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【関学とのシンポジウム】SDGsをする人自身の“持続可能性”は大丈夫?

今の若い人って、ほんまにしっかりしてるなぁ〜。

今日の取材を終えた、広報戦略部ライター・ゴウの感想です。2月26日、神戸市×関西学院大学SDGs連携シンポジウムが開催されました。

神戸市をフィールドにSDGsに取り組む関西学院大学(以下:関学)の大学生が、日ごろの活動報告と、活動で感じたことから政策提言をしてくれました。この提言がかなり、的を射ているんです。

なんて優秀な。私が大学生のときは、もっとボーッとしてたよなぁ~。と感心しましたが、やはり学生ならではの悩みもあるようで……。

神戸市と関学がSDGsで連携するワケ

本シンポジウムの開催は、神戸でSDGsに取り組む学生団体Re.colab KOBE(リコラボコウベ)の存在がきっかけになっています。

リコラボは関学の学生を中心に結成され、
・北区での里山保全活動
・里海の再生(ブルーカーボンの取り組み)
などをおこなう団体です。

*ブルーカーボン……海藻などの海洋生態系に取り込まれた炭素のこと。リコラボの取り組みはこちら

このリコラボを指導するのが関学社会学部の准教授・松村淳さんであることから、学内の他団体にも声をかけ、SDGsに関心を持つ一般の人にも知ってもらおう!と実現しました。

先日、神戸市が大学の若手研究者に投資する「大学発アーバンイノベーション神戸」を紹介しました。

松村さんの研究「里山保全に資するエコ・ボランティアの組織化」が2021年度に採択されたことが、リコラボの本格始動につながっています。

神戸市も「こうべ再生リン」や「水素エネルギー」などSDGsに取り組んでいますから、地域の大学と連携できると心強いですね。

シンポジウムの冒頭、久元喜造市長は「神戸は持続可能性を確保し、新しい取り組みを進めるまちでありたい。SDGsはとても幅広い概念ですが、どんなことができるのかを発表・議論し合うのが楽しみ」とあいさつしました。

SDGsに取り組むサークルが学内にいくつも!

関学には「SDGs推進本部」があり、学内でSDGsに取り組む団体の交流会をしたところ、7団体も集まったそうです!いやはや、時代ですね。

その中で、今回登壇したのは3つの団体です。

KAKEHASHI(かけはし)

「SDGsを自分ごとに」をモットーに、ロスフラワー展(廃棄される花について知ってもらう取り組み)や須磨海岸のビーチクリーンなどに取り組んでいます。

KAKEHASHIの古結悠さん

「参加してくれるのはいつも同じ人ばかり」と課題を感じたため、たくさんの人を巻き込むための「神戸SDGsツアー」を提案しました。楽しいイベントに参加したら、いつのまにかSDGsアクションになっていた!という狙いです。

neumond(ノイモンド)

去年の秋に立ち上がったばかりの、食品ロス削減に取り組む団体です。

売れ残って廃棄されるパンや焼き菓子を複数店舗から回収し、詰め合わせにして販売することで

・お店のイメージダウンにつながりにくい
・知らなかったお店に出会う楽しみ
と、店・消費者がwin-winになる仕組み「あすぱん」を考えました。

neumondの小菅優衣さん

食品ロス削減を広げるために、学校給食で出る廃棄野菜で段ボールコンポスト(堆肥)作りを取り入れれば、食品ロスや生ごみを減らせるだけなく、子どもへの啓発にもつながるのではと提案しました。

Re.colab KOBE(リコラボコウベ)

里山保全活動では、耕作放棄地を畑によみがえらせ、栽培した作物は地元のゲストハウスで活用したりしています。在来生物を守るため、罠をしかけて外来種の捕獲・駆除もおこなうという本格派です。

みんな、すごいです。活動内容もそこから感じたことを発展させるアイデアも。すでに社会人能力高くないですか!?

若者の悩みに神戸市は…

その後のパネルディスカッションでは、先ほどの3団体に神戸市企画調整局の辻英之局長、そして関学の継続校である啓明学院高校・中学校(神戸市須磨区)の生徒2人が加わりました。

司会をつとめる関学の松村さんに、活動をするうえでの課題を聞かれた学生たち。

「就職活動や他の活動との兼ね合いで、アクティブに動けるメンバーが少ない」

「遠方から参加する学生も多く、北区の里山への交通費がお財布を圧迫している。持続可能性のための活動が持続可能じゃないので、市バス代の支援などお願いできないか」

「わからないことがあったとき(とくに学外とのやりとり)、どこに頼ればいいかわからない。もっと相談できる場所があれば」

Re.colab KOBEの永山菜花さん(右)

たしかに。学生ならではの悩みや葛藤ですね。思わず松村さんが辻局長に「学生のためのよろず相談所とか、できないですか?」とリクエスト。

辻局長は「今後、KOBE学生地域貢献スクラムを発展させて共創コミュニティネットワークを作ろうと思うので、それを活用できるかもしれない。皆さんが切実な問題を抱えていることがわかったので、何とかしないと」と、課題を認識しました。

ご存じのとおり、SDGsはSustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」と訳されます。

地球環境や人々の暮らしを持続可能にするための活動が“持続可能”でないとなると、本末転倒です。

辻局長も「SDGsそのものに目が向きすぎて、活動のフォローができていなかったと反省した。活動を後押しすることで、結果としてSDGsの達成につながるはず」と話しました。

企画調整局の辻局長

シンポジウムを終え、リコラボの永山さんは「若者の思いが大人の方に伝わったらいいなと思いました」と振り返りました。

持続可能性のための活動が、持続可能じゃない。
言葉遊びのようですが、あまりに核心をついた課題で胸がズシンとなりました。

これは何も、SDGsに限ったことではありませんよね。何か達成したい目標やあって、それがどれだけ大事なことでも、それに取り組む自分が無理をしていては続きません。

まずは自分を大切にすることから始めよう。改めてそう感じた一日でした。


*本シンポジウムのライブ配信が、当方のミスにより開始が遅れましたことをお詫び申し上げます。

<この記事を書いた人>
ゴウ/広報戦略部 クリエイティブディレクター
神戸市在住のフリーライター。ソーシャル経済メディアNewsPicksや、京阪神エルマガジン社のメディアで活動。神戸市の施策を書いた記事が「わかりやすい」とnoteプロジェクトに召喚され、週1日だけ市役所の「中の人」に。役所ならではの用語や作法に「それ何?」とつっこみながら、どうやって役所のお堅い印象を和らげるか、日々頭をひねっている。

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