を聞いても、「?」となることがありました。

たとえば「箕谷(みのたに)」という地名が出てきて、谷上と箕谷はどっちが三宮に近いんだっけ?みたいな感じです。

そこで、北区をしっかり頭に叩き込もうと思った私は、北区制50周年特設サイトに載っていた地図を印刷し……

〈ビフォー〉

こんな感じで手書きで、主な地名や施設名、神戸電鉄の路線を加えてみました!

〈アフター〉手書きなので厳密さはご容赦くださいね

どうですか、このスーパーアナログな感じ(笑)!

「ああ、神鉄はここで分岐してるんだ」「しあわせの村って北区ではかなり南側なんや」など、可視化したことで急に解像度が上がった気がしました。

地図の「北区役所」「北神区役所」という文字に、「なんで区役所が2つあるの?」と不思議に思った方もいるかもしれません。普通、1つの区に区役所は1つですよね。

住民票を取るくらいなら各地区の出張所でできますが(マイナンバーカードがあればコンビニでも取れます)、区役所に行かないとできない手続きもあります。

でも北区はめちゃくちゃ広いので、北神地区(おおむね大池より北東部)に住んでいる人が、南部である鈴蘭台の区役所に行くのは大変です。

そこで2019年、区役所と同じ機能を備えた神戸で10個めの「北神区役所」が、岡場に誕生したのです。図書館や「こべっこあそびひろば」もありますよ!

北神区役所は、神鉄岡場駅の目の前

北区で「住む・働く」ってじっさいどぉなん?

北区になじみの薄い私にとって、北区のイメージを聞かれれば「寒い、自然豊か、農業がさかん、交通がちょっと不便そう」という感じ。似たような方も多いのではないでしょうか。

実際に北区に住んで(働いて)いる人は、どう思っているのでしょう?

北区への移住を考えている人向けに「ゆったり北神戸ぐらし」というサイトがあるのですが、その中で「移住者の声」が紹介されています。

初めは北区を考えていなかった人が不動産屋さんに紹介され、安い家賃で広い家に住めたとか、1クラスの人数が少ないから伸び伸び子育てできるなどメリットはもちろん、「不便を不便と感じる人には不向きかも」と、けっこう正直な声を知ることができます。

ちなみに、私の周りの〈北区出身の職員〉と〈北区で働く職員(出身・在住ではない)〉に魅力を聞いたところ、

  • 遠足で歩いて森林植物園に行くなど、学校教育の中に自然や六甲山が取り入れられている

  • おしゃれなカフェが多い

  • 若い人の流出を食い止めるために頑張っている人が多い

  • 田舎暮らしを考える人にとって、田舎すぎなくて移住ハードルが低い

などが挙がりました。

新しい動きの兆し「きたくろす」

北区は50周年のお祝いイヤーということで、去年の3月から約1年をかけ、さまざまな記念事業を重ねてきました。

きょう2月24日の北区制50周年記念「北区の未来を語るつどい」は、その1年を閉めくくるフィナーレ。

久元喜造市長は冒頭のあいさつで、有馬街道の渋滞や高校生の通学定期券の補助、神戸電鉄の駅前整備など具体的な課題にふれ、さらに住みやすい北区づくりをめざすと話しました。

第2部は「地域・人・未来」をテーマにしたトークセッション。北区内でさまざまな活動をする以下のみなさんが登壇。

◎有馬町の自治会 吉田佳展さん
◎大沢町に移住し農業を営む 石田綾子さん
◎農村歌舞伎の保存会 中西宏さん
◎地域密着のカフェを営む 島田香里さん(当日欠席、メッセージのみ)
◎神戸デザインセンター代表で西鈴蘭台在住 舟橋健雄さん
◎地域活動や里山保全に取り組む社会学者 松村淳さん(司会)

みなさんの活動紹介とともに、「有馬温泉は観光の賑わいは戻ってきたけれど、有馬に“住む”人が減っている。有馬小学校の全校生徒は19人」「歌舞伎の会を催しても、意外に地元住民が冷めていて巻き込むのが難しい」など、地域の課題も聞かれました。

そんな中、私がとくに興味深いなと思ったのが、舟橋さんが中心になった取り組み「きたくろす」です。

西鈴蘭台に住む舟橋さん自身、北区の他のエリアでどんな人がどんな活動をしているのか、ほとんど知らなかったんだそうです。そしてそれは、他のみなさんも同じでした。やっぱり広いからなぁ……。

そこで、“北区な人々”をクロスさせるトーク「きたくろす」と題し、1年間で50人(50周年なので)がつながることを目指して、これまでに9回開催してきました。

「きたくろす」の様子(北区制50周年特設サイトより)

ぶっちゃけてしまえば、この「きたくろす」は50周年事業の一環です。でも私がいいなと思ったのは、「何か周年事業をせなあかんから」とアリバイ的にやっているのではなく、みなさんの本気が伝わってくるところです。

下のリンクに第1~9回までの開催報告があるんですが、3回目くらいからレポートがどんどん詳しくなっていて、参加者の思いや危機感がビシバシ響きます。

しかもこのレポート、私のようなライターに頼んだんじゃなくて区役所の職員ががんばって書いたとのこと!ここまで詳しいレポート書くの、めっちゃ時間かかるんですよ~。

回を重ねるごとに、地域で活動するみなさんの意識が、自分のエリアの外に広がってきたことが感じられます。レポートを書いた職員も

「地域で活動する人が、こんなにたくさんいるのかと知った。このまま終わるのはもったいない。今回つながった人たちで何か次の動きを模索し、これを機に始まった事業が10年後も続いていれば」と鼻息を荒くしていました。

そして3月28日には「きたくろす」の第10回を開催します!“北区な人々”が、ようやく累計50人に達するフィナーレです。

なんとこの「きたくろす」、来年度も民間主導で続けられることになりました!

そこで第10回の後半では、「きたくろす」を来年度以降どのように継続するかを、来場者もまじえたワークショップで話し合います。

参加無料ですが申し込みが必要なので、ちょっと気になった方は以下のリンクを見てみてくださいね。

自分の地域をもっと知りたいな

今回、北区のことをいろいろ調べて、私は自分の住む地域のこと、本当の近所以外はほとんど知らないなと痛感しました。何かあるとすぐ三宮に出てきちゃうし……。

別に、同じ区だから、同じ町だからといって一致団結しなきゃ!というわけじゃないんですけど、せめてもうちょっと「知る」くらいはしてもいいんじゃない? なんて思ったり。

みなさんはどうですか?

*バナー写真=50周年企画で、北区在住のアーティスト黒木拓実さんと北区のみなさんで1年かけて完成させた長さ50メートルの龍の絵(のごく一部)

〈この記事を書いた人〉
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。
旅とバーとパンダが好き。

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